お仕事知恵袋 vol.1 ~教員のお仕事について~
2020年8月29日、「お仕事知恵袋 vol.1」がKochi Startup BASE®️にて開催されました。
普段知ることのない、関わることのない職業に触れ、新しい知識を得ることを目的に、連続企画として2020年8月から開催を始めました。
「なんとなく名前は知っているあの仕事、普段お仕事で関わる取り引き相手。詳しく知ることで見方が変わり、新しい発見がたくさんあるはずです!これから将来を考える学生から、知識を増やしたい社会人まで。なんとなくしか知らなかったあんな職業やこんな職業について、聞いて、話して、発見や驚きをみんなで共有しましょう!」
をコピーに、毎回様々な職業のゲストをお呼びし、1日のスケジュールなど、お仕事紹介をしていただきます。
第一回目となる今回は、教員のお仕事について。
高知県内で教員をされている野崎浩平さんをゲストにお迎えし、2時間たっぷりとお話しいただきました。
ゲスト:野崎 浩平(のざたん)さん(土佐塾中学・高等学校 理科教諭)
2019年度の経済産業省『未来の教室』実証事業『HeroMakers』二期生。ゆるふわ教育コミュニティーTosa Educator's Guildの共同創設者。元々は大手教育企業で実験教室を運営したりコーディネートしていたが、脱サラして高知へ移住し、教師をしている。実験教室時代から「子どもと対話する学び」に取り組んできた。「生徒も私も一緒に考えて学ぶ。そうするうちに、彼らが自然と学び始める」をモットーに教育活動を展開中。
チェックイン
初開催となった今回。異業種の方や、学校の事務職の方、教員を目指している学生の方など、スタッフを含め9名の方にご参加いただきました。
参加者それぞれの自己紹介は省略した代わりに、インターネット上でアンケートや質問などコミュニケーションが取れる『Slido』という機能を使用し、「今日の気持ちを5段階で表すと?」などと、ゲスト自ら参加者にアンケートを取る形でコミュニケーションを図りました。
次に、「働くって、どんなイメージですか?」と質問を投げかけました。「組織で効率よく仕事をする」「お金を稼ぐ/技術、知識を売る」「人間関係の調整」などと、様々な回答がスクリーンに映し出され、その回答一つ一つに対して、丁寧に野崎さんからコメントが返されました。
なぜ教員になったのか
場がある程度和んできたところで、野崎さんから参加者に「学校の先生のイメージって?」との質問。参加者に対し「学校の先生のイメージって?」と質問。
「いつも目の前に立って喋っている」「何でもしないといけない人」「子どもたちの未来を創る人であってほしい…」など様々な回答がある中、「生徒の親に逆らえない」「楽そう」「何も考えず、上からの指示に従いそれを後輩に継承していく職業」などといった手厳しい回答もあり、ゲスト含め参加者たちから笑いが起こる場面もありました。
続いて、野崎さんの自己紹介として、教員を目指すきっかけになった出来事や経緯、実際に就職するまでの流れについてのお話に。
野崎さん自身、元々理科が好きで、子どもに伝えたい気持ちが芽生えて、また、自分なら伝えられる自身があったことから理科の教員を目指したこと。母校の非常勤講師をしていたころの話を交えながら、「自分にやれることをやればいい」や「その環境にいると見えることがある」など、これから教員を目指す学生の方たちに向けてメッセージを送りました。
「7年前、高知に移住するときは、経営に興味があり、もう教育からは足を洗おうと思っていたけど、今は教育に人に負けないくらいワクワクしている」という、教員をしていく中での野崎さんの心の変化が印象的でした。
質問タイム
次に、『Slido』上で質問を受け付け、モニターに移しながら一つ一つ回答していく、質問タイムに移りました。
「先生はなぜ自分が教える教科の魅力を生徒に伝えないのでしょうか?」という質問に対し、「理科の魅力を伝えると生徒は面白いと言ってくれるけど、生徒の発見する楽しさを奪ってしまっている気がする。自分で気付いた時の方が子供たちはすごくいい顔をするから、ギリギリを探っている」など、授業をする上での注意や考えていることについて話してくれました。
