心が温まる絵本
ずっと気になっていたかわいい絵本を読んだ。
大人も絵本に癒されたって良い。
「さいごのこいぬ」
文・絵 フランク・アシュ
訳 ほしかわ なつよ
発行所 童話館出版
第一刷発行 2005年8月10日
9匹のうち一番最後に生まれた子犬、ぼく。目を開いたのもミルクを上手に飲めたのも最後、夜に犬小屋に入るのも最後。子犬たちが売られる日が来て、これまた最後になるのかと不安そうなぼく。あの手この手で選んでもらえるようアピールするも裏目。やっぱり最後に。いつだって最後だったぼくが「一番最初」になれる瞬間はやってくるのか…?
誰かにとっては最後でも、誰かにとっては最初の存在。誰かにとっては脇役でも、誰かにとっては最愛の人。そんな状況はどこにでも巻き起こっている。それは当然のことの様でいて、面白くて少し不思議でもある。万人から同じ見られ方をしたり、万人と同じ関係性を築くことはまずないわけで、大切なものがどこにあるのかを見誤らずに過ごしたいもの。経験から思い込んで決めつけてしまうことは誰にでもある。それが一瞬にしてひっくり返る瞬間が、柔らかく描かれている。
表紙はの子犬の顔は、お腹が空いた人たちに自分の顔を差し出しては「人を助けると胸がぽかぽかするんだ。」という生粋のヒーロー、アンパンマンのやなせたかし先生を思わせる。ゆっくりと動き出しそうで、優しく温かい配色のイラストに心がぽわんと温まる。実際に目の前にいたら放っておけないであろう「ぼく」の表情に魅了され、肩の力が抜ける。気分をほぐしたい時におすすめの一冊。
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