今回は前回調べ切れていなかった日本医師会が反対したことについて引き続きソースを調べたのでその結果をご紹介する。
なお、日本医師会は開業医約8万3千人、勤務医約9万1千人(令和4年12月1日現在)から構成される団体であることを申し添える。
患者へのカルテ開示
2003年の記事であるが、厚生労働省の検討会で委員の過半数が賛成にも関わらずカルテ開示の法制化が医師会が反対したことで実施できなかったことがわかる。
同年に厚生労働省医政局医事課が発令した「診療情報の提供等に関する指針」で、「医療従事者等は、患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には、原則としてこれに応じなければならない」とされているため現在ではカルテ開示を拒否する病院自体は少ないものと思われる。
職種別給与の報告義務・看護師給与の見える化
これは日本医師会だけでなく複数の病院団体から反発されて未だ導入されていない。3番目の参考資料に示すような「他職種の給与を不当に低く抑えて経営者である医師が自らの資産を増やしている」というようなことが明るみに出ないよう阻止したと疑われても仕方ないだろう。
かかりつけ医制度
ニッセイ基礎研究所のレポートによればそもそも「かかりつけ医」という単語自体がイギリスのような「家庭医」制度を日本に持ち込もうとした時に日本医師会の強い反発で妥協的に導入された単語である。日本医師会はさらにその制度化にも反対しフリーアクセス制と出来高払いによる利益を手放そうとしない。
生活習慣病薬の市販薬販売
以下は中性脂肪異常改善薬「エパデールT」が要指導医薬品から一般医薬品に移行する時の医師会理事のコメントである。この薬品だけでなく生活習慣病に関する医薬品全般のスイッチOTC化を強く牽制する内容である。生活習慣病によるサブスク受診は開業内科医にとって安定収益の源であり、どうしてもそれを失いたくないのであろう。
フォーミュラリー(使用ガイド付きの医薬品集)の設定
まず初めに「フォーミュラリー」とは、有効性や安全性、費用対効果などを踏まえ処⽅できる医薬品を 「第一選択薬」、「第二選択薬」として標準化した院内の投与指針です。つまり予め使える薬を限定しておき医療を標準化するという手法で欧米諸国では一般的に行われています。しかし日本医師会はこれに対して「処方権の侵害になる」など様々な理由を並べて反対を表明。実際にフォーミュラリーを設定するとなれば薬剤師の関与が大きくなることが予想され、「医師の権限が薬剤師に侵害される」と猛反発した形だ。
マイナンバー保険証
2015年の日本医師会の石川広己・常任理事はロイターのインタビュー記事で「人権侵害への懸念」という強い言葉を使ってマイナンバーへの拒否感を示している。
混合診療
日本医師会平成三十年の歩みの中から2002年の部分を見ると「自己負担を増やすことは皆保険破壊である」という現代Xにおいても良く見られる論理の飛躍を医師会が昔から用いてきたものであることがわかる。そして混合診療への反対姿勢はその後も一貫しており保険診療による7割引き~9割引きの恩恵を手放す気はない。
新型コロナ治療薬の公金負担解除
厚生労働大臣に要望書を提出するというのはそう簡単できることではないでしょう。そこまでしてでも治療費の無償化(=税金負担によるバラマキ)を維持しようとしていたのは恐るべきことです。
幽霊病床という視界に都合の悪い新語の使用
自分たちに悪いイメージが付きかねない単語を行政文書から消させることは言論弾圧にも近い行為であり、その成果を誇るというのは医師会の性質が独裁者に近いことが示唆される。
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