僕が公務員の時にアウトソースにチャレンジした話
こちらの内容については、イノウエガク様の動画に出演させていただいた時にお話ししていた内容を文章化したものになります。
(記憶で書いているので内容に相違がありましたら申し訳ございません。
確認しますので教えてください。)
公務員になって一番いやな仕事。
僕の公務員ライフは新卒入庁でしたが、割と大きなミスやトラブルに見舞われることもなく、
上司にも恵まれ先輩職員にも恵まれ・可愛がっていただいていたので本当に毎日楽しく業務に取り組んでいました。
ですが、流石に仕事なので嫌な業務というのはどこかに潜んでいるんですよねえ。
それが、子ども医療証の一斉更新の封入封緘作業でした。
(東京都の場合乳幼児・義務教育でそれぞれマル乳・マル子と制度を年齢で分けていました。が、めんどくさいので子ども医療証と表現を統一します。)
僕の勤務していた自治体ではおよそ1万5千人に対して発送処理を行っていました。
入庁したときのおおよその流れをまとめるとこんな感じです。
東京都から共同調達の有無の調査が来る。(医療証の用紙・ポリプロピレン袋を東京都の一括調達で依頼するかどうかの確認が来ます。)
ぶっちゃけ紙の共同調達、楽なんですけど死ぬほど高かったので相見積もりを取得し地元の企業へ用紙の発注をする。と同時に、東京都へ共同調達の回答をする。紙のゲラチェックが来るので、問題なければそのまま印刷。と同時並行して、システムベンダーとテストや税法改正等の対応を行う。
東京都からポリプロピレン袋が来る。用紙が民間業者から納品される。
残業して、夜間に更新処理とpdfデータの作成・封入封緘用リストの作成をする。翌日システム担当課に連帳用プリンターの印刷依頼を行う。
(連帳て変換されなかったので公務員用語?と思ったら普通に使われてる用語でした。)翌日印刷された用紙を受け取り、手で1万5千通の連帳用紙から切り離す。が、この時に順番を崩すとのちの作業に響くので順番を崩さないように作業する。(ここからは、臨時職員さん5名と一緒に1か月くらいかけて作業、日中も作業・夜も残業。)
制度とシステムの都合で、乳幼児と義務教育は別々のpdfで印刷をする(用紙も違う)ため、そこから世帯毎にまとめて封入する。この時にポリプロピレン袋と案内文を同時に入れていました。
チェック2回。して封緘。
郵便局に引き渡して終了。
て感じでしたなげえ。
正直、入庁して一番嫌いな仕事が6~7のバラバラになっている医療証を世帯別に封入するために切り取るのも気を遣わなければならず、その後世帯別にまとめるという作業がどうしても効率的に思えず、しかも単純作業が超苦手なダメ人間なんです僕。
しかもこれ、当たり前なんですけど人間がやっていて世帯別にまとめるという作業がある時点で誤送付のリスクがあるんですよね。
そういうリスクマネジメントもできていませんでした。
他にもリスクが。
そもそもなんですが、料金後納郵便の大量発送における割引適用の条件は基本的にすべて同じ重さの郵便物であることが前提で割引する制度です。
僕の勤めている地域の郵便局は比較的緩かったので、25g以下であれば・・・とお茶を濁しつつ、引き受けていただいていました。
ですが、世帯別にまとめて送付している以上重さは一緒になるはずもなくw
(そのために測ってました笑 信じられん)
これですね、区内特別。懐かしすぎて見つけるの大変でしたw
これですね。ちゃんと同一って書いてありますよね!!!
係長も僕が採用されたタイミングと同じタイミングで異動されてきていたのですが、この世帯毎にまとめることで重量が同一でないのを懸念しており来年は何らかの策を講じないとねと話していました。
ということで2年目。
まず、何に着手したかというと単純なことです。
世帯単位の送付から、個人単位への送付に変更。
ぶっちゃけ、市内特別料金の金額が今ほど高くなく個人単位にしても人件費圧縮できる分むしろ黒字になる見込みで財政課と折衝していました。
結論から申し上げますと、1か月かかっていた封入封緘(もちろんチェック2回実施)が2週間で終わりました。それも正職員の残業や日中作業ほぼ0になりました。
なので、実はこの時点でかなりの費用効果がありました。
が、正直紙の印刷等の正職員でしかできない作業がまだ多く残っており、どういう形であればアウトソースが実現可能なのか検討し、仕様書を作成していきました。
と同時に、もう一度費用対効果を見直し財政課への予算折衝に備えていきました。
財政課から勝ち取った予算。
正直、僕が入庁する前はかなりの時間残業をしており物凄い費用のかかる作業となっていました。
が、入庁してからは先ほどの個人単位送付や臨時職員さんのサポートの実施等でトータルのコストがかなり圧縮されていました。
これだけ見ると、財政課からは臨時職員だけでやれるのでは?と思われかねないと思いました。
しかし、臨時職員さんへのサポートは正職員の体制が変わるたびにばらつきがあるという話を臨時職員さんたちから聞いており、とても品質が未来永劫担保されるような状況ではないことを認識していました。
そのため、「日中臨時職員さんのマネジメントやサポートに時間を取られてしまい、本来の業務に取り組めていないことで残業していること」や「それに伴い、他の職員が僕の業務のフォローを実施するため他の職員も巻き添えで残業となっている」という本筋ではなく、俯瞰して業務改善をするという目線で費用対効果に加えた行財政改革に寄与できることをしっかりと説明する資料を作成しました。
また、同じ係にいた先輩が行革担当課にいたときに封入封緘のアウトソース化を検討課題としてピックアップしていただいていたのも後押しする効果となりました。
そして財政課への最大のアプローチとしては、臨時的経費ではなくなるというところと補助金が半額支給されるので当市の持ち出しが少なくて済むことをプレゼンしました。
当時、臨時的経費の割合が大きくなっており予算作成時の留意にも臨時的経費の支出は見直しを行うように通達が出ておりました。
また、補助金の支給については要綱や条例等をきっちりと把握し読み込み、都の担当の職員とも協議し、加えて現在の補助金の状況等も総合的に判断し説明しました。
どきどきの予算内示の日。
通っていました!!!!!!
