【ジャーナル】[Part3]こうち100人カイギ vol.13 古川 森さん(TOMARIGI HOSTEL/マネージャー)/吉冨 慎作さん(土佐山アカデミー事務局長/水の人/アイデアを作る百姓)
2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。
今回は、2020年9月29日(火)にオンラインにて開催された、vol.13に登壇いただいた5名、1人1人の話にフォーカスを当てています。
今回ご登壇いただいた5名の方は、コロナ禍においても悲観しすぎず、前向きにご自身の考える目標やビジョンに向かって、進んでいるように感じました。
参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。
<こうち100人カイギ vol.13の登壇者>
5名それぞれの話を
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※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。
楠瀬 まどかさん(Part2掲載)
土居 桃子さん (Part 2掲載)
古川 森さん (Part 3掲載)
吉冨 慎作さん (Part3掲載)
4人目の登壇者は、古川 森さん(TOMARIGI HOSTEL/マネージャー)。
1996年千葉県市川市出身。2013年、隠岐島前高校への島留学生として海士町へ移住。地域を創る大人たちの背中を目指して、高知大学地域協働学部に入学し、さらに地域への関わりを深める。大学3年生の際にTOMARIGI HOSTELのオープン時からスタッフとして携わり、1年で100本以上のイベントを企画・運営と共に広報を担当。大学を卒業後、現在はマネージャーとしてTOMARIGI HOSTELの宿の運営の傍、「人の価値」にフォーカスを当てたBarの運営やメディアの企画を手掛ける。様々な経験を培わせてもらう中で、今たどり着いた自分を表す言葉は、”意思をもって流れてみる”。
ゲストハウスとの出会い
高校入学と同時に千葉から島根の人口わずか3000人の島へ移り住んだ古川さんは、そこでの学生生活を経て、地域への興味から高知大学地域協働学部の一期生として進学します。そんな彼女がゲストハウスと出会ったのは、大学3年生の岡山旅行。訪れたゲストハウスで体験した、はじめましての人と出会う空間に感銘を受け、ゲストハウスの面白さに気づきます。
ちょうどその晩、SNS上で高知に『TOMARIGI HOSTEL』ができる、という投稿を目にした古川さんは、自分自身をもっと深めたいという思いや、このタイミングで出会うのはきっと何かがある、と自分の直感を信じ、インターン生として『TOMARIGI HOSTEL』に飛び込みます。
とまり木でのチャレンジ
『TOMARIGI HOSTEL』を運営する合同会社とまり木は「“滞在”に新たな価値を付加して発信する」というコンセプトのもと、宿の運営、経営やコンサルティング業を営んでいます。
インターン生として関わり始めた初年度は、「年間100本のイベントを頑張ってみよう。」とオーナーに提案され、右も左もわからない状態から、たくさんの人の協力を得、一年間で100本以上のイベントを開催しました。その努力もあり1周年記念イベントには、地域の方からこれまでのイベントの参加者まで、実に多くの人が集まったと言います。
大学4年生となり、進路を決定する時期に突入する中で、横浜の建築会社に内定も決まっていた古川さん。しかし、とまり木でもっと挑戦していきたいという思いが勝り、社会人として、とまり木に関わる道を選びました。
インターン生から合同会社とまり木の執行役員になった古川さんは、宿の運営だけでなく、インスタマガジン『up To U』の更新、ECサイト『to go』の立ち上げなど、宿の可能性を広げるアクションを続々と行っています。
宿から自分を自身を探求する
しかし、もともと宿づくりに興味がなかったという古川さん。とまり木を通じて宿と深く向き合う中で、そのおもしろさを知り、宿づくりは「自分がどう在りたいか」を探求する場所であると気づきました。
宿を知ることから始まったとまり木との関わり。現在は宿を深める、自分を知る、ということをテーマに活動しています。そして将来的に「宿を生むこと」を目標とし、大好きなイラストを書くことや、マッピングを通して、自分だからできることについて考えています。そういった試行錯誤をしながら「五感をテーマにした宿を実現していきたい」と話してくれました。
自分で何もかもやらない
最後に、「とまり木が教えてくれた大切にしたいこと」と題して、インターン生時代から現在に至るまでを振り返りました。
1年目は、3番(画像参照)にあるように、直感を信じて、ワクワクするものにはどんどん挑戦していきました。しかし、活動をする中で、できないことや、苦手なことといった大きな壁にぶつかり、どうしても悩むことも。そんなときには、6番(画像参照)にあるように、旅に出てみたり、自分を深めてみたりしてきました。そのような経験を経て、現在は11番(画像参照)にあるような、「自分で何もかもやらない。自分の「強み」を活かす。」ことの大切さに気づき、自分のできることを意識していると言いました。
