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Day.3 日本の軍隊式練習 VS 海外のやり方

久々の更新になってしまいました。今回も「ベルギー野球 監督奮闘記」のマガジン記事を書きたいと思います。本当に書きたいことは溜まっているので、週2回の更新を目指していきたいと思います!(できるかな。。)

今回は、監督になってから悩み始めたチームの統率の仕方についてです。日本のスポーツ文化、特に野球においては何といってもまだ軍隊式のような文化が残っていると思います。監督が「集合」と言ったらみんな走って集まる、静かにして聞く、大きな声で返事をする。練習は統率が取れていて、真面目にやる。全体行動を重んじる日本人の特徴に、さらに戦後に軍隊式の文化が取り入れられたらしく、このように日本の野球カルチャーは発展してきました。

さあしかし、ここはベルギー。まず、集合と言っても集まらない。聞いてない、返事もしない(笑)。練習で声も出さない(怒)。日本の理想を掲げて監督をやると、1日で挫折しそうな環境です(笑)。

マイケル(仮称)という選手の話をしましょう。本当に練習で毎回話を聞かない。3分間のミーティングで練習内容を説明している途中、堂々と違う方向をずっと見ている。もう毎回、「聞いてる!?」「おい!」と注意をしますが、毎回同じ。軍隊式の日本野球なら、確実に1時間立たされるかグランド10周を命じられるはずです(笑)。

とても温厚で寛容な私も、ブチキレてしまった日がありました。

練習の意図とやり方を説明して実技指導をしている間、マイケルはいつも通り別の方を見ていて聞いてませんでした。「マイケル、聞いてるのか?」と聞くと、マイケルは「聞いてました」と言う。聞いてた訳ねえだろ、と堪忍袋の尾が切れた私は、「じゃあ私が今説明したこと、繰り返し言ってみて」と言うと、「・・・・」。返事なし。

私はマイケルの顔面に近づき「なんで聞いてたって嘘ついた?なめてんのか?」と指導しました(キレました)。するとマイケル、完全にビビってあたふたする。これ以上指導したら(キレたら)関係も悪くなるかもしれないので、「もう一回説明するから、聞いてて」と練習を続けました。

マイケルはその後、真面目に話を聞くようになったなら良い話なのですが、あんまり変わりません(笑)。基本的に、日本のようにちゃんと監督の話を聞くとか、そういうOSはインストールされてないのです。もちろん、みんなそうしなきゃいけないと理解はしていますが、圧倒的に緊張感がないという方が正しいです。

もちろん、競争の激しい環境でうまくならないとクビになるようなスポーツ・チームならそういう選手は淘汰されるし、本人の意識も変わるでしょう。しかし、そうでないこの環境ではマイケルのような選手としっかり話をして、ダメなことはダメ、こういう風に成長して欲しいと話をして、忍耐強く付き合っていく必要があります。また、監督・選手の間にちゃんと信頼関係を築いていくことが重要になってきます。とても時間・努力が必要です。

一方、日本の軍隊式のように監督が選手を怒鳴って統率するのは良くないですが、私が監督をやって思ったのは、日本のような軍隊式は監督にとってやりやすい、ということです。強権政治で、選手が何でも言うこと聞くと本当に練習もやりやすい。大人1人が、大勢の選手をマネジメントするのにはもってこいだし、不満・文句に対応している時間もかけなくていい。短期的に見れば、選手の成長も早いとは思います。言われたことを素直にやるので、反復練習も身につく。監督も余計なことに時間をかけなくて良いので、選手をうまく、強くすることに集中できる。監督やった人なら、必然的にそういう環境を作りたいというインセンティブが働くなと思いました。

選手に考えさせたり、意見を聞いたり、個々にケアをしていくと、本当に時間と労力がかかるので、教えられる時間は減ります。ベルギーに来て、それは本当に痛感しました。

監督として、色々と教えて上手くなって欲しいと思いますが、そればっかりやってられないのがこの環境。でもだからこそ、難しさとやりがい、この経験から学ぶ自分の成長も大きいはずです。そう思い、これから色々と工夫をしていくことなります。

さて、それでは今回のDay.3はここまでにしたいと思います。読んでいただきありがとうございます。それではまたDay.4で!

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Naoya Yamada @ブリュッセル
ベルギーの社会人野球で毎日もがき、苦しみながら監督をしています😅 記事が面白いと思ったら、少しでも応援頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします!