Day.14 シーズン終盤 3部残留を決めた!熾烈、いや卑劣?な戦い 【ベルギー社会人野球】
みなさん、こんにちは!ベルギー社会人野球 監督奮闘記のDay.14です。
これまで、日本との野球文化の違いや選手の不満などについて書いてきましたが、今回からはシーズン終盤の話になります。初めての監督業、それも海外という任務の初年度がようやく終わりを迎えます。
ただし、感傷にひたる余裕はありません。
チームはベルギー社会人野球リーグの3部に所属していますが、序盤の連戦連敗が続き4部への降格圏内。あと3試合を残して、マジで1試合1試合が勝負。絶対に負けられない戦いというやつです。Day.10でも書きましたが、相手チームも勝つためには手段を選ばないチームなので、シーズン終盤ともなれば自クラブの2部リーグの選手も投入して勝ちにきます。
※ベルギー野球連盟のシーズンや制度について書いた記事はこちら
私は監督になってから、できる限りベルギーやヨーロッパの人たち、または未来を担う若い選手が試合に出てほしい、と思い多少の負けは覚悟した上で選手を出場させていました。私のような中年のおっさん日本人が監督兼選手だからといって試合に出たところで、ベルギーの野球に貢献はしない。そう思っていました。
しかし、思い通りにはいかない。なぜかと言えば、単純に負けすぎたのである(苦笑)。ここは背に腹をかけられない。こうなったら考えることは簡単になる。残りの試合は、どうやっても絶対に勝つことだけを考えて作戦やオーダーを組むだけだ。
まず考えるのは、スターティングメンバー。
大事なピッチャーは、シーズン途中でリクルートした日本人。
センター、レフトは2部リーグ所属の選手をアサイン。そして、ライトは日本人でアシスタントコーチをやってくれている方をアサイン。完璧な守りだ。
内野は3部リーグの選手が中心だが、サードは日本人。監督兼選手の私である(笑)。
絶対に勝ちに行く布陣を取った。
今回の相手チーム、Royal Greysはリーグ戦で過去2戦しておりどちらも勝利している。ただボロ勝ちではなく僅差の試合であり、負けてもおかしくない相手です。そして、彼らも残留がかかっているため死に物狂いでくる。"熾烈"な戦いになるはずで、何をしてきてもおかしくない。
そして、試合前のメンバー表交換の時に私は気づきました。
Royal Greysの先発投手が、見たことがない選手。そして、ピッチング練習を見る限り、3部で投げるにはクオリティの高い選手である。選手登録情報を確認しようとリーグのHPにてデータを調べたが、スタッツ(過去の個人成績)も出てこない。ということは、シーズン終盤になって初めてベルギーリーグで投げる選手である。
ということは、「やはり」である。
Royal Greys、やってきよった。
おそらく、どこかのコネを使ってこの試合のために獲得してきた選手だ。このチームは地理的にもオランダに近く、ベルギー内の"オランダ語圏"のチーム。ヨーロッパの中でも野球が比較的盛んなオランダあたりからリクルートしてきた可能性も十分だ。というか、そのピッチャーの名前はおもいっきりオランダ人の名前である。やっぱり、やってきよった。
しかし、あちらがオランダ人なら、こちらは日本人だ(笑)。
私含めて3人の日本人選手で構成するチームで対抗してやる。ここベルギーリーグで、外国人選手をふんだんに使い勝ちにいく、"熾烈かつ卑劣"な戦いにもう笑えてくる状況である。
そんなこんなで試合が始まる。
ここから試合内容の詳細を書くと長くなるので省きますが、本当に締まったシーソーゲームになりました。レベルとしては2部リーグさながら、お互い四死球も少なめで我らが日本人ピッチャーも4回5失点と最低限の仕事をしてくれました。
私含めて、日本人選手、2部リーグ所属の選手も攻撃、守備ともに躍動。大事な場面でのタイムリーヒット、安定した守備などで本当に「野球をしている」という試合になりました。
試合は5-7で負けていたところから終盤一挙に4点を取り逆転の8-7とし、最終回は1点を失いながらも最後は勝利!9-8で大接戦をものにし、残留もほぼ確実にしたと言える試合となりました。
最後の1アウトを取った際はみんなが集まってきてガッツポーツ、抱き合ったりして喜びを分かち合いました。まさに、「スポーツっていいなあ」とおもえる瞬間。それをみんなと作れた満足感や、監督をやって感じた苦労やストレスがあったからこそ、何とも言えない気持ちになりました。
さあ、しかしシーズンはまだ終わった訳ではないです。
ほぼ残留を決めたとはいえ、残りの試合と相手チームの状況次第では僅かに降格の可能性も残っている。
最後まで気を引き締め、ベルギー社会人野球の監督一年目を気持ちよくクローズしたいと思います。
おそらく、次回の記事で2024年シーズンの最終回のとなる予定です。
監督は2025年も続投予定ですが、シーズン最後の記事までお付き合いいただければと思います。引き続き、よろしくお願いします!