【ジャーナル】[Part3]こうち100人カイギ vol.20 西山 侑吾さん(土佐塾中学高等学校 高校3年)/檜山 諒さん(こうち100人カイギキュレーター/場の温度をあげるほっかほかデザイナー)
2019年1月よりKochi Startup BASE ®︎にて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。
今回の20回は、2021年6月26日(土)にKochi Startup BASE®︎での現地開催とzoomを使ったオンライン開催にて行いました。
この記事では、20回目の100人カイギにて登壇いただいた6名、1人1人の話にフォーカスを当てています。
参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。
<こうち100人カイギ vol.20の登壇者>
6名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、
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イワシロ アヤカさん(Part1掲載)
鵜飼 唯香さん(Part1掲載)
岡村 涼太郎さん (Part 2掲載)
佐藤 彩音さん (Part 2掲載)
西山 侑吾さん (Part 3掲載)
檜山 諒さん (Part3掲載)
5人目の登壇者は、土佐塾中学高等学校 高校3年の西山 侑吾さん。
現役の高校生で、生徒会長。生徒主体とは何か?を第一に考え、学校改革を進める。日々の学校生活にて生徒が不自由に感じている点、不満に思っている点などを変えていくだけでなく、コロナ禍でも可能な限り学校行事を行うべく、教員サイドと会話を重ねている。また、学校の防災意識改善も積極的に行っており、防災委員会の立ち上げを行い、生徒主体の防災学習のベースを立ち上げる。個人の防災知識向上にも積極的に努め、防災士資格の取得、災害、防災関連の校外活動への参加も積極的に行っている。
高知県が抱えている問題を知ってほしい
普段から様々なイベント、プロジェクトでKochi Startup BASE®によく来訪してくださっている西山さん。当日は資料を作成せず、ぶっつけ本番で登壇に挑んでくれました。
現在、現役の高校生で生徒会長。しかし、活動は学校外にも広がっており、『SDGs de 地方創生』の公認ファシリテーターとしても活動しています。その他にも、防災士の資格や、学校がICT教育に力を入れていることからGoogle認定教育者の資格を習得し、精力的に動いています。学生業だけでなく幅広く活動を行う理由には、1人でも多くの人に現在日本が抱えている問題、また高知県が抱えている問題について知り、学び、理解してほしいという思いがありました。
校内活動も積極的に
多忙な校外活動の傍ら、学校では生徒会に所属。登壇の4か月前には生徒会長として、昨今のLGBTQの多様化に伴い、制服を着用する際性別に関係なくスカートかズボンかを選べるように校則を変えるなど、教師たちのサポートも受けながら生徒主体の学校作りに力を入れてきました。
中でも登壇の1年前、新型コロナウイルスが拡大する中で開催した学園祭は強く記憶に残っていると言いました。
学園祭の開催が危惧されている中、当時高校2年生だった西山さんは、副生徒会長として教師たちを前に「学園祭は絶対に中止しません」と宣言。感染防止対策をどのように徹底していくかについて議論を重ねた結果、金曜日の午後の半日を使い、各クラスの作成した動画を体育館で上映することになりました。上映の際も中学生と高校生で分け、体育館に入る時間をずらしたり等、様々な工夫を凝らしていく中で、新型コロナウイルス拡大防止対策の大変さを痛感したと言います。
きっかけは世界中の人との交流
現在のように、学校外で積極的に活動をするきっかけの1つが、高校1年生の時に参加した『「世界津波の日」高校生サミット』です。これは高知県で始まったイベントで、西山さんは当時、北海道で参加しました。西山さんは当日、黒潮町の方では37メートルの津波が来ることや、自身の通う学校の防災意識が低いことについてなど、高知県の現状について英語でプレゼン。スリランカからの参加者からは、日本を襲った過去の津波の高さに対して「自国は地震や津波より大雨の方が怖い」と声も聞かれ、「住んでいる場所によってこんなにも意識に違いが出るんだ」と驚いたと言います。
