【寸懐:皇帝の行方】

中国大陸では、皇帝が側近で固めた政府を樹立したらしい。

マスコミは兎角いろんなことを書き立てているが、肝心なことを一向に言わない。まわりをお友達で固めた中央集権制だから、これから5年間はまぁ無難に経過するだろう(国内的には、である)。その時、御大は73歳だから、もう一期という可能性は非常に高い。とすれば、一応習近平体制はあと10年は続くと考えた方がいいだろう。

問題はその先である。78歳の親分が更に睨みを効かせられるか.....である。人は老いる、老いれば気力・体力が落ちる、判断に問題が生じるかもしれないし、悪ければ死んでしまう可能性すらある。

中国の歴史は、皇帝を中心とした政治が続いて来た。それは現在でも変わらない。はっきりとした皇帝制であれば、皇太子を建てることができる。しかし、現在の共産党政権のような疑似皇帝制では、皇太子をたてることなどできない。本来の皇帝制であっても、皇帝は常に皇太子の動向に注意が必要であった。まして現在の中国においては.....である。

習近平側近の6人の政治局員は、家臣としての頂点にたった。次の皇帝になろうという野心さえ持たなければ、至極優雅な身分の筈であった。しかし、習近平は皇帝への道の途中で、政治局員であろうとも逮捕・財産剥奪をするという前例を作った。6人の政治局員は安閑として勤務していることはできないであろう。
まぁ見方はさまざまであろうが、歴史的な観点に立てば、中国と日本では微温的な処置を行うのが好まれていた。敵を殲滅し尽くすのではなく、取り込んでいく方が優れていると考えられていた。習近平は、ルビコンを渉ってしまった。中国は中国の行き方を捨て、半島的になったといってもいいだろう。

現時点では、先づ注目しなければならないのは、『党中央規律検査委員会書記』に誰が就任するかである。王岐山の行ってきた高級幹部の汚職摘発を引き継ぐのは誰か、という事である。これに任命された人物は他の政治局員よりも優位に立つことは間違いないが、それは疑いもなく他の5人の政治局員の攻撃目標となるということでもある。

ということは、10年後までには、強大な中国で重大な政治的な混乱が起きる可能性が非常に大きいと考えた方がいい、ということである。もちろん誰も具体的には予測できないであろうが、必ずや訪れるであろうその時の予兆を、今日から観察し続けなければならない。

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