Day.9 連戦連敗 監督としての苦しい決断
「ベルギー社会人野球 監督奮闘記」のDay.9です。前回、公式戦初戦の監督デビューについて書きましたが、今回はその後の話。
私が監督をしているブリュッセルの野球チーム、Brussels Kangaroosは、ベルギーリーグの2部、3部、4部にそれぞれチームが分かれて所属しているのですが、私は3部のチームを担当しています。
今シーズン、チームの目標として伝えていたことは「3部残留」です。
3部のチームはできたばかりで、社会人リーグではありながら高校生も所属しており(リーグのルール上もOK)、監督の私も今年がデビュー。
現実的な路線として、今年は残留ができれば合格点。所属している高校生プレーヤーたちが1〜2年経つとかなり成長してくるはずで、そこで2部に昇格できるチームを狙えばOKと思ってました。
また、私もベルギーリーグの3部で試合をするのが初めてなので、今年の3部の野球レベルがわからず、そんな中で優勝や昇格の目標を立てても絵空事になってしまうというのもありました。
そんな中、まずはレベル感の把握も含めて楽しみにしていた公式戦初戦。結果は見事に大敗(汗)。内容は前回のnoteでも書きましたが、まだ初戦とはいえ今後も負けるとなると今後の作戦やチームの方向性にも影響を与えてきてしまいます。
そして、その危惧していたことが現実化します。その後の公式戦も連戦連敗。1度だけ勝利しましたが、1勝4敗の成績でシーズンの3分の1を消化し、最下位に屈してしまいます。。
負ける要素はいくつかあるのですが、もうシンプルにいえば実力不足です。そう、監督として一番言ってはいけない理由(笑)。それはさておき、自分の印象と試合のスタッツ・データを確認しても、主にピッチャーのコントロール(四死球)、それと攻撃力(バッティング)で負けていました。
それではその2つを改善しよう、と言うのは簡単。毎日練習する訳ではない海外の社会人野球で、ピッチャーのコントロールやバッティングは簡単に伸ばせるものじゃないです。坊主頭になって家で素振りなんていう日本文化がないベルギーでは、球を投げないとバットを振ってくれない(笑)。素振りの重要性は伝えて「わかった」と言ってくれるけど、どれだけやってくれてんのか分からない。
週2回、2時間の練習の大半をそれらの時間に割いて向上するのに賭けるのか、とりあえず合格点の守備はしっかりやって維持するのか。このあたりはいつも悩みでした。
あとはもう一つの視点として、野球のスキル以外でどうにか補完することです。初戦の通り、コンセプトは「守備はシンプルに、攻撃は長く」。そのためにバッターに「待て」のサインを導入するなど、チームとしての意思統一を大事にして、ここは少しずつ浸透しました。野球が上手くなるのは時間もかかるし難しいですが、何かの共通意識を持たせることは効果も表れやすく、監督としての重要な仕事でもあります。
しかし、それでも結果は連戦連敗。もう一度言います。実力不足です(笑)。ここからは、もう負けていられない。勝つために考えていたことを、監督として決断します。それは、以下2つ。
・自分の出場。。
・選手のリクルート
自分は監督も務めますが、まだまだプレーできます。選手兼監督ってやつです。昨年まで2部でプレーしていたので、3部だったら問題なく戦力になります。
あと、現在の選手の実力不足を補完するためには、やはり良い選手を追加していかなければいけません。ただし、ベルギーで良い選手を見つけてくるのは難しいので、ここは日本人監督の腕の見せどころ。日本人コミュニティから野球経験者をリクルートする作戦を取りました。
ブリュッセルには、トヨタ自動車などを中心とした企業が進出しているので日本人在住者も6000人ほどいます。文科省管轄の「日本人学校」と呼ばれる小学校・中学校があり、完全に日本の教育で日本の先生が教える学校があります。
まずは日本人の知り合いをつてに、日本人学校で先生をしている方が高校まで野球をやっていたという情報を嗅ぎつけます。紹介してもらい、最初はコーチングのお手伝いということで即加入してもらいます(笑)。
それから、日本でピッチャーをやっていた子が日本人学校に通っており、すでにこちらのチームに加入していたのですが、私のいる3部ではなく2部でプレーしているとのこと。ここはもう説得の上、3部でプレーしてもらうことに。
誤解なきよう言っておくと、本人はピッチャー志望なのに2部ではピッチャーをやらせてもらえそうになくくすぶっていたので、それはwin-winということで3部に加入してもらいました。
2人の加入もあり、レベル的にはぐっとアップ。ここから、勝ちを積みましていきます。
でも、やっぱり、これは本当の本音では私の目指すところではありません。
ここはベルギー。野球が存在しているかも知らなかった国で、野球を楽しんでやっている人がいる。そんな彼らが野球をもっとやって、上手くなり、次世代に繋いでいってほしいなと思っています。それが、この国で野球人口を増やすことであり、自分たちのクラブがしっかり存続できるようになることだと思います。だから、あくまでベルギー人が中心となってプレーしてもらいたい。
これが長期的なゴールであり、私のミッションだと思っていたので、まずは勝つことを最優先にするのは待とうと思っていました。日本人のおっさんが、ベルギー野球で活躍しても仕方ないでしょう(笑)。
ただ負け続けるとやはり楽しくなくなるし、野球を続けるモチベーションにも影響してしまいます。そこで、これからは新選手の加入とともに、勝ちに比重を置くことに方向性を変えました。
それと、ベルギー社会人リーグですが、このリーグのルールがイマイチで、実力的に勝てると思っていたことにかなり誤算がありました。
これは、また次回以降でお話ししていきたいと思います。
それでは、今回は「連戦連敗 監督としての決断」というテーマで書いてみました。また次回も続きますので、スキ・フォロー、よろしくお願いします!