【レポート】Live × Work(ライブワーク)vol.3 テーマ:官民連携
2019年11月2日、「Live × Work(ライブワーク)vol.3」がKochi Startup BASE®(以下、KSB)にて開催されました。
高知県内の公務員の生き方や働き方を知るイベントの第3弾。
今回のテーマは『官民連携』「官民連携プラットフォーム(通称:よこらぼ)」を展開し、約3年弱で110件の提案、採択した新しい事業62件と、職員数が90名弱の町で何か起きているのか、担当者から直接話を伺いました。
<ゲスト公務員>田端 将伸さん(埼玉県 横瀬町まち経営課)
1974年、横瀬町生まれの横瀬育ち。
地元の小・中・高を卒業後、横瀬町役場へ入庁。
税務課固定資産税担当、総務課財政担当、振興課観光担当を経て、まち経営課政策担当として現在に至る。
「小さな町だからこそできることがある」を信条に活動。民間・団体等との新しい関係性を築くための仕組み、官民連携プラットフォーム(通称:よこらぼ)を担当。
チェックイン
最初に、名前と所属、今の気持ちを順番に発表しました。参加者同士も顔見知りが多く、少人数での回となったため、和やかな雰囲気で始まりました。
田端さんによるプレゼン発表『小さな町の官民連携』
その後、田端さんのお話がスタート。お話の前に、ある一本の映像を見せてくれました。
プロジェクト誘致のひとつ、『横瀬クリエイティビティー・クラス』の様子です。クリエイティブの力を使って、地域課題が解決できないかという目的のもと、行なった取り組みです。
内容を説明してもらい、映像を見終わったあと、横瀬町の紹介をしてくれました。
人口は約8,200人で、役場の職員数は町長も合わせてちょうど90人ほど。横瀬町も他の地方と同じく人口減少が見られている状況で、消滅可能性都市だと言われています。そのことを踏まえて、町が維持できる戦略人口5,400人を目標に置き、人口減少に備えることの必要性を感じたそうです。
こうした現状を受け、今まで通り同じようなことをやっていてもダメだ、という危機感を抱きます。そこで、町の強みと特徴を考え、民間活力を積極的に利用して化学反応を起こす、という発想から生まれたのが『よこらぼ』でした。
『よこらぼ』は簡単に言うと、行政と一緒にやりたいことを広く募集し、採択されたらプロジェクトを素早く始動させる、という流れです。こうしたスピード感も小さな町の特徴と言えます。
『よこらぼ』を始めて3年間で提案は114件、その内、採択は63件。
職員数も少ない中で、仕事も増えていきますが、提案がベースとなり情報収集が出来て、社会で起こっている変化を何となく理解できるようになったそうです。
採択したプロジェクトの内訳としては、県外(ほぼ東京)が42件と大部分を占めます。元々、外部の力を呼び込むことが目的だったのですが、近年では行政と一緒にやりたいという地元側の提案も増えてきました。
こうしたことを通じて町の知名度を上げることは、色々な場面で良い効果が見られます。移住の側面から見ると、知られていない町は候補にも挙がりませんが、こうした取り組みをしていることで、「様々なチャレンジをしている町で面白そう」というイメージを持ってもらえます。
また、「よこらぼ」でチャレンジする人は、熱意のある人が多く、さらに熱意のある人を呼んでくれる、という好循環も生まれます。
お金(財政的な支援)を出さない代わりに、職員が一緒に伴走・相談することが多い役場は、熱意の無い人たちとのプロジェクトは疲弊しか残りません。だからこそ、職員数の少ない横瀬町では、熱意の有無はプロジェクトの採択に大きな影響を受けるそうです。
後半は『よこらぼ』を通じて生まれた事業や取り組みの事例をご紹介いただきました。
新技術の活用や遊休資産の活用の他、『はたらクラス』や『よこぜプレゼン部』といった子どもたちに向けたものまで様々。
田端さん個人としては、今までは社会の流れに任せてきた行政のやり方や考え方、いらないプライドも捨てる、と考えています。また、課題が多いと言われる地域だからこそ、その分、地域を良くするチャンスが多い、と捉えています。よって、その地域を変えることができる『地方』の公務員は面白い、と話します。
終盤には、小さな地域、小さな町を変えるために必要なことを教えてくれました。
「閉鎖的」をオープンにすること。役割分担を明確にして、行政の不得意とする分野は外に任せること。様子を見て考えて、変更してやってみることを繰り返すこと。仕事を減らす工夫をすること。
どれも、これまでの田端さんの経験から導き出されたものです。
最後に「消滅していくと言われ続けている地方が、逆にそれぞれ面白い地域や地方になったら、日本は良くなる。地方が国を変える。ここからが面白い」と、笑顔で締めくくってくれました。
対話の時間
後半は、田端さんを囲んで感想や、もっと深く聞いてみたいこと、自身の悩みを自由に話す対話の時間を実施しました。
参加者からは、「職員の意識を変えるためにはどうしたら良いか?」、「どのように連携していけば良いのか」などリアルな現場の声が聞かれました。
田端さんも、ひとつひとつの質問に丁寧に答えながら、講演では聞けなかったエピソードや現場での苦労話などをしてくれました。
チェックアウト
チェックアウトでは、今日の感想を一言ずつシェアしました。ある参加者からは「全員でやろうとしなくても良いと気付けた」といった感想も聞かれ、田端さんのお話がヒントになったり、前向きな気持ちを与えてくれたりしたことが伝わってきました。
※総括
今回は、実際に現場で奮闘している田端さんのお話を聞きながら、公務員という仕事の奥深さを感じました。印象的だったのは、熱意のある人を呼ぶというエピソード。職員が疲弊しないために、という想いを持たれていることに驚き、また、こうした考えがあるからこそ様々な取り組みができるのだと考えさせられました。
実際に横瀬町に行ってみたい、と思うほど、田端さんもとても魅力的な方でした。
(レポート:上野 伊代)
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