あこがれの椅子、気になる椅子
コメダの話もわが家の椅子の話も、「あこがれの椅子」の話題につなげるためにはじめたのだった。長い前置きになってしまったが、今回が本編。
永らくあこがれている椅子、いま気になっている椅子のことを考えていたら、まとまった数が挙がってきたので、ランキングをつけてみた。いずれも新品で入手可能で、価格もまだ現実的かなといえる範囲のもの。アンティークのウィンザーチェアや黒田辰秋の椅子などもあこがれに違いないが、ここでは省いた。
さっそく、ベスト5から順に紹介してみたい。
■第5位:エッグチェア(アルネ・ヤコブセン)
さまざまなシーンで目にする「ザ・名作椅子」。実際に座ってみると、腰から背骨、頚椎のラインにシートが適度にフィットし、包み込まれるような安心感がある。さながら卵の殻のなか、胎児に戻った気分(?)だ。
カラーリングは基本の黒やキャメル、思いきって赤もありか。どれにするにしても、置けばすぐさまその部屋の主役を奪ってしまう強烈さをはらんでいる。
リプロダクトだったら安いけれど……
■第4位:エキパルチェア(メキシコ)
メキシコで現在もつくられている伝統的な椅子。以前よりなんとなく見覚えはあったものの、先日メキシコ料理店で初めて座ったところ、あまりしっくりきたものだから驚いてしまった。座りながら、これはどんな椅子かとスマホで検索。かの芹沢銈介も愛用したという。
エッグチェアと同様に、腰をしっかりと守ってくれる。どうやらこの点が、わたしにとってのいい椅子の条件らしい。
■第3位:コメダのソファ
※前々回の更新を参照
■第2位:ラウンジチェア(剣持勇)
こちらも名作椅子として著名なもので、ハイクラスなホテルやリゾートによく置いてある(類似品のことも多い)。
籐の香りと、そのなかに身を預ける瞬間の心地は格別。
長時間座っていたら首が痛くなるかもだとか、飲み物や食べ物で籐を汚してしまったらどうしようかとか、些事ばかりを気に掛けてしまうもの。
けれども、どうしても欲しい椅子であることには変わりはない。
■第1位:コノイドチェア ニューチェアアーム(ジョージ・ナカシマ)
ジョージ・ナカシマのコノイドチェアは、青春の思い出とともにある。「あこがれの椅子」といえば、わたしのなかではこれしかない。
「ニューチェアアーム」という肘掛けつきのタイプがとくにお気に入り。さる銀座のバーの椅子はこれで統一されていて、たいへんにすばらしい空間となっている。
ぶっちぎりの1位。いつかは欲しいものだ……
■次点:ゴッホの椅子(スペイン)
ゴッホの絵でおなじみのタイプ。もとはスペインの椅子だ。
再現制作をしている人もいるらしく、興味がある。座り心地はさほどとも思われないが、素敵なインテリアになってくれることだろう。
他にも、イームズのLCWだとか、山葉文化椅子だとか、あこがれるものはいくつかある。
先日は、府中市美術館「動物の絵」、中村屋サロン美術館「自画像展」に続く美術展ハシゴの〆として、新宿伊勢丹で開催中のイームズの展示に行ってきた。LCWも、やはりよい(脚はメタルのほうが好み)。
いまこうして書いているうちは忘れていても、あとからふと気づいて思い出す大事な椅子もあることだろう。まだ座ったことがないゆえに、魅力を悟りきれていない椅子だってたくさんある。
世のなかには、よい椅子が多すぎる。
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