係長と大喜びしたのを覚えています。
こっから大変。
外部へ個人情報を委託するので、個人情報審議会への答申に始まり、パッケージで委託する設計としたため金額が大きくなり入札となったため、契約課ともやり取りを重ねました。
んで、大体こういうときってタイミング悪く個人情報の流出とかあった直後だったりするんですよねえ・・・笑
割と辛辣なコメントもいただきましたが、委託だから丸投げではなく管理監督はあくまでも当市の責任として職員も自覚を持ち対応をするという姿勢を理解いただき納得していただきました。
いよいよ3年目。
このプロジェクト始まって一番のミス。
ちょっと内容はいろいろややこしいのでざっくりしか書けないのですが。
勤務していた自治体は電子入札システムが既に導入されていたので、割と入札スケジュールがタイトでした。
(ここも今考えると無茶苦茶だよなあ・・・。なんで電子入札の方がスケジュールタイトなんねん。)
そんな中で、割と重要な項目の単純なミス。。。
やっぱり繁忙期にバタバタと仕事はするもんじゃないですね・・・。
結局係長にケツ拭ってもらいましたが、本当にあの時は死ぬかと思った。
さあ、業者が決まったぞ。
パッケージで依頼していたのでポリプロピレン袋の共同調達もなし。
契約は契約課で実施。
システムについては一部改修が必要となり、改修依頼をしましたがこちらもスムーズに実装され問題なく進んでいきました。
3年目のフローは以下の通り。
委託業者に依頼するために必要な項目の追加のシステム改修→実装
データのテスト実施(システム改修実施したので)
アウトソーシング会社との打ち合わせでスケジュール等の確認や細かい作業のツメ。
残業して、夜間に更新処理とpdfデータの作成
USBメモリをアウトソーシング会社の準備したアタッシュケースにてセキュリティ便送付
成果物納品、通数と引き抜き作業を3日間で実施後郵便局へ引き渡し。
マジで、残業したのは夜間でしか処理できない更新処理とpdfデータの作成だけでした。
作業も3日間です。業務のスリム化どころか、抜本的な見直しが成功しました。
今でも覚えている、再任用職員からの言葉。
こーちゃくんって仕事サボりたいの?
はあ?
まあ、恐らくこの記事と動画を見ることは無いと思うのでいいのですが・・・笑
アウトソーシングがなぜサボりになるのでしょうか。
自治体のアウトソーシングが進まないのはこういう人の存在ですよね。。。
封入封緘作業は、公務員が本来するべき作業でしょうか?
窓口や電話でイレギュラーな市民対応をすることや、医療費の適正支給のための確認など本来やるべきことが山積みなんですよ?
民間でやった方が、効率的に作業していただけますしノウハウもあります。
民間に任せた方がいいことは任せるべきなんです。
こんな作業、自分たちでやれば余計なお金かからないのに。
と言われた時にも、ああ。。。
見えないコストへの意識、コストの見える化の大切さっていう意識が無かった時代の人だなあ・・・。
とか思いつつ、次は定型の窓口業務の委託について検討を進めていたところでイレギュラーな異動が発生してしまい、心が折れてしまいました。
というのも公務員続けるモチベが無くなったひとつではありますけどね笑
まあ、システムベンダーさんやアウトソーシング会社さんとやり取りしている中で、公共事業のアウトソース・システムベンダーってめっちゃ面白そう!って思ったのが公務員を飛び出そうとした一番の理由なんですけど。
この選択は間違いではなかったと思う。
特に2社目のアウトソーシング会社では、公務員の経験は遺憾なく発揮できました。
公務員ならではの苦悩も、紙の多さも民間だからこそできる創意工夫で裁いていくことには圧巻しましたし、僕自身この業務に携わることができたのは本当にうれしく思っています。
ということで、後ろでパートナーが日本語に困っているので今日はこの辺で。(日本人なんだけどなあ。転職エージェントからのメールってそんなに書くの大変か?)