こうち100人カイギvol.14 ~理想を夢にひたすら行動する~
地域で働く100人をきっかけに、まちの在り方や価値を再発見し、ゆるく人を繋げる「100人カイギ」がKochi Startup BASE®︎(以後KSB)を拠点として2019年1月よりスタートしています。
新型肺炎の拡大により一時的に休止していましたが、vol.13よりオンラインイベントになって再開しました。
ルールは1つ。「ゲストが100名に達したら解散する」。高知で活躍するゲストを毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただきます。
今回は、2020年10月27日に開催されたこうち100人カイギvol.14の様子をレポートします。
高知県内外、多様な分野で活動する5名の方々をオンラインで繋ぎ、それぞれが自分自身の生き方や働き方について話題提供を行った後、参加者とともにネットワーキングを行いました。
オープニング、アイスブレイク
はじめに、100人カイギ、KSBの概要について紹介を行ったあと、アイスブレイクを行いました。今回はzoomを使ってのオンライン開催ということもあり、名前変更機能を使って、名前の後ろに@で、『好きなお菓子』を記載していただきました。ハロウィンが近い、ということもあり、皆さんお気に入りのお菓子の名前を記載してくれました。
各者各様の想い
登壇者1
大鳥 愛さん(デザイナー)
大阪府堺市出身。21歳で単身渡米後、グラフィックデザイナーとして都内デザイン事務所に就職。ローカルデザインに転向し、高知県越知町へ移住。地域おこし協力隊としてイベントづくり・場づくりを中心に活動。協力隊卒業後起業し〈オオトリデザイン研究所〉を設立。全国プロジェクト「熱中小学校」の高知校〈越知ぜよ!熱中塾〉の事務局長に就任し、高知県の人づくり・仲間づくり・場づくりを行なっている。地元の友人と〈サカイラボ〉を立ち上げ、SNSで地元堺市の小ネタやお店を紹介している。最近では『繋がり』をコンセプトに高知県を全力で楽しむコンテンツ〈とさラボ〉を展開中。
地域をまるごとデザインする
アメリカの大学に進学した後、都内のデザイン事務所でデザイナーとして、主にB to Bの仕事を行ってきた大鳥さんですが、仕事をする上で消費者の顔が見えない寂しさを感じる部分もあったと話しました。
同じ頃、大好きな梅原真さんの本を何冊も読むうちに、地域の問題・課題解決のためのデザインがしたい、と強く感じるようになりました。そんな思いから、越知町の地域おこし協力隊として地域の課題に密着するように。地域をPRするCMや、移住者目線で魅力を伝える『おちぞね』というフリーペーパーの作成などを行いました。その他にも『越知ぜよ!熱中塾』という町内外の人と学び合うイベントの事務局を担うなど、今やグラフィックデザインにとどまらず、『地域をまるごとデザイン』する仕事をしています。
現在までの活動には、「仲間の存在が大きく影響している」「たくさん泣いたこともあったけど、今は仲間がいっぱいいるので楽しく活動しています」と笑顔で締めくくりました。
登壇者2
陶山 智美さん(おすそわけ食堂まど 店主)
鳥取県出身。中学生の時に農村の衰退や食料問題に関心を持ち、現在高知大学農林海洋科学部に在学中の22歳。
中山間地域の農業を盛り上げたいと様々な活動をする中で、生産現場の課題のみならず消費者側の抱える課題にも気付いたことをきっかけに、日々の食事から課題解決を目指す場所の立ち上げを決意。2020年9月より香美市で日替わり晩ごはんを提供する食堂を運営している。好きな食べ物は炊きたての白米。
食卓を囲むこと
生産者からのおすそわけ食材を使った、日替わり定食を提供している『おすそわけ食堂まど』。店主の陶山さんは食に困っている人が普段使いできることを意識して、作り手とのつながりを感じられるよう、日々工夫しています。
物ごころついた頃から人に喜んでもらうことが好きだったことをきっかけに、高校、大学では、多くの人のためになり、かつ大好きな自然と関われる『農業の道』を選んだ陶山さん。学びや経験を深める過程の中で、多くの人に届けるためには、まず身近な人の「食べること」を整える必要があると気付きました。
この課題意識から、まずはご飯をしっかり食べてもらうこと、フードロスを減らし、生産者の賃金ややりがいの向上、将来的には子育てと仕事の支援など貧困問題にも向き合っていくことが『おすそわけ食堂まど』の目標になりました。「あなたと私が、今日もこの先も、心身を満たす食卓を囲めること」を、この食堂を通じて実現していきたいと決意を語ってくれました。
登壇者3
竹村 俊斗さん(四万十町役場企画課広報情報係 広報・シティプロモーション担当)
1996年12月3日生まれの23歳。高知県四万十町生まれ四万十町育ち。高校卒業後、役場に就職。健康福祉課→企画課まちづくり推進室→企画課広報情報係。広報紙の作成、動画制作、チラシや通知書のデザイン、SNSでの配信などを担当。広報は、伝え方と伝わり方次第で、人を元気にできるチカラがあると信じている。魅力がたくさん詰まった四万十町で、まずは隣にいる人を、そしてまちの人を、そして日本の未来を元気にすることを目指し奮闘中。最近のブームは、広告コピーを見ること。
身近なひとから町全体へ
四万十町出身で、町の広報担当として広報紙の作成、公式Instagram、LINEの運用などを幅広く業務を行う竹村さんが今、目指しているのは、役場の広報力を上げること。
