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【ジャーナル】[Part 2]こうち100人カイギ vol.4 冨田 薫(高知大学ドイツ語非常勤講師)/松本 志保子(藁工ミュージアム 学芸員)


今回の登壇者も、それぞれ全く別分野の領域で活躍する方々でしたが、仕事でありながらも楽しむことを忘れない姿勢を5名のトークから感じました。
自身の思い描く理想の場や未来のために、楽しみながら邁進していく。そんなゲストの姿に、参加者の皆さんも自分の理想、未来などを考えるきっかけになったのではないでしょうか?

参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.4の登壇者>
※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。

西岡 良之さん(Part 1掲載)

冨田  薫さん (Part 2掲載)
松本 志保子さん (Part 2掲載)

高橋 沙希さん (Part 3掲載)
吉田 剛治さん (Part 3掲載)



2人目の登壇者は、高知大学 ドイツ語非常勤講師の冨田 薫(とみた かおる)さん。

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北海道出身。2000年に夫の留学に伴いドイツのミュンヘンに移住し、初めてドイツ語を学ぶ。その中で、世界の人々の多様性を知ること、理解し合おうとすることの大切さを実感する。現地にて大学入学のためのドイツ語資格を取得し、2006年に帰国。愛知県の外国語学校などでドイツ語講師を務める。
2013年に高知に移住してからは、異文化の受容について研究するため高知大学の大学院に進学して修士号を取得し、現在高知大学でドイツ語を教えている。

縁もゆかりもない高知へ
北海道出身の富田さんは、旦那さんの仕事の都合でミュンヘンへ、その後2006年に愛知県で6年間過ごし、2013年に高知へ来ました。
現在、2児の母で旦那さんは徳島県に単身赴任中だそうです。基本怠け者で、手抜きをしたい性格、ゆで卵が好き、とユーモアたっぷりに自己紹介をしてくれました。
現在の職業に就いたのは、ミュンヘンでドイツ語を学んだことがきっかけだそうです。

違いを知って気づいたこと
ミュンヘンでの生活は、日本と違うことだらけ。言葉も食べ物もイケているものもイケていないものも、色んなことの尺が違っていた、と話します。
特に印象的だったのはプラスチックへの厳しさ。極力使わない、いらない、という土地柄でした。
文化の異なる生活をしていく中で正解探しをする日々。
何をすれば合っているのか?そんな大変な生活が続きましたが、あるとき心境の変化が訪れます。それは“違うという条件はみんな一緒”ということでした。世界のどこでも違いはある、その場所の文脈で生活している、と気づいてから、気持ちが楽になり人と接することが楽しくなったそうです。

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高知での生活
ミュンヘンでの生活を通じて、語学は視野を広げることを実感した冨田さん。その後、愛知県に引っ越し、駐在予定のサラリーマンや個人レッスンを中心に講師業をしていました。6年後、高知に引っ越したときにもドイツ語講師の職を探すも生徒すらいない状況。どこに行けばいいか考えた結果、修士号を持っていると有利になる、と翌春、大学院に入学しました。
異文化について改めて学び、研究したことを振り返りながら、異文化は自分が理解したつもりでも本当に理解しているか?顧みることが重要だ、と話します。

今の大学生に思うこと
日々、大学生と接している中で感じていることは、真面目だけど消極的という印象。自分の考えは持っているのに出さない子たちに対して、もっと表現すればいいのに、と感じており「もっと語りたいことをもとう」と呼びかけます。
その背景には、人に言いたいことを持つだけでなく、世界に向かって語ってほしい、そしてバックグラウンドの違う相手に理解してもらえるように伝えられるように、という冨田さんの想いがありました。
冨田さんの授業のポイントは運用と興味の喚起、加えて、自分の中の達成感があったほうが良い、と考えています。
できるようになったこと、まだできないことを振り返ってもらうことやドイツ語は面白そう、楽しそう、と思ってもらえるように取り組んでいます。

高知から世界に
高知は出身地の北海道や6年間住んだ愛知県に比べると、オープンマインドで男女差がなく、女性が抑圧されていない、と感じたそうです。現代でも、女性はこういう風にしなければならない、という価値観に縛られている女性が多い、と話していました。
グローバルなものを受け入れやすい土地柄だからこそ、大学生は世界に興味があるのなら色んなことを体験して打ちのめされて経験を積めば良いのでは、と語りかけます。ご自身の経験にもあったように、違いを受け入れて楽しむこと、これが冨田さんの目指すものです。