また、世界中から集まった参加者と交流する中で、自身が在籍する学校の防災意識の低さを改めて痛感しました。突き動かされるように、現在までの3年間、学校で防災委員会を立ち上げたり、等防災に関する数多くの活動に取り組んだりと活動を続けてきました。南海トラフ地震が来ることが予想されている高知県だからこそ学べる事があるのではないか、身近にある防災について考えてもらうことができるのではないかと、西山さんは考えています。
SDGsを行動に移すきっかけを作りたい
もう一つ力を入れている取り組みが 『SDGs de 地方創生』。これはSDGsと地方創生を掛け合わせ、世界を2023年までにどのように良くしていくかを学んでいくカードゲーム型のワークショップです。ファシリテーター養成講座を受講し、公認ファシリテーターに認定されているのは、高知県内ではなんと西山さんただ一人(登壇当時)。参加者同士で交流をしながら楽しくSDGsについて学べる内容がとても魅力的で、Kochi Startup BASE®でも過去2度、イベントを開催しました。
自身の通う学校で体験会を開催した際も、「受験に使えるのではないか」という動機で参加してくれる人が多かったそうです。「受験に使えるかどうかではなく、そこにどういった目的があるのかを考えて参加するべきだ」と異議を唱える先生が多い一方、西山さんの意見は真逆。「受験に使いたい」や「カードゲームが楽しそうだから」など、参加の動機が何であれ、ワークショップの中で今から始められるSDGsを参加者自身がそれぞれ見つけ、行動に移してくれることが目標であり、そのきっかけを作るのがファシリテーターの役割であると考えています。
受験後の展望
体験会やイベントの開催後、実際に「楽しかった」や「また参加したい」といった嬉しい声を聞くことも多く、更にその後、実際に行動を起こしている人もいると言いました。しかし、学校内にはまだ具体的にSDGsに向けて行動に移している生徒はいないのが現状。現在は自身が受験期で忙しいため、あまり積極的な活動はできていませんが、落ち着いたら高校生だけではなく小学生、中学生、大学生と対象を広げて、SGDsについて学び、考えてもらう場を引き続き作っていきたいと考えていると、これからの展望を語り、話を締めくくってくれました。
6人目の登壇者は、こうち100人カイギキュレーター/場の温度をあげるほっかほかデザイナーの檜山 諒さん。
高知大学地域協働学部 4年
茨城県日立市出身。人の思いを引き出すことに興味を持ち高知大学地域協働学部へ進学。コミュニティ・エンパワメントや地域メディアを学びながら、シェアハウスをしたり、落語をしたり、日々奮闘中。こうち100人カイギ、CLS高知、Startup Weekend高知など、様々なイベントの運営をしながら、つながる場の温度を高める活動を行っている。大切にしていることは目に見えない価値を尊重すること。
好きなものがたくさんある私
第一回目から最終回にわたって、この『こうち100人カイギ』のキュレーターを務めた檜山さん。大学生でありながら、『こうち100人カイギ』以外にも様々な活動に携わっているため、たくさんの顔があります。『100人カイギ』をしている私、『落語』をしている私、『干し芋』が大好きな私。偏愛マップが埋め尽くされるほど好きなものが多く、それが周囲にも認知されているため、多様な顔を知っている人ももちろんいますが、その中の一部だけを知っている人もいます。気になったことや、興味のあることにどんどん挑戦していますが、そのため「結局何がしたい人なの?」という言葉も聞かれるようになりました。檜山さん自身も何がしたいのかわからず、ずっと考え続けていましたが、最近、自分自身の在り方に対して『つながる場の温度をあげるほっかほかデザイナー』という、しっくりくる肩書きを見つけました。たくさんの大切しているものがある檜山諒という存在。これを前提に、今回は『こうち100人カイギ』について振り返りたいと話し始めました。
2年半の運営で
