見出し画像

偏差値40でもわかる医師と医師会の関係性

Xでは「医師会は医師を代表する組織ではない」という言説がたびたび見られますが、実際のところどういう関係性なのか調べてみました。

まずはそれぞれ単体で確認してきます。
日本語のwiipdeiaの「医師」のページからかいつまむと

・大学の医学部(6年制)を卒業して国家試験に合格すると医師免許が得られる
・その後2年間の研修を行うことで臨床医となることができる
・医師免許は生涯にわたって有効。資格停止・剥奪は厚生労働省医道審議会により決定される
・医師は法律上は歯科以外すべての診療科における診療行為を行うことができる

さらに厚生労働省の統計によれば

・日本の医師数は約34万人
・約2/3が病院、1/3が診療所に所属している
・病院所属者のほとんどは勤務者だが、診療所所属者の7割ほどは開設者や代表者
・年齢別の人数を見ると60代で引退する人は少数で、70代でも半数ほどが継続して働いている

さて一方で「日本医師会」ですが、ウェブサイトによれば

・会員数は17万人
・内訳として開業医が約7万人、勤務医が約8万人、残りは病院の開設者管理者が約1万人、研修医が約1万人(参考ページ)
・毎年140億円の会費収入がある(参考ページ)

といった巨大組織であり、中央社会保険医療協議会社会保障審議会といった政府の様々な委員会に人員を派遣しており行政の仕組みに関与できる存在であると言えるでしょう。

また、日本医師会には対となる政治団体として日本医師連盟があり、こちらのサイトには「本連盟は、日本医師連盟と称し、日本医師連盟会員相互の全国的連携・協調の下、日本医師会の目的を達成するために必要な政治活動を行うことを目的とする。」と明記されています。
これは日本医師会が原則非課税である公益社団法人であることから、特定の政党・候補者を表立って支援・寄付することができず、このような別団体を受け皿として設けているものと思われます。
日本医師連盟の委員長は代々日本医師会会長が務めており、実質的には一つの団体であると認識しても問題ないでしょう。

ここから「医師」と「日本医師会」について考えていきます。
まず医師約33万人中約17万人が所属ということで医師の全てが日本医師会員ではないということは分かります。しかし約半数が所属している以上、その業界を代表する最も大きな団体であるとは言えるでしょう。

そして問題となるのがその主張の内容と方法です。

日本医師会はたびたび「国民皆保険とフリーアクセスの両者の堅持」を目標に掲げており、フリーアクセスが国民皆保険を構成する欠かせない要素であるかのように語ることもしばしばです。(参考資料)
諸外国では国民皆保険であれば家庭医の登録などのアクセス制限があることが多く、フリーアクセスであれば公的保険はないか限定的であるのが一般的です。(参考資料)
これは医療機関へのアクセスあるいは公的保険カバー範囲を限定しないと野放図な受診が起き、軽症者が大病院に殺到したりドクターショッピングによって医療費が増大する危険性があるからであると思われます。(参考資料)
日本医師会がこれら2つの両立にこだわるのは患者が多数回複数病院を受診することが医療機関の利益の面から望ましいためと推測されます。
そしてこの利益は当然日本医師会会員だけでなく、医師全体が享受することとなります。
またコロナ禍のワクチン接種では薬剤師、歯科医師等の他職種によるワクチン接種に強く反発し、その業務を医師が独占しました。
需要があり、供給が絞られれば当然にその仕事の給与はアップし、時給2万円が相場という医師以外には信じられない額となりました。
この高時給バイトの恩恵を非日本医師会会員の医師も受けたわけです。
それ以外にも日本医師会の反対で潰された、遅れたものは多数あります。(過去記事1過去記事2
これらの中で日本医師会会員のみが利益を享受するものは少なく、多かれ少なかれ医師全体の利益となるものが大半です。


さらには、このような要望を日本医師会は厚生労働省厚生労働大臣に提出するだけの政治的パイプも有しています。
このような行動は日本医師会が民間の学術団体ではなく政治的な圧力団体であることを示しています。
5万筆以上の署名を集めた市民団体ですら署名提出の受け取りは副大臣であったことを考えると要望を大臣本人に手渡しできたり、会談の場を設けたりできること自体が強い政治力の表れと見ることもできます。

以上の事から「日本医師会」は「医師」の利益を代弁する圧力団体であり、濃淡はあるものの開業医/勤務医、会員/非会員のいずれもが利益を受けていると考えられます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?