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【ジャーナル】[Part 3]こうち100人カイギ vol.8 川村淳(や農園 一生平社員)/須江勇介((有)With代表)

2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。
今回は、2019年9月18日(水)に開催された、vol.8に登壇いただいた5名、1人1人の話にフォーカスを当てています。

8回目の今回は、高知県移住・交流コンシェルジュの方々に協力いただき、高知県に移住し活躍している5名の方にお話ししていただきました。
参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.8の登壇者>
5名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、こちらの記事もチェック!
※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。

岡本 明才さん(Part 1掲載)


柿谷 奈穂子さん(Part 2掲載)
河井  舞 さん (Part 2掲載)


川村  淳 さん (Part 3掲載)
須江  勇介さん (Part 3掲載)


4人目の登壇者は、や農園 一生平社員 の川村 淳(かわむら じゅん)さん。

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1979年生まれ、高知県高知市出身。高校卒業後、福岡県の大学に進学し、4回生の時には1年間、語学を学ぶ為にアメリカに留学。帰国後福岡の大学を卒業し、愛媛の建設会社に入社、香川県に配属。約9年間の勤務の後、新規就農者として夫婦で平成25年から農業を開始。現在、オーガニック(有機栽培)農家として主に春野町でお米と野菜を栽培。販売先としては土佐の日曜市をはじめとし、木曜市に出店。平成29年の8月に飲食店『おにぎりや農園』を開店。令和元年7月から蔦屋書店オーガニックエコマルシェにも出店。現在に至る。『自然と共に』をモットーに現在、『おにぎりや農園』スタッフ6.5名、『や農園』2.5名で運営できる農業を目指して現在も模索中。

農業を始めたきっかけ
元々農家とは程遠い建設業という分野で働いていた川村さん。当時勤めていた会社は、本を月に一冊読み、読書感想文を書いたり、ビデオセミナーを受け、感想文の提出義務があったりと、社員教育が厳しい会社だったと話してくれました。しかし、営業成績でトップを取るなど、仕事自体は楽しかったこともあり約9年勤めました。農業を始めるきっかけとなったのは、奥さんの「環境のことについて勉強がしたい」という言葉。「自分たちでできることは何か。」奥さんとともに考えた結果、環境に優しい農業をしよう。そして、農業の中でも農薬や化学肥料を使わない有機野菜を作ろう、と農業の道に踏み込むことになりました。


農業のイメージを変えたい
まず高知県土佐町にある『有機のがっこう 土佐自然塾』に奥さんが一年通いました。有機のがっこうは、高知県と民間の一般社団法人が協力して立ち上げた、有機農業人材を育成する機関。授業を受けるだけでなく、実技を通して、一年間有機農業について学ぶことができます。卒業した後、学校から奥さんに講師の補助員をしてくれないかと依頼があり、引き受けることに。それから川村さん自身も学校の主催する月1回の公開講座に参加し、農業や有機野菜に関する様々なことを勉強しました。当時、農業は儲からないとイメージが強く、周囲でも辞めていく人が多かったと話します。建設業で働いている時の社員教育のおかげで経営に興味が持てたこともあり、儲かるほどではなくても農業でサラリーマンと同じくらいの水準まで持っていきたい。川村さんの有機野菜を作りたい、という思いには、農業をなんとかしたい、という強い思いも含まれていました。

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土台を丁寧に
有機野菜を作る、と決断し、最初の2年間は土作りに専念しました。そして3年目に種を植え、収穫へ。初めて自分の手で行う農業は、わからないことだらけで、うまくいかないことばかりでした。が、小さいながらに出来上がった野菜の味は美味しかった、と当時を振り返りました。しっかりと土作りを行なったこともあって、どんどん野菜が収穫できるようになりました。「土さえできれば、なんでもできる。」農薬も使わず実践している現状を、笑顔で話します。


消費者と直接つながる
今の日本全体の農業は、農家が農業協同組合(JA)に卸し、その卸した野菜をさらに市場に卸して、仲介人を介し、小売店に届き、消費者が購入するという流れ。川村さんは、この一連の流れで中間のルートは必要なのかと疑問を持ちました。考えた結果、農家と消費者がつながることが一番早いと考え、行なったのが土佐の街路市・日曜市への出店。日曜市は、地元の方はもちろん観光客の利用も多く、1日1万人以上の人が訪れる生活市です。日曜市に出店することで、いろんな人と出会えて、情報ももらうことができ、消費者と生産者の繋がりも見えてきたと話してくれました。

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農業だけでなく、その先へ
農業を続けていると、「お米ができすぎて、どうやって売ろう。」という嬉しい悩みが出てきました。そこで、自分の畑でできたお米を使って、おにぎり屋さんをやろうと思いつきます。お米だけでなく、有機野菜はどういうものなのか食べてもらいたいと考え、2017年の夏、『おにぎりや農園』というお店をオープンしました。自分の作る野菜だけでは賄いきれないので、有機にこだわる農家さんの野菜も使っています。今の川村さんの目的は、より生産者と消費者が繋がれる形作りをするということ。そのために、これからも頑張って野菜を作っていかなければ、と最後に意気込みを話してくれました。



