
東金・八鶴湖と日吉神社参道の杉並木 :2
(承前)
八鶴湖の周辺には訪れるべき場所が多く、散策に事欠かない……と思うのだが、散歩をする人、立ち話をする人、みな地元の方々とみえて、観光色は薄い。というか、ない。
それでも春になって、湖の周囲1キロにわたって植えられた1,000本の桜が咲けば、県内から多くの花見客が訪れるという。さぞ、壮観だろう。






マップを再掲する。

西端に「東金城跡」とある。中世から戦国期にかけての山城の跡で、その山麓に東金御殿が築かれた。湖の北西には(マップにはないが)山と、その尾根に日吉神社があり、丘陵は最福寺の背後と東側にも続いている。
すなわち、三方を山に囲まれた窪地に八鶴湖はあり、東金御殿は山を背に、水に面した立地となっているのだ。ひらけた南側も、八鶴湖によって封じられている。
東金御殿の造営や八鶴湖の整備・拡張に関して、有事への備えが意識されていることは想像にたやすい。
一時的とはいえ、将軍の滞在する場所である。隙はみせられないのだ。
東金御殿と同時に、船橋と東金を結ぶ街道も整備されている。
交通網の整備に、郊外の拠点づくり。名目上は「鷹狩りのため」であったが、軍事面での布石は間違いなくあったのだろう。
この街道は「御成街道」と呼ばれる道で、日吉神社にもつながっていく。(つづく)
※いざとなれば、湖を挟んで反対側にある最福寺も砦として利用できそうだ
※東金御殿の遺構が、お隣・大網白里市の正法寺に移築され現存している