『こうち100人カイギ』が始まったのは、2019年1月。檜山さんが大学一年生の終わりを迎えていた頃です。それから2年半もの間、こうち100人カイギに対して真摯に向かっていましたが、実は飽きてしまったり、揉めてしまったり、登壇者の選出に頭を抱えていたりなど、様々な問題も経験していました。その度にスタッフや登壇者に助けられ、そして何より、『こうち100人カイギ』の場に立つと、「やっぱりやった方が楽しい!」と感じることができ、ここまで続けてこれました。そんな波を経験していく中で、『こうち100人カイギ』をどのような場にしたいかと繰り返し問い直していた、と言葉が続きました。
今まで99人の方々に登壇してもらいましたが、登壇の声かけをするのに意識をしていたことがあります。高知を起点に活動しているというベースを加えて、自分の想いを持っている方であるということです。加えて、回を重ねるごとに、「自分の想いを外に出したことが今までになかった方を招きたい」と思うようになりました。
見える部分は一部、でもそこから気付くことも
今までに99人の方に登壇のオファーをしてきましたが、その際によく耳にした言葉がありました。それは「話せることなんて私には無い」という言葉。しかし檜山さんは、それに対して「話せることがないのではなく、話せることはないだけ」と言いました。人の前で話したことがなかったり、資料を作ったことがなかったり、と作業的な経験がない人は多いものの、自身の活動に対して、思っていること、感じていること、考えていることは誰しも必ずあります。だからこそ、実際に登壇してみると、大きな共感やその後の繋がりに結びつきます。また、登壇するのはたったの10分で、その中で伝えられることは限られていますが、その見える一部分で「実はこの人には、こういう側面があるのだな」と気付いてもらえることもあります。
檜山さんは、一部分だけが知られることは偏っている自分を知られることだと考え、はじめはあまりよく思っていませんでした。しかし、100人カイギを通して、多くの人の側面を見てきたことで、いろいろな面があるからこそ、面白いと思うようになりました。その一部分をこの場でまず出してもらいたい、登壇者自身にもその一部分を出したいと思ってもらえる環境作りができれば、と考えられるようになりました。
『偏』を見つけて応援
今までに登壇してくれた99人の方、そして参加者の方々を合わせると、この2年半で本当にたくさんの方と出会うことが出来ました。たくさんの方とつながることを実践し、100人カイギの肝である『想いでつながる』ことについて、自分なりの答えを見つけたと言います。それは、「『偏』を見つけて応援しまくる」こと。ここでいう『偏』は、偏りを差します。一人ひとりの中にある偏った愛や、他の人とは違っている部分。その部分を会話の中で見つけ、切り取ることで、誰でもその共感したことを応援しやすく、声を上げやすくなります。『こうち100人カイギ』はそんな場所を参加してくれた方々が作ってくれたんじゃないかと振り返りました。
「100人カイギの場でも、そうじゃない場でも、「嫌だな、なんか違うな」と他人に対して思うことは誰でもあると思います。しかし、“でも、それって面白いんじゃないの?”“この部分は共感できるし、応援してあげたい”と、そういう気持ちの持てる場所になっていたらいいな」と場を締め括りました。
【総括】
高知のみならず日本の防災やSDGsについて考え、取り組んでいる西山さん。私自身実際に西山さんがファシリテーターを務める『SDGs de 地方創生』に参加したことがあり、カードゲームが楽しくて分かりやすく、私の中で間違いなくSDGsについて考えるきっかけになったので、これから更に拡大していく活動や周りに与える影響に、とても期待しています。
第1回目から、今回の最終回までキュレーターとして走り続けてくれた檜山さん。学生でありながらも、持ち前の明るさを生かして、毎回場を盛り上げてくれました。自身の想いを混ぜながら、こうち100人カイギについて振り返っていく姿に、会場中から優しい眼差しが注がれていました。20回目、そして100人目の登壇者が彼女で本当に良かったと思います。
(レポート:結城 菫/畠中 詩織)
100人カイギとは
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。
問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/
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