教員を目指している学生の方の参加が多かったこともあり、他にも「教育のコンテンツに対する違和感はありますか?」「先生は改善をしないイメージがあるのですが、そうでしょうか?」など教育に関しての質問が多く見られ、教育の現状や改善点についてなど、とても深いお話を聞くことができました。
参加者は携帯を片手に、話を聞く中で浮かんだ質問を随時打ち込みながら野崎さんの話を聞いていました。
高知で教員をしてからの気づき
野崎さんが高知に移住し教員を始めてから、気づいたことが3つあったそうです。
まず1つめは、「学校外の人とのつながりが増えることで、学校の広報活動・課外活動に有効であること」。
県民同士のつながりが多く深いことで、もともと学校のOBやOGを知っていて、校外でできた繋がりを学校に紹介できてしまうようなコネクションの多様さは高知ならではだ、と話してくれました。
2つめは、「学校外における『教員』という職業の人物が貴重であること。学校外はブルーオーシャン」。
野崎さんが校外活動を行ってきた中で、教員という肩書を持っていて校外活動を活発に行う人は少なく、イベントで喋ってくださいという依頼が来て、それをきっかけに人脈が広がったり、取材されたりすることがとても多かったそうです。
3つめは、「情報のリソースを確保することによって、学校外での自らの価値が向上すること」。
いろんな人とつながり、様々な情報を入手することで、業者の方や異端の先生から紹介してもらい来校者が増え、良くも悪くも自分自身の校外での存在感が増したことを実感しているそうです。
県外から高知に移住し教員になったからこそわかる、教員目線の”高知ならでは”についてお聞きすることができました。
質問タイム
最後に、本日2度目の質問タイム。
お話を聞く中で浮かんできたものが多いようで、「なくてもいいルールをなくせないのはなぜでしょうか」「リクルートをすぐにやめたり、いきなり起業したりする人たちは、リスクなどがあって不安もあると思うのですが、どのようなマインドで行動を起こしていると思いますか?」など、1回目に比べ多くの具体的な質問が寄せられられており、なかには「変えることを拒む教員が多い中で出る杭になるのは、現場や職員室で辛くないですか?」と、野崎さん個人への質問も。
「学校を変えようとするとき、先生かと生徒のどちらを変化させる対象にしますか?」という質問に対しては、「変わるなら生徒の意見が大事だけど、継続するなら教員をかえないといけない」と例えを交えながら回答。その回答には、参加者一同何か感じるものが強かったようで、メモを取る姿が伺えました。
チェックアウト
チェックアウトとして、一人ずつ本日のイベントに対するアンケートと、今回のゲストである野崎さんに向けメッセージを記入しました。
「教員を目指そうか悩んでいたけど、お話を聞いて、私がやりたいと思うことなので、教師の道を選ぼうと思いました」「ますます、働くことが楽しみになってきました」「社会の楽しさや魅力を生徒に伝えたいと思っていたけど、その楽しさや魅力は私の世界から見たものかもしれないと気付きました」など、気持ちに前向きな変化があったというメッセージが多く見られ、記入が終わった後は、教員を目指す学生同士での連絡先の交換など、たくさんの交流が見られました。
総括
第1回目の開催となったお仕事知恵袋。
教育の現状や改善点、面白さや悩みなど、深いお話をたくさんお聞きすることができ、とても学びの多い2時間となりました。野崎さんのお話を聞き、学生時代、先生がとても楽しそうに勉強を教えてくれたことや、自分で気づいたことがあったときに褒めてくれたことなどを思い出し、こういう気持ちだったのかな、と懐かしい気持ちになりました。
これからも継続して様々な職業の方をお呼びし、参加者同士の交流の場にもなれるようなイベントにしていきたいと思います。
(レポート:結城 菫 )
問い合わせ
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