軽トラ都心部インプレッション
普段,私は新潟とか群馬とか,そういった郊外で軽トラに乗ることが多い.もちろん,本来は農業といった用途で使うのが当たり前なのでそういう土地で使うように設計されているのだから当然である.しかし,それ以外の場所での軽トラの運転はどう感じるのだろうか.
車をたくさん乗る人なら共感が得られると思うが,田舎と都会では走り方の意識する点が全く異なる.例えば,田舎では信号にさえ従っていればよく,またその従うべき信号も1キロ以上の間隔で設置されていることが殆どだ.しかし都会は信号の間隔が100メートル間隔であるほか渋滞も相まってストップアンドゴーが多発する.また,いたるところに原付や人がおり神経を酷使する運転が必要だ.
しかし私は「都会にこそ軽トラではないか」という思想を昔から抱いていた.というのも,都心部の道は狭く,車が通ることを考えていないものが殆どだ.車の中で最も最小回転半径の小さい,要は最も小回りが利く車であればストレスなく走れるのではないかといったものだ.
さて,先日私は東京でMTの軽トラックを運転する機会に恵まれた.試乗するのは友達の先代ハイゼットトラック.スロコンが搭載されているなど,多少の改造が見受けられるが,評価点に支障はないだろう.また,サムネイルの写真は友人が運転している際のものだが,まあ大体同じような場所を走ったと思っていただければいい.
…結論から言えば最悪だった.
まず細い道での取り回しであったが,それは凄くよかった.しかしながらMTであるが故にストップアンドゴーが多発し,非常に疲れた.軽トラは加積載時でも問題なく発進できるように,低速トルクが強く出るような設計がされている.そのため,常時扱いづらいパワーレンジでの運転を強いられることとなったのだ.特に,人の往来が激しい道では一瞬の操作ミスが人の命を奪いかねないので非常に神経を使った.
さらに首都圏は坂道が多い.MT車は坂道発進が地獄の車だ.それが軽トラとなればなおさら難しい.郊外のほうが山道があり,坂道発進の運転が出来ていると思うだろうが,実は全く逆である.軽トラを運転するのは平らな田んぼなのだ.坂道発進など全く練習していない.挙句,山道は信号など無いので停まることが無い.しかし首都圏は丘の上にも無理やり町を作った都合上,道路の勾配が激しく,また坂道にも遠慮なく信号が配置されているのだ.正直言うと4回エンストした.後続車両には迷惑をかけてしまって本当に申し訳ない.
とにかく,MTの軽トラは首都圏での運用に全く適していないことが判明した.もちろん私の練度不足というものもあるのだが,初心者が首都圏に行くべきではない.安くて楽しい車ではあるが,選ぶ際には慎重になったほうが良いかもしれない.運転に自信がない私のような人間は大人しくATを買うべきだろう.