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小さきものは:2 千の葉の芸術祭・CHIBA FOTO /千葉市美術館

承前

 本城さんの被写体じたいは、既視感を覚えるものが大半だ。日本じゅうのどの街でも撮れそうなありふれた日常風景や、メディアを通して著名で、人によっては現地に行ったこともあるような場所が選ばれている。今回の展示は千葉市内の学校が主なモチーフであったし、わたしがすきな写真集は東京や京都の空撮写真を集めたものだった。
 誰しもにとって、自分の目や肌で見知っているはずの風景が、本城さんの手法を経ることによって、ネガ/ポジのようにがらりと転換される。そこに生じる違和感とおかしみ、あっけらかんとしたかわいらしさが、本城さんの作品を観る醍醐味だと思っている。天の神様も、こんな視点から地上の民を見守っているのかもしれない。

 「CHIBA FOTO」では、千葉市美のほかにも、千葉市内の各地でいろいろな作家さんの展示が分散開催されていた。駅前のそごうでも、別の方の写真を観てきた。
 前にこのデパートへやってきたのは、田中達也さんの「MINIATURE LIFE」展を観るためだった。

 本城さんの場合は「ミニチュアのような」写真だが、田中さんの場合はミニチュアそのものであり、現物+写真がどちらも作品。被写体じたいには演出のないもの/被写体の演出からすでに表現がはじまっているものという本質的な違いもある。
 それでも、こうして作品を並べて見てみると、両者は完全に同じ趣味嗜好の範囲内といって差し支えないだろう。少なくとも、観る側の層は重なっている。
 田中さんのミニチュアは、朝ドラ『ひよっこ』のオープニング映像に採用されて知名度を上げた。このときの千葉展の会場には、映像のためにつくられた昭和レトロな “ひよっこの街” のジオラマが再現されていたのだった。
 千葉に写真の展示を観に行ったら、そごうで田中さんの展示を思い出した。千葉市美の本城さんの展示を観ると、なおさらに田中さんとの親和性を感じた。現在の朝ドラのことも相まって、最終的に導き出された答えは『ひよっこ』が観たいということであった……わけなのだ。
 さっそく、NHK+で視聴をはじめるとしたい。例によって、長い旅になるが……


 本城さんの大規模な個展が全国巡回中。千葉では市原湖畔美術館での開催が残念ながら会期途中で中止となってしまったが、来年には東京都写真美術館での同展の開催が控えている。いまから楽しみだ。


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