【ジャーナル】こうちアントレプレナーナイト 連続セミナー #8 地球をキレイにするビジネスモデル~オーガニック産業を仕事にする方法~
「こうちアントレプレナーナイト」は、高知県内で活躍する先輩起業家を招き、起業までの道のりや苦労話、起業するにあたっての心得など、実体験をもとに紹介してもらう、対話形式のセミナーです。
また、参加者が考えているアイデアがある場合は発表し、ゲストと参加者が一緒に、そのアイデアを磨き上げる参加型のプログラムとしても機能させていきます。
第8回目の講師は、鳥谷恵生さん(四万十オーガニック代表/有限会社高生連 青果マネージャー)。
『地球をキレイにするビジネスモデル~オーガニック産業を仕事にする方法~』と題して、農薬を使わなくてもおいしい野菜を作れる方法との出会いから、マーケティングの重要性まで、最前線で活躍する鳥谷さんの経験に基づいたお話を聞かせていただきました。
鳥谷恵生さん(四万十オーガニック代表/有限会社高生連 青果マネージャー)
1989年生まれ。高知県四万十市出身。
小学校1年生時に親の一言が影響し「地球をキレイにする事を一生の仕事にする!」と決める。現在は自然環境に優しい農産物・加工品の生産・流通・販売事業を行い、大手生協~地域の自然食品店や飲食店まで幅広い販路があり、多数の農家販売先を開拓している。また、新規就農者支援策として、売れる野菜品目情報・堆肥提供などを行う。土佐の日曜市への出店や高知 蔦屋書店オーガニック・エコマルシェなども運営中。
現在の仕事に至るまで
最初にタイトルに込めた想いを話してくれた鳥谷さん。オーガニックを仕事にしていることは、自分自身のライフワークであり、一生をかけてやることだと力強く語りました。
鳥谷さんは代々、米作りをする農家の家に生まれ、農家を引き継ぎました。工科大学に通っていましたが、やりたいことがあったため中退。
土佐山の有機農業の研修を受け、その土佐山が、ひろめ市場に飲食スペースを出店することになったので、この立ち上げにも携わりました。
その後、有機農業が広がるためには、販路が重要になることを考え、約30年間、高知でオーガニックの流通事業を行っている『有限会社 高生連』に就職。
現在は、地元の四万十市で『四万十オーガニック』という団体を設立し、生産から流通、販売のすべてにおいて農家さんをトータルサポートできるような取り組みを始めています。
起業のきっかけ
次に話してくれたのは、起業のきっかけでした。
話は、小学校1年生のときに遡ります。
ある日、たまたま川の中にあったゴミを拾って持って帰ったところ、母親から「あんた、地球を守ったね」と言われ、その言葉に衝撃を受けました。
この頃、ヒーローになりたかった鳥谷さんにとって、その一言はまさに自分はヒーローだ、と思えるもの。そのときから、将来は自然を守るような仕事をしたい、と考えるようになりました。
同級生が7人しかいない田舎の学校から、大人数の学校に進学した鳥谷さん。当時は自分に自信がなく、なかなか本音も話せず、友達も少なかった、と言います。
それでもテニスに打ち込んでいましたが、一生懸命になりすぎて、17歳のときにうつ病を発症。「自分なんていなくなった方が良い」と思い詰めてしまい、風邪薬を100錠飲んだり、3階から飛び降りたりしたそうです。
そのとき、色んな人たちが助けてくれたことによって、友達の価値や人生の大切さを知りました。
人を幸せにしたい、仕事をたくさん作るんだ、という小学生のときの想いが蘇り、さらに進化して将来、起業することを決意した、と話してくれました。
オーガニックの印象は?
自己紹介や起業をした経緯を話してくれた後は、オーガニックのことについて話してくれました。
「皆さんに聞きたいのですが、オーガニックってどんな印象ですか?」と参加者に問いかけます。「無農薬、体に良い」、「イメージですが手間がかかりそう」という声や、実際に農業をしている方からは「オーガニックは大変。でもそれ以上のものがあります。次の時代まで残していけるものが作れる」という声まで様々。
こうした声を受けて、「オーガニックの印象は色々あると思います」と話します。続けて、ひと昔前までは「野菜が虫に食われるのは安全な証拠」と言われたり、オーガニックは色々作ることが出来ない、といったイメージも持たれたりしていましたが、今は変わってきています。
綺麗にできる上に、栄養価も高くて美味しい野菜が作れるようになっているほど、栽培技術が進化しているそうです。
販路の確保が大切
どんな業種にしてもそうですが、特にオーガニックにおいて、販路は非常に重要なものです。自分が好きな野菜を作るのは良いのですが、作ってから売り先を考えるのはとても大変です。
例えば、小松菜は30日ほどで出来ますが、野菜がもつのは収穫後の2、3日のみ。その間に、売り先を考えるのはあまり良いことではありません。
そうならないために、最初から小松菜が欲しい業者さんとタッグを組んで、そこに向けて作っていきます。
また、はじめに価格や量もある程度決めていれば、安心して作ることができます。そういった意味でも、販路は大事な要素です。
特に新規就農者にとっては、その部分を軽視してしまうと、大損になってしまうことも。売れずに畑に捨てることになり、とても高価な肥料になる事態もあり得るからです。だからこそ、販路の確保が必要だ、と鳥谷さんは話します。
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