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簡易軌道シンポジウム④~第2部・ゆかりある各地域から~

今回はシンポジウムの後半、第2部について書いていきます。この第2部は軌道にゆかりのある自治体職員や関係者が壇上で意見交換を行うものでした。

参加者は鶴居村、標茶町、浜中町、別海町、遠軽町、ニセコ町、北海道遺産協議会の各担当で、司会は釧路市立博物館の石川氏でした。

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各地の現状・取組について

標茶町

・現存するものは当時の建物くらい。車両は当時、鉄くずとしてスクラップに出してしまった。最近、ブレーキシュ―だけが個人宅から発見された。

・軌道関係の書類、切符は多く残っている。


浜中町

・建物、車両、写真が残っていることは分かっているが、保存・活用というレベルではないのが現状。

・それぞれの物の所管すらはっきりしていないので情報集約から始めたい。


別海町

・奥行臼停留所跡に建物と車両が残り、町の文化財に指定した。また上風蓮の車庫も同様に指定している。

・7号~5号停留所の間は軌道跡が残っている。また、開南停留所の文化財指定準備を行っている。

・文書は郷土博物館が保管している。


遠軽町(丸瀬布)

・雨宮21号の動態保存では様々な体験や撮影会、卒寿運転などを行い年間2万人の乗車があった。鶴居村のDLは、SLよりすぐ動けるものを、ということで導入した。

・鶴居村のDLは10万円で引き取り、500万円かけて整備した。

・北海道遺産に登録されたからが大変。関係者間で広く連携していく必要がある。また一般にわかりづらい面があるので発信方法など、いろいろ考えていかなければならない。


ニセコ町

・真狩線という軌道がかつて狩太駅(現ニセコ駅)から伸びていたが、同線が廃止された際に、使用していたレールが鶴居村の軌道に転用された歴史がある。

・今残っているものは写真1枚だけ。しかし、軌道の跡は全体の半分ほどは何らかの形で残っており、軌道跡を歩き植物観察をする催しを行った。

・ニセコ駅はSLや転車台、クラウドファンディングで保存の決まったニセコエクスプレスが集まる鉄道遺産の地となっており、近隣の産業遺産とのコラボを検討している

・真狩線の狩太停留所は現在の駅に隣接した場所にあったとみられ、今後駅付近での工事の際に転車台が掘り返される可能性もあるので期待している。


北海道遺産協議会

・軌道の研究が行政だけでなく民間人も多いことが印象的。

・他の事例で施設だけの保存だったのが生活文化を含めての遺産登録となったものがある。そこでの生活・文化、人のつながりも遺産である。


町・村民の意識変化・聞き取りなどについて


・北海道遺産認定で軌道の認知度は上がっている。具体的取組をこれからどうするかが課題。(鶴居村)

・現物がないことは認知してもらうには大きな壁である。懐かしむ声は聞かれたので、集治監といった他の遺産と組み合わせてPRしたい。(標茶町)

・役場が海側にあることもあり、茶内など山側の声があまり聞こえてこない。まずは情報収集からしていきたい。(浜中町)

・最近は認知度の高まりを感じる。開南地区も盛り上がりがある。うまくいけば他のものも見てもらえる良い機会と捉えている。(別海町)


鶴居村への期待

・資料が多くあるので、ぜひ共有したい。(標茶町)

・機運の高まりをいかに住民に広げるか、教育や観光に活かしたいので協力したい(浜中町)

・連携事業を増やしたい。(別海町)

・学芸員を自治体に配置して研究を深め、価値を認識し広めることが重要。長く腰を据えられる担当を作ってネットワーク化しよう。(ニセコ町)

・DLの動態保存やりましょう。(遠軽町)

・「北海道」遺産という名前なので、軌道を通じたネットワーク化の先頭を走ってほしい。(北海道遺産協議会)

・文化としてつなぐために登録範囲拡大を含め価値向上を考えたい。(鶴居村)


おわりに

意見交換の終盤では、軌道の魅力をつむげる一定の期間活動できる人材が今後重要になるという意見で一致し、共通ブランドの立ち上げといった提案もなされました。

また最後には鶴居村より、真狩線から譲渡された12kg/mレールをニセコ町に寄贈するセレモニーが行われシンポジウムは終了となりました。

レールが役目を果たし、もともと使用していた場所に帰るということ自体が珍しいと思いますが、軌道を通じたネットワーク化の象徴となるできごととも言えるのではないでしょうか。

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参加しての感想

・簡易軌道に対して、こういった自治体主催でかつ複数の組織を巻き込んだ場が成り立つことが素直に素晴らしいことと感じました。また、その場を広く公開して誰でも参加できる場としてくれたことに感謝します。

・自治体により温度感を感じる内容ではありますが、それぞれがまだ掘り起こせる軌道の遺産はあると感じられました。自治体所有のモノだけでなく、今後は住民の持つ資料や写真、当時の証言などを協力して収集すればさらに研究は加速しそうです。

・気になったのは写真や切符、資料はまだ役場に多く残存しているという点。決まった期間(例えば夏休み期間など)に関係市町村で「幻の軌道資料展」などと銘打って展示会等を開催し、周遊を促すのもありなのではないでしょうか。

・会の終盤にブランド化の話がありましたが、釧路市立博物館では軌道の缶バッチなどささやかなグッズ展開がされています。鶴居村は軌道モチーフのお菓子を考案しましたが、グッズに限らず訪問者増加と、その人たちに消費してもらう機会をつくることも重要となるのではないでしょうか。

・個人的には軌道跡は分かりずらい上、牧場など私有地も多く巡るのに苦労しています。よって、以前行われたツアーなどがさらに進化し、今後も実施されたら有料であってもぜひ参加したいと思います。


いずれにしても、簡易軌道の今後の展開が楽しみです。


釧路名物「スパカツ」を食べてこの旅は終わりです。

ありがとうございました。

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