ポゼッション、ポジショナルフットボールをかじった程度の知識でB級ライセンス講習で叩きのめされたこと
表題のとおりです。原則を整理していない中途半端な知識はかえってサッカー指導者にとって悪影響です。
原則とは?
攻守4局面の原則
こちらは攻守4局面の原則です。
プレー原則
こちらはプレー原則です。
4局面の原則とプレー原則の関係
上で示した4局面の原則とプレー原則は関わりがあります。どちらが上位概念とかそういうのではないです。
例えば、
「攻撃していたが、ボールを相手に奪われた」
↓
攻撃側「相手守備が整う前に攻めきろう!」(攻撃のプレー原則の『突破』)
守備側「素早くボールを奪い返そう」(守備のプレー原則の『プレス』)
↓
攻撃側「相手のプレスが来た!ボールホルダーをサポートして前進をしよう!」(攻撃プレー原則の『サポート』)
守備側「サポートを使われて突破されたら困る!飛び込まずに対応&周りの味方と協働して遅らせよう!」(守備プレー原則の『遅らせる』)
↓
攻撃側「守備側によって攻撃が遅れてしまった。幅と深さを使って広く攻撃して、相手が空けたスペースを使って攻撃しよう」(攻撃プレー原則の『幅と深さ』)
守備側「相手が幅と深さを使って攻撃してきた。なるべくコンパクトな陣形を保って攻撃を規制してボールを奪おう」(守備プレー原則の『コンパクト』)
↓
攻撃側「相手がコンパクトな陣形をしいて、守備ブロックを形成してきた。2トップのモビリティで守備ラインを混乱させよう!もしくは・・・SBとIH、WGの関係でローリングして守備陣形を混乱させよう(システムによる)」(攻撃プレー原則の『モビリティ』)
守備側「相手が動きを出してきた。マークの受け渡し&ゾーン管理で守備陣形を保ってスペースを作らないようにしよう!」(守備プレー原則の『バランス』)
↓
攻撃側「相手がスペースを作らない。しっかりオーガナイズされた守備だ。ドリブルが得意なWGがカットインしてポケットにIHがラン。カットインシュートかポケット攻略の2択を迫って攻撃しよう!そこにCFとのワンツー突破も絡めていこう!アタッキングサードで一気に個のクオリティを出すぞ!」(攻撃プレー原則の『創造性』)
守備側「カットインしてきた!おちついてシュートコースを消しながら対応しよう!ポケットにランしてきたIHに引っ張られすぎるな!」(守備プレー原則『コントロール』)
4局面は場面の切り取り。プレー原則は時系列という感じでしょうか。
原則が指導実践にもたらす効果
上記の4局面の原則とプレー原則が指導実践でどう絡むのか?
例えば、守備テーマで、1stDFが無く、相手の前進を許してしまい、簡単に背後にボールを放られて突破されたとします。
ここで、守備のプレー原則に当てはめると、『突破』を試みてきた相手に『プレス』は行っているか?となるわけです。4局面の原則では守備時はボールを奪うのが最優先。守備プレー原則ではプレスが最初の戦術行動です。
「ウチはリトリートだから」とセンターサークルまでボールホルダーにプレスをかけずにブロックをしいたとします。確かに逃げ切りたい場合はそういうこともあるでしょう。しかし、スコアやその他状況がニュートラルであった場合、まずは守備時の優先事項である「ボールを奪う」を遂行するためにプレスにいくのです。
特に育成年代ではこの原則がしっかりと叩き込まれているかどうか?がキモです。それをわかった上で、チームの色を出す戦術行動があります。インストラクターに確認したところ、「B級では原理原則をしっかりとやる。逆にA級では『どういうサッカーをしたいのか?』が問われる」とのことでした。
B級ライセンスでは「トレセンでの指導ができる」が1つの基準となっていると言われています(ウチのFAのインストラクターはそう言っていました)。なので、偏った戦術行動や考え方はこの段階ではまずは不要です。この原則を大事にした考え方をしっかりと身に付け、ある程度どのJFAの現場に行っても問題ないくらいのレベルを身につける必要があります。
JFA(日本サッカー協会)の指導者養成カリキュラムなので、使用する言語も考え方も、そこにしっかりと寄せる必要があります。当たり前ですけど。
ネットで聞きかじったような知識は捨てるべき
自チームに落とし込めない、あるいは4局面、プレー原則を無視したような考え方は危険です。ポゼッションサッカーと言っても、せっかく背後をとってシンプルに攻撃できるチャンスを逃して、DFラインでパス回しをしていては、勝つチャンスを逃してしまいます。
グアルディオラのマンチェスターシティも、リバプールのトランジションの速さと原理原則に忠実なゴールへ真っ直ぐに向かうプレーを取り入れています。攻撃時のカウンター対策もあり、奪った後に相手が整っていないと見れば縦に速く攻撃します。原理原則あっての特徴のあるサッカーなのです。
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