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古寺巡礼

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古社寺への巡礼記録、古社寺・宗教美術にまつわる展示の鑑賞記録
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#東京国立博物館

吉野と熊野 ―山岳霊場の遺宝― /東京国立博物館

 今年の5月28日から7月15日まで、東京国立博物館の本館14室で開催されていた特集展示である。…

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神護寺 空海と真言密教のはじまり:3 /東京国立博物館

(承前)  全体の3分の2ほどを過ぎた段階で、じつは、仏像はまだあまり登場していなかった。…

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神護寺 空海と真言密教のはじまり:2 /東京国立博物館

(承前)  東博の「神護寺」展・後半分の展示は、平安貴族の信仰と美意識を反映した、きらび…

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神護寺 空海と真言密教のはじまり:1/東京国立博物館

 真言宗の古刹・神護寺の創建1200年を記念する展覧会である。  京都の市街地から北へ離れた…

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ゆるりとめぐる、東博の総合文化展:3 〈考古篇〉 /東京国立博物館

(承前)  ジャンルごとの展示室のうち、考古室のみが平成館の中にある。  2階の特別展を観…

ゆるりとめぐる、東博の総合文化展:1〈仏像篇〉 /東京国立博物館

 東京都美術館「マティス展」のあと、毛色の違うものをさらに観たくなって、東京国立博物館へ…

大安寺の仏像:2 /東京国立博物館

(承前)  「現在の大安寺の寺域は、最盛期の25分の1ほど」  ——現地に足を運んだことのある方であればなおさら、この数字がどれほどすごいか、ご理解いただけると思う。伽藍の周囲がガランとしていることもあるが、現状でもじゅうぶんに広大だと感じられるのだ。  とはいえ、通常の奈良観光では、大安寺をコースに組み入れづらいのもよくわかる。実感をもてるという方は正直、少ないだろう。かたや「奈良は効率よくまわって、お泊りは京都で」という方は多いのであろうし……  大安寺にこれから来てい

大安寺の仏像:1 /東京国立博物館

 日本最初の官立寺院・大官大寺を源流にもち、平城京遷都にともなって飛鳥の地から奈良へと移…

特別公開 増上寺三解脱門:3

(承前)  釈迦三尊の両脇を固めるのは、お釈迦さまの高弟・十六羅漢の面々と《歴代上人坐像…

隠された存在:2 秘仏ご開帳

(承前)  ゆえあって非公開とされている仏像を「秘仏」という。  秘仏であっても、そのお…

中国陶磁で “整う”

 サウナが静かなブームとなっている。  愛好者によると、蒸し暑い密閉空間と冷たい水風呂と…

みほとけの像、裏から見るか?横から見るか?

 東京国立博物館で「空也上人と六波羅蜜寺」展が開催中である。  たいへんな混雑と聞いてい…

聖徳太子と法隆寺:2 /東京国立博物館

(承前)  今回の法隆寺展の目玉は、なんといっても金堂の《薬師如来像》。  《四天王像》…

聖徳太子と法隆寺:1 /東京国立博物館

 東京国立博物館の特別展「聖徳太子と法隆寺」へ。  太子の1400年遠忌を記念する本展は、法隆寺所蔵の文化財と東博所蔵の法隆寺献納宝物であらかたを構成、一部を太子ゆかりの寺院から借用。27年前の「国宝法隆寺展」を濃縮させ、新たなスパイスを加えて味つけしなおしたような贅沢な展示であった。気になったものをいくつか挙げたい。  《夾紵棺(きょうちょかん)断片》は、太子が眠る棺の残欠と目されるもので、大阪・柏原市内の寺にひっそりと伝来した。このような一見して地味な資料が、太子にまつ