5人目の登壇者は、有限会社With代表の須江 勇介(すえ ゆうすけ)さん。

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1983年生まれ。愛知県名古屋市出身。幼少期は東京都、中高生時代は高知県で育つ。韓国への留学、東京都でのエンジニアを経て、2005年に高知に帰郷し、現在代表を務めているWithを設立。妻と子供2人、犬3匹、猫2匹と土佐山で暮らしている。デジタルマーケティングのプランニング領域、事業開発と若手の育成を中心に活動。趣味は、アウトドアと家族旅行。暇さえあればどこかに出かけている。

自分の思うままに
須江さんの生まれは名古屋ですが、小学校は東京、中学・高校は高知、と転々と暮らしてきました。大学時代に経験した韓国留学に思い入れがあり、韓国に戻りたいという気持ちで、『PRICER』という会社の立ち上げに携わった後、高知で現在代表を務めている『With』という会社を立ち上げました。元々は韓国に戻りたくて創業したものの、どんどんお客さんがつき、早くも14年。
現在は高知市内から30分で行ける山奥、土佐山に住んでいます。家の下には川があり、キャンプ場に住んでいるみたいと笑いました。
そんな須江さんは、今の時代を、「やりたい仕事をしながら、住みたい場所に住んで、いきたい場所に行けるそんな時代」と話しました。


旅をすること
趣味はアウトドアと家族旅行。国内はもちろん、遠くは海外まで旅をし、うまく田舎で暮らしていると話しました。須江さんがなぜ旅行をするかというと、過去に知人から教えてもらった「発想と移動距離は比例する」
という考えが心に残っているからです。移動することでいつもと違う景色が現れて、知らず知らずのうちに凝り固まった頭がほぐれていくのではないか。一つの場所に囚われることなく環境を変え続けることで、自然と新しい発想が生まれてくるんじゃないか、と思うそうです。
遠くに行けば行くほど、常識や文化も、言葉だって変わってきます。違いを体験して、元いたところに帰ってくると、それまでに常識だと思っていたことがそうではなかったということもしばしば。そんな風に物の見方を変えさせてくれるので、旅や移動することは素敵なことだ、と話してくれました。

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食品ロスに向き合う
須江さんは、2005年からずっとデジタル・ウェブマーケティングをやっています。企業の集客用動画を作ったり、ウェブサイトを作ったりして、その反応に対するSNSでの効果観測なども行なっています。様々な企業相手に仕事をしていますが、そのなかでもスーパーマーケットとのやりとりであることに気がつきました。
それは食品の廃棄問題です。とあるスーパーで売られている食品は、年間約100億円分、廃棄されている現状。これを日本全体で見てみると、なんと年間2759万トンの食品が廃棄されていました。須江さんはこの廃棄問題に目をつけ、現在はフードロスをなくす活動を行なっています。
活動内容としては、『もぐにぃ』というキャラクターを作り、キャラクターと一緒に楽しく、捨てるのを減らそうという取り組みです。
消費期限の迫った食品に貼ってある『もぐプラシール』を、専用台紙に貼って集めると、子ども食堂などへの食料支援をしている市民団体『フードバンク高知』へ寄付したり、お菓子など商品が当たるお楽しみ抽選くじが引けたり、と楽しみながら、消費者が食品ロス問題に取り組めるよう働きかけを行なっています。今までの豊かさと規模を求めてきた社会から、豊かだけど無駄がない最適化された社会になるよう、『捨てる常識を、棄てる』という想いが『もぐにぃ』というキャラを通して、たくさんの人に伝わってほしいと考えています。


常識を棄てる
須江さんと仕事をしているメンバーの中には、『デュアルライフ』を行なっている人がいます。この言葉は最近使われるようになった言葉で、一か所にこだわらず住む、という現代の生き方を示す言葉。そのメンバーは、月半分首都圏に住み、月半分高知で過ごし、時折外国に旅に出る、という風にとても自由に暮らしています。自分自身もそうであるように、住みやすい場所に住んで、稼げる場所で稼ぐ、というこれからの移住の在り方も提案してくれました。
最後に須江さんは、変革は辺境から起こるかもしれないと思っており、変革を起こせる仕事をしたい、と話してくれました。

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【総括】
建設業から農家へと転身した川村さんと、長年Web関係のお仕事をしている須江さん。
一見共通点はないように思いましたが、今まで当たり前、常識と思ってきたことを変えたい、どちらの話の根底にあり、その思いは参加者にしっかりと伝わったのではないかと感じることの出来た時間となりました。


(レポート:畠中 詩織)


100人カイギとは
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。

お問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座90-1 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

皆様からいただいたサポートは、今後の活動・運営に使用させていただきます。