住民の方にわかりやすく情報が伝わる、ということは発信者側である職員にとっても、正しく伝わらないことによる行き違いや、説明不足によるトラブルを減らすことができ、お互いにメリットがあると考えています。そのためにはと、自らデザインやコピーライトの勉強をするだけでなく、他部署でも広報作成の相談に乗るなど積極的に行動し、役場全体としての広報スキル向上を目指しています。
広報紙は人をつなげるツールでもある、と話す竹村さんは、職員同士の交流のきっかけになることを目指して、コロナ禍で交流の機会が少なかった新規採用職員のインタビューを掲載した初の庁内報の作成も試みました。
『とにかくやってみること、とことんこだわりぬくこと、隣の人や仲間を喜ばせること』を自身のモットーとして活動していると話してくれました。
登壇者4
吉岡 亮さん(合同会社 空中八策 代表)
1989年(平成元年)1月31日生まれ31歳。 高知市生まれ高知市育ち。高知商業高校卒業後、兵庫県の大学へ4年間、岡山の建設業へ就職し6年間、合計10年高知を離れるも、2018年8月に高知へ帰りドローン専門会社 空中八策を設立。理念は「感覚の奥にある感動を引き出す集団」主にTVCMなどの映像制作、ドローンライセンス発行、ドローンによる点検業務、農業用ドローン販売などを行う。仕事では、まだ理解度が浅いドローンを駆使し、とにかく何でもチャレンジする事を心がけて生きるようにしている。趣味はドローン、カメラ、車バイク、音楽、家電、旅行、お酒、ゴルフ、みんなで何か作り上げる事。最近子供(現在1歳)が生まれ、溺愛中。
「今に満足しない」
高知市上町育ちの吉岡さん。坂本龍馬と学区が同じということもあり、『空中八策』という名前のドローンを専門に取り扱う会社を立ち上げました。現在は仕事でドローン撮影や動画編集を行うだけでなく、『高知ドローン協会』の立ち上げや様々な経営者団体に所属。様々な活動する中で、高知の未来についても深く考えています。
吉岡さんは、生きる上で大切にしていることをいくつか話してくれました。まず「飽きろ、目移りしろ」ということ。飽きることは成熟であり、次のことにチャレンジするための余裕だといいます。だからこそ、どんどん飽きて新しい情報を入れることが大切です。
もうひとつは、「適度な背伸び」をすること。今自分のできることを1と例えると、1.1に挑戦し、それを積み重ねていくことで結果が変わっていきます。
そして、一番大事なのは「今に満足しない」こと。妥協せず、少しずつ背伸びしながら新しい景色を見ていきたい、と話してくれました。
登壇者5
和田 栄治さん(土佐塾中学高等学校 教員)
1977年生まれ。高知県高知市出身。
東京の私立大学を卒業したのち高知に戻り、高校教諭として高知県立学校の教員を19年務めたのちに昨年度退職し、現職に至る。
前職では「文科省指定のSGH(スーパーグローバルハイスクール)事業」の指定校にて研究主任をしながら、高知県国体成年男子バスケットボール競技のコーチとして指揮をとる。昨年度より「Tosa Educators Guild(TEG)」の共同代表として学校外での教育活動も開始している。
高知から教育を変える
土佐塾高校まなび創造室の室長で、「Tosa Educators Guild(TEG)」の共同代表でもある和田さん。特徴的な衣装は、昨年訪れたオマーンという中東の国の正装。衣装のあまりの格好よさに3着も購入したそうです。
そんな個性的な和田さんが関わる土佐塾高校の新しいコース、『まなび創造コース』の考える学びの内容もとても個性的で、これまでの教育を大きく変えるプログラムになっています。入学試験では、一回きりのテストで学力を測るのではなく、入試のプロセスを学びに変えてほしい、という願いから、自己PR動画を提出してもらい、伝え方や理念、想いなどを評価します。
入学してからのプログラムも、学校教育でタブー視されがちな、お金を稼ぐことはどういうことか、を外部の講師とともに実践しながら学べる授業を企画し、「学校はこうだったらいいな」を実現できるものにしていきます。「6年後、初めての卒業生ができたとき、ニヤニヤしている僕の顔が見られるのを楽しみにしてみてください」と展望を語って締めくくりました。
ネットワーキング
登壇者と参加者の垣根を超え、ゆるくつながるネットワーキングの時間。
今回はオンライン開催でしたので、ブレイクアウトルーム機能を使って、いくつかの部屋に分かれて行いました。参加者一人一人と顔を見て話せるように工夫し、同じ方だけではなくたくさんの方と話せるように入れ替え式で実行。
入れ替えの時間には、それぞれの部屋でどんな話題で盛り上がったかを簡単に共有しました。
総括
2回目のオンラインでの開催となった今回の100人カイギ。
今回ご登壇いただいた5名の方は、それぞれご自身の考える理想の状態に近づくために日々の努力を丁寧に積み重ねてらっしゃるように感じました。またその想いや活動を、一人で完結するのではなく、仲間やファンになってくれる人、応援してくれる人と共に広げていっている点も共通しているように思いました。
ネットワーキングの時間には、参加者の方と登壇者の間で共感の輪が広がったり、この時間をきっかけに、後日、実際に登壇者のもとを訪れたりといった行動につながっていたのも運営としてとてもうれしく思いました。
(レポート:檜山 諒 )
100人カイギとは
100人カイギは、一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の“身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動です。2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/