3人目の登壇者は、藁工ミュージアム 学芸員の松本 志保子さん。

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友人に誘われた高校演劇鑑賞がきっかけで野田秀樹著『人類への胃散(野田版・新世界史(1)』(角川書店)に出会い、歴史を学びたいと関東の大学へ進学。一つくらいは資格をと考え、学芸員資格取得中にボランティアに興味を抱く。その後「横浜トリエンナーレ 2001」エデュケーションプログラムボランティアにエントリー。対話型作品鑑賞ツアーなどを行い、現代アートに魅了され、アートやエデュケーションプログラムを学びはじめる。多種のアルバイトと婦人服販売、「土佐・龍馬であい博」スタッフを経て 2010年より現職。展覧会やイベントの企画を行うほか、藁工ミュージアムで働く障がいのある人たちのサポートも行っている。

美術館で働きたい
友人の誘いで演劇に出会ったという松本さん。大学で現代アートに魅了され、いつか美術館で働きたいと思うように。様々な職種を経て2011年に藁工ミュージアムの学芸員として働くことになりました。
まず藁工ミュージアムの3つの柱についてお話しいただきました。
一つ目は、芸術を紹介すること。
二つ目は、障害者のアート活動を支援すること。
三つ目は、地域のための美術館であること。
これらのことについてお話しいただきました。

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アートで支援をする
藁工ミュージアムの大きな特徴のひとつは、通常の美術館とは異なり、アウトサイダーアート(アール・ブリュットと同じ意味で、美術に関する教育を受けていない独学者や知的障害者などが自由に表現するもの)の展示などを行っていることです。
敷居が高いと思われがちなアートですが、専門的な知識が無くても子供から大人まで誰もが参加できることや障害者の芸術活動の普及活動支援にもつながっています。互いの違いや個性を認めることや、存在を楽しむことを中継しているのがアートの役割だと話してくれました。

一緒に歩んでいく美術館
こうした取り組みを行っている中で、重要視しているのが地域との関係性。
この地域という概念は、小さい単位の地区から大きい単位の高知県まで人によって様々ですが、松本さんたちの考える地域は藁工ミュージアムのある地区のことを指します。
地区の人たちが行う防災活動なども一緒に行い、行事には積極的に参加。
その理由はやはりこの地区に美術館があるからこそ、自分たちも関わっていきたいと思う気持ちを持っているからです。

学芸員の仕事
松本さんの職業である学芸員。聞いたことはありますが、詳しく知っている人は少ないはずです。普段、どんなお仕事をしているのかもご紹介いただきました。
主には、展覧会を作ること。作品の調査研究をすること。また、ものづくりのイベントをしたり、単独企画を行ったりすることもあるそうです。
具体的には、夏休み期間中には近隣の小学校の子供たちが参加できるワークショップの開催や須崎市のアート事業とタイアップしたカフェでダンスをする企画などです。

様々な活動を通じて目指すもの
通常の学芸員とは異なり、松本さんは障害者の相談支援事業も行っています。その中で互いに助け合える町内会などのネットワークの必要性を実感しているそうです。その他にも作業を手伝いに来てくれた障害者の方たちの職業指導員という顔も持っていて、日々取り組む仕事は多岐にわたります。
最後に藁工ミュージアムという場所が、障害者とアート、福祉とアート、地域とアートをつなぎ、つながることのできる場になること、そして自分たちの周りにある「おもしろい!」に気付き、楽しむ場所を目指している、と話してくれました。


【総括】
異文化を体験し、気づきを得たという冨田さんのお話しはこれから一歩踏み出したい人に勇気を与える内容のように思えました。
また、松本さんのお話しはアートを通じて様々なものをつなぎ合わせて、新たな関係性を育んでいく、素敵な取り組みだと感じました。
立場や仕事は異なりますが、誰かをサポートしながらともに歩んでいるお2人はきっと周りの人たちにとって心強い存在になっているのではないでしょうか。


(レポート:畠中 詩織)


100人カイギとは
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。

お問い合わせ
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運営:エイチタス株式会社 高知支社
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