このような大切にしたいことに気づかせてくれ、実現することができる場所だからこそ、「とまり木で挑戦をし続けていきたい。」と笑顔で締めてくれました。
5人目の登壇者は、吉冨 慎作さん(土佐山アカデミー事務局長/水の人/アイデアを作る百姓)。
山口県下関市出身。
宇部高専時代ロボットコンテスト等で活躍するも、デザイナーに転向。その後外資系広告代理店へ移籍し、企業ブランディング・Webキャンペーン・商品開発・TVCM・ポスター制作等に関わるなかで坂本龍馬のポータルサイト「龍馬街道」を立上げ高知と深く関わっていく。2013年2月、土佐山アカデミーの想いに共感し移住を決意。
個人・企業・行政を対象に、地域課題を資源と捉える逆転の発想で「教材」としてワークショップ・企業研修など、中山間地域を学びの場に変えていく活動を展開中。その他にも起業支援・チームビルディング・新規事業開発・ビジョンシェアリングを得意とする。
内閣府「地域活性化伝道師」/高知家移住促進プロジェクトKIP理事/高知県社会教育委員/高知県観光特使/高知県観光プロモーションクリエイティブアドバイザー/高知高専非常勤講師
風でも土でもない、水の人
「あなたの役割はなんですか?」という全体への問いかけからスピーチは始まりました。
ロボット工学を学び、広告の仕事をしていた吉冨さんが高知に来たのは今から8年前。高知市から山側へ20分程車を走らせた場所にある土佐山を拠点にして、『土佐山アカデミー』を運営しています。
土佐山アカデミーでは、地域の課題をポジティブに捉え直し、そこにアイデアを加えていくことで、土佐山に人がめぐる機能を生み出す活動を行っています。課題をポジティブに捉えることで、内側の人(土佐山の人)と、土佐山に興味を持った企業や団体など外側の人との関わりしろが自然と増えていきます。このように、元々土佐山に住んでいる「土の人」、土佐山を面白がって一時的に訪れる「風の人」の両者の間に入り、お互いをつなぐだけでなく、一緒に面白がれるアクションを行っていく「水の人」というのが土佐山アカデミーだと、吉冨さんは語りました。
大人の才能の無駄づかい
大人がなにかに本気で向き合い、楽しみながらもビジネスとして成り立つにはどうしたらよいかと必死に探求する姿を、「大人の才能の無駄づかい」と吉冨さんは表現します。土佐山アカデミーでの活動は、そんな「大人の才能の無駄づかい」を子どもたちが見られるように意識しています。
例えば、竹が生えすぎて維持管理に支障が出てしまう竹害の問題に対しては、「竹が余っている」と地域に眠る資源として捉え直し、土佐山に広がる棚田をフィールドとして、通常では考えられないようなそうめん流しを実施しました。
目指したのは、世界最速のそうめん流し。JAL社員さんの協力を得て、実際に飛行機に用いる流体力学を用い、子どもたちと一緒に何度も試しながら挑戦。このように、一見遊んでいるだけに見えるようなことでも、大人の持つ知恵を全力で使い、思いきり楽しめる場をつくっています。
やればやるほど仲間が増える
現在土佐山アカデミーのプログラムに参加した人の数は1万8,000人を超え、土佐山への移住者は50人を超えています。土佐山アカデミーに共感してくれる人がどんどん増えることで、様々な能力や知恵が結集していき、やればやるほど仲間が増えていく状態を作り出したいと吉冨さんは話しました。そうすることでさらに風の人、土の人との関わりしろが増え、人のめぐる状態が形成されていきます。
また、土佐山アカデミーの活動の幅は土佐山内部にとどまらず、東京でも土佐山をテーマに企業を対象とした社員研修を行ったり、オンライン上で土佐山の飛行機整備士の片付け術を小学生と学んだり、と様々な場所で土佐山の資源を活かした学びの場を生み出しています。
あなたの役割はなんですか?
その他にも、土佐山の環境を活かしたワーケーションプログラムの整備や、タイニーハウスを活用した取り組みなどを現在準備しています。自分たちのもつノウハウと各地の状況を見て、高知ならではの資源を活かしたプログラム開発を行いたいという吉冨さん。
冒頭にも問いかけた「あなたの役割はなんですか?」という問いに対して、最後にこう話しました。「コロナ禍においてもオンラインであれ、主体的に土佐山や土佐山アカデミーに役割をもってもらえる場作りをしていきたい」そのようなそれぞれの役割を発見する手伝いを、土佐山アカデミーで行っていきたいと言葉が続きました。
【総括】
運命的とも言える宿との出会いから、自分自身の直感を信じてアクションを行っていく古川さんのまっすぐな行動には感銘をうけた方も多いのではないかでしょうか。とまり木という空間と古川さんがお互いに良い影響を与えあう姿がとても印象的に感じました。
また、吉冨さんの一見見落としがちな感覚や資源を丁寧に拾い上げ、みんなで面白がろうとする姿勢がとても素敵で、吉冨さん自身が全力で取り組むからこそ周りの方も共感しているのではないかと感じました。
(レポート:檜山 諒)
100人カイギとは
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。
問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/