Day.4 監督業は警備員みたいなもの?
「ベルギー野球 監督奮闘記」のDay.4です。
今回は、海外で監督をやるにあたって感じたことの一つ。日本で監督を同じようなことはあると思いますが、「監督業って警備員だな」ってことです。
選手を上手くしたい、こういう練習をテキパキとこなして欲しい、そう思うば思うほど、自分が考えて設計した練習をそのまま実行して欲しいと思うものです。
なので、練習を始める前にやり方を見せて、これを自分達でやってみて、とやらせます。特に、シーズン(毎年4月)に入る前の1〜3月は室内練習ということもあって色々と基礎練習を試しました。
でも、やって見せた練習をプレーヤーにやらせると、全く違うものになっていくのです。意図が全く伝わってない。いや、意図とか目的意識とかいうものがない(笑)。たとえば、Day.3で書いたマイケルという選手が全然違うことをやり始めたので、練習を止めてもう一回やり方を伝える。良い感じでやれるようになったので、他の選手を見るとサイモンも全然違うことをやっている。「おい、サイモン」と思いながら彼にも正しいやり方を教える。
言葉の壁があって伝わっていない可能性もあるし、海外の人は自分がわかってないことに対する焦りや罪悪感も薄いので「ん、何が悪いんですか」みたいな顔してくる。
そんな中、1人1人教えたら時間がいくらあっても足りないな、と思ってもう一度マイケルを見ると、また全然違うやり方でやっている。1人1人とかレベルじゃない、同じ選手が同じ犯罪をしてきやがる(笑)。これをまた注意すると、サイモンもまた元に戻って違ったことをやっている。これ、警備員がいなくなったらいたずらを繰り返す悪ガキ少年を相手にしているようだ。
こうやって選手に教えている間に、10分と思ってた練習が30分になる。こうなると、個別に教えなくてもできる選手にとっては、長すぎる練習時間になるんですよね。そういう選手には、心の中で「ごめん」って謝る責任感の強い日本人のワタシですが、自宅に帰るとなんで自分が悪いと思ったのか1人で憤る。
そんなこんなで、まだ監督を始めたばかりのシーズン前はけっこう悩みました。マイケルやサイモンができるように底上げをしていくか、できる選手に合わせて練習レベルを上げていくのか。この時点では練習後は毎回のように疲労困憊で答えが出ませんでした。
これが、やっぱり続けていくことである程度見えてくることがあるのですが、それはまたDay.5以降で書いていきたいと思います。
それではまた!