看取り、尊厳死、平穏死、安楽死
タイトルに示した単語についてX上ではそれぞれ使っているニュアンスが違うのではないかと感じたのでまとめてみました。簡単な調べで参考文献も公的なものから個人の記事までバラバラですが、何かの参考になれば幸いです。
特に安楽死に関してはその中でさらに分類があるため違うニュアンスで用いて議論している可能性があるため注意が必要です。
看取り
近い将来死が避けられない人に対して、本人の希望を踏まえつつ、無理な延命治療を行うことなく人間の尊厳を保ったまま亡くなる支援をすること
参考:学研ココファン 看取り介護とは?「看取る」の定義や終末期医療との違い・介護施設でのケアまで解説
https://www.cocofump.co.jp/articles/kaigo/277/
尊厳死
不治で末期に至った患者が、本人の意思に基づいて、死期を単に引き延ばすためだけの延命措置を断わり、自然の経過のまま受け入れる死のことです。本人意思は健全な判断のもとでなされることが大切で、尊厳死は自己決定により受け入れた自然死と同じ意味と考えています。
参考:公益財団法人日本尊厳死協会 よくあるご質問
https://songenshi-kyokai.or.jp/qa
平穏死
医師の石飛幸三氏が提唱。
老衰が進んだ際、延命の方法があったとしてもやらなくてもいい、つまり「何もしないこと」が免責される概念。医師が患者を意図的に死に至らしめる「安楽死」とは違うものであり、尊厳死に近い概念と思われる。
参考:千葉地域医療ネット ベストセラー「『平穏死』のすすめ」の著者が語るこれからの幸せな最期の迎え方
https://www.chiba.med.or.jp/general/iryonet/article/news/20130620/01/01.html
安楽死(積極的安楽死)
死期が迫っている患者に耐え難い肉体的苦痛があり、患者が「早く逝かせてほしい」との意思を持っている場合に、医師が積極的な医療行為で患者を死なせること。日本尊厳死協会はこれを支持しないとしている。
おそらく一般に「安楽死」という単語を使った場合はこれが想定されるのではないかと思われる。現在の日本では殺人罪に抵触する可能性が高い。
参考:公益法人日本尊厳死協会 リビング・ウィルとは
https://songenshi-kyokai.or.jp/living-will
安楽死(間接的安楽死)
苦痛緩和のための薬剤を使用することにより、その薬剤の副作用として、死期を早める行為である。殊に肉体的な苦痛緩和が主たる目的であり、その副作用としての生命短縮は致し方のないものと理解される。苦痛除去及び緩和のための薬剤の投与という点に着目して、治療型の安楽死ともいわれている。
積極的安楽死との違いはあちらが命を止める薬剤を積極的に使うのにたいして、こちらは苦痛緩和を目的として薬剤を使用した結果寿命にマイナスの影響が出るといったニュアンス。
参考:消極的安楽死における終末期の定義と治療中止の正当化要件及び根拠
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hougakujournal/2020/98/2020_95/_html/-char/ja
安楽死(消極的安楽死)
積極的な延命治療をしないことにより、延命治療を行った場合に想定される死期に先立って死を迎えさせる行為である。つまり、延命治療の中止及び治療の差し控えなどである。
尊厳死に近い概念であり、これを指して「安楽死」と言う単語を使った場合に語弊が生じる可能性がある。
参考:web医事新報 日本の法律上,安楽死や自殺幇助はどう罪になる?
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3882
参考:消極的安楽死における終末期の定義と治療中止の正当化要件及び根拠
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hougakujournal/2020/98/2020_95/_html/-char/ja