見出し画像

Day.10 連戦連敗の理由 ベルギー野球連盟の制度がおかしい?

「ベルギー社会人野球 監督奮闘記」のDay.10です。前回、連戦連敗 監督としての苦しい決断について書きましたが、今回はその連戦連敗の理由についてもう少し掘り下げます。ずばり、ベルギー野球連盟の制度・ルール面のおかしな話です。

以前に何回か説明しましたが、ベルギーの野球連盟は1部〜4部までディビジョンが分かれており、1つのクラブチームが複数のディビジョンに所属することができます。例えば、私の所属するブリュッセルのBrussels Kangaroosは内部を3チームに分けて、2部、3部、4部にそれぞれ所属しており、私は3部の監督をしています。

読売ジャイアンツに1軍と2軍があって、それぞれでシーズンを戦っているのに近いイメージです。

私は選手として2部でプレーしていたことがあるので、2部のレベルは把握しています。3部の監督をすることになり、プレーしていた2部よりもレベルはそれなりに落ちるのだろうと考えていました。そして、そのレベルで勝てるチーム力、作戦を考えていました。メンバーのスキルを考えても、十分戦えるレベルだなと思っていました。

ところが、前回の記事でもお伝えしたとおりシーズン序盤は連戦連敗。正直、相手チームって思ったより強くない?ちょっと、ずるくない?(笑)って思いながら四苦八苦しながら試合を指揮してました。

試合のところどころで、3部レベルのイージーエラーをしたり、バットにボールが全然当たらない選手もいるのですが、どっちかというと稀。むしろ、木製バットで見事な長打を放ってくる選手がいたり、相手ピッチャーも予想したより四球も少ない。1イニング2個程度の四死球を想定して試合の戦略を組んでいたのですが、四死球1個以下のイニングも多く、打力が弱い我らの打線にとっては点を取るのが難しい状況でした。

なんでそういう状況なのか。試合を重ねるごとに、薄々と気づいてはいました。いや、選手も気づいている。むしろ、選手が教えてくれるのです。

選手:「相手のチームは、2部の選手がプレーしてますよ」

私:「・・・、なんでやねん!」

東京出身の私がベルギー人の選手に関西弁でツッコんだかどうかはさておき、そうなんです。相手チームは、3部ではなく2部の選手をプレーさせているんです。

そりゃ勝てる訳がない。
言ってしまえば、読売ジャイアンツの坂本勇人、岡本和真、大勢あたりの1軍メンバーが1軍の試合をした翌日に、2軍でもプレーしている感じです。他のチームがピュアな2軍メンバーでは彼らに勝てないでしょう。極端に言うと、そんな闘いを強いられていた訳です。

なぜそういうことになるかと言うと、これがベルギー野球連盟(The Royal Belgian Baseball and Softball Federation)による"ゆるゆる"のルールに原因があります。

毎シーズン、チームの所属選手を連盟に登録する訳ですが、Aという選手がクラブチームの2部、3部、4部に同時登録することが可能となっています。制度上OKなんです。
また日本のプロ野球の話になりますが、坂本勇人を2軍に登録したら、1軍の登録を抹消しなければいけません。当たり前ですよね。しかし、1部の例外を除いてベルギー野球連盟ではこれがOK。

そのため、各クラブチームが何をするかと言うと、2部レベルの選手を3部でプレーさせて、3部レベルの選手を4部でプレーさせる、なんていう事が横行します。それはなぜか。シンプルに、"勝つため"です。

これは結構な諸悪の根源になっていると思っていて、シーズン序盤はまだ良いものの、昇格や降格の争いになるシーズン終盤はもう本当に極端。対戦する両チームの3部のプレーヤーが全て2部レベル、もしくは1部レベルの選手だったりして、何の試合?みたいになることもあります。

もちろん連盟側も意図してこのようなルールにしています。少し推測も入りますが、ディビジョン間の選手登録を厳しくしてしまうと、リーグ全体の試合数・チーム数に影響してしまいます。アマチュア野球のため、もちろん仕事や家族、勉学などの理由で試合に来れないことはあるので、人数が足りなくなると試合を棄権しなければなりません。現在のルールでも、特に夏のバカンスシーズンには試合を棄権するチームも少なくありません。

おそらくそういう理由で、ディビジョン間の選手登録を厳しくしてしまうと、棄権試合が多くなりシーズンが成立しなかったり、試合のない期間が多くなりチーム・選手のモチベーションにも影響することが考えられます。

まあそれは十分にはわかるのですが、もう少し制限がないと本当にやりたい放題。2部で一定以上の試合数を出場しているプレーヤーは、3部でプレーできないなど、チェックは難しいですがやりようはあると思います。

まあ、そもそもここは色々なことがゆるゆるな国、ベルギー。制度設計自体を深く考えていない可能性もあります。いや、その可能性の方が濃厚です(笑)。

いずれによ、ルールはいきなり変えられないので、そうであればこちらも2部レベルの選手を出場させていかなければなりません。それは前回の記事でも書いた通り。何とかやりくりをして、目標にしていた3部残留を確実なものにしていけなければなりません。

それでは、その後の戦いについてはまた次回。勝利なるか、連敗が続くのか。さらに、選手の不満爆発事件についても、また書いていきたいと思います。

海外で野球の監督を頑張る私には、スキ・フォローが励みになるので引き続きよろしくお願いします🙇‍♂️





いいなと思ったら応援しよう!

Naoya Yamada @ブリュッセル
ベルギーの社会人野球で毎日もがき、苦しみながら監督をしています😅 記事が面白いと思ったら、少しでも応援頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします!