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聞こえないのではなく、そもそも発音していない
英語の発音学習で、多くの日本人が苦労するポイントの一つが「強形(きょうけい)と弱形(じゃっけい)」の違いです。
実際の英会話では、単語がはっきりと発音されないことが多く、特に機能語(冠詞や前置詞、代名詞など)は弱形で省略的に発音されます。
しかし、日本人学習者は辞書に載っている発音(強形)をすべてそのまま発音しようとするため、不自然な話し方になったり、リスニングで聞き取れなくなったりします。
今回は「強形(きょうけい)と弱形(じゃっけい)」について書きたいと思います。
強形と弱形の違いとは?
英語では、重要な単語(名詞や動詞など)ははっきりと発音される一方で、重要度の低い単語(機能語)は弱く短く発音されます。
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聞こえないのではなく「発音していない」具体例
代名詞が短縮される
「I'll give you the book」(アイ ウィル ギブ ユー ザ ブック)
実際の会話では「アイル ギブ ヤ ザ ブック」となり、「ユー」が「ヤ」に近い音になります。
前置詞が省略的に発音される
「at the station」(アット ザ ステーション)
実際には「アッ ザ ステーション」または「ト ザ ステーション」のように、「アット」の母音部分が消えます。
助動詞が圧縮される
「I can do it」(アイ キャン ドゥ イット)
実際には「アイ クン ドゥ イット」となり、「キャン」が「クン」のように短縮されます。
リスニングに与える影響
ネイティブスピーカーの会話を聞き取れない理由の一つは、この弱形を知らないことです。
例えば、
「What did you do yesterday?」(ワット ディッド ユー ドゥ イエスタデイ)
実際には「ワッ ディヂャ ドゥ イエスタデイ」のように、「did you」が「ディヂャ」に圧縮されて聞こえます。
このような音声変化を知らないと、「何か別の単語に聞こえる…」と混乱してしまうことが多いです。
効果的な練習法
シャドーイングを活用する
ニュース原稿や教材では強形が多く使われていますが、日常会話では弱形が頻出します。両方を意識して練習しましょう。
例:「I want to go to the park」(アイ ウォント トゥ ゴー トゥ ザ パーク)
→ 実際には「アイ ワナ ゴー ダ パーク」となることが多いです。
リスニング時に弱形を意識する
映画やドラマを観る際、字幕と実際のセリフを比べてみましょう。弱形や省略された部分が多く見つかります。
例:「Can you help me?」(キャン ユー ヘルプ ミー)
→ 実際には「キャン ヤ ヘルプ ミー」と聞こえます。
自分で録音して確認する
自分の声を録音し、ネイティブスピーカーと比べてみましょう。強形ばかりになっている場合、意識的に弱形を取り入れる練習をします。
弱形を取り入れた実践例
以下は弱形を意識した練習例です。
Before(強形のみ):
「The cat is on the table」(ザ キャット イズ オン ザ テーブル)After(弱形適用):
「ザ キャッツ オン ザ テーブル」
→ 「イズ」が短縮され、「キャット」と繋がって「キャッツ」のように聞こえます。
まとめ
英語学習では、すべての単語を辞書通りに発音する必要はありません。
むしろ、弱形を意識的に取り入れることで、より自然な英語らしいリズムやイントネーションが身につきます。
また、リスニング力も向上し、ネイティブスピーカーとの会話でスムーズに理解できるようになります。
「聞こえない」のではなく、「そもそも発音されていない」という事実を理解し、自分の練習方法に活かしましょう!