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古寺巡礼

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古社寺への巡礼記録、古社寺・宗教美術にまつわる展示の鑑賞記録
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#日本美術

信貴山縁起絵巻 特別公開「延喜加持の巻」:2 /朝護孫子寺

(承前)  国宝《信貴山縁起絵巻》(平安時代)は3巻からなり、朝護孫子寺の霊宝館では常時…

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禅宗の美:2 /大和文華館

(承前)  中国の伝説上の仙人たちは、禅者の理想像として、さかんに絵画化された。  雪村…

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禅宗の美:1 /大和文華館

 日本の古美術を主に収蔵する、奈良市の大和文華館。近畿日本鉄道(近鉄)による美術館で、そ…

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美麗なるほとけ 館蔵仏教絵画名品展 /根津美術館

 根津美術館が所蔵する仏教絵画の名品・珍品を集めた、魅惑の展覧会である。  冒頭に掲げら…

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大名茶人 織田有楽斎 /サントリー美術館

 有楽斎こと織田長益(ながます)は、織田信長の13歳下の異母弟。  さしたる戦功はないもの…

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あの世の探検 ー地獄の十王勢ぞろいー:2 /静嘉堂文庫美術館

(承前)  十王図は、最も長い壁付ケースに全13幅が横並び。これは、壮観……!  中央は《…

あの世の探検 ー地獄の十王勢ぞろいー:1 /静嘉堂文庫美術館

 静嘉堂所蔵の仏教美術を一堂に展示する、丸の内移転後としては初の展覧会。  タイトルにあるように、閻魔大王を含む「十王」を描いた「十王図」の一挙公開が最大の目玉となっているが、地獄絵のみを集中的に扱うものではなかった。  考えてみれば、十王図にかぎらず仏教美術全般が、「あの世」を強く意識するなかで生み出された造形である。  広い意味での共通項を示す「あの世の探検」というタイトル設定により、作品に没入するのみならず、つくられた意味・意図や、どのような場で飾られ、使われたのかとい

氷室神社のかき氷と、奈良博・なら仏像館

 近鉄を乗り継いで、奈良市へ。  まずは、氷の神様を祀る「氷室神社」。  東大寺の1つ手前…

国宝《十一面観音立像》の拝観 /京田辺・大御堂観音寺

 大河ドラマ「どうする家康」は、伊賀越えの回だった……らしい。  視聴者ではないのにこの…

ゆるりとめぐる、東博の総合文化展:3 〈考古篇〉 /東京国立博物館

(承前)  ジャンルごとの展示室のうち、考古室のみが平成館の中にある。  2階の特別展を観…

ゆるりとめぐる、東博の総合文化展:1〈仏像篇〉 /東京国立博物館

 東京都美術館「マティス展」のあと、毛色の違うものをさらに観たくなって、東京国立博物館へ…

小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才― /山種美術館

 5月19日の更新分に、こんなことを書いていた。  ——それから2か月が経とうとしており、あ…

速水御舟の《洛北修学院村》を訪ねて

 曼殊院で「黄不動」の里帰り特別公開を拝観し終えてから、門前のこのあたりに立ち止まって「…

国宝「黄不動明王像」 里帰り特別公開 /京都・曼殊院門跡

  「曼殊院(まんしゅいん)といえば黄不動」というくらいに著名な尊像であるが、そういえば、これまで一度も拝観したことがなかった。  京都・洛北の曼殊院には、うかがったことがある。  朝一番での修学院離宮から曼殊院、応挙《雨竹風竹図屏風》がある圓光寺、石川丈山の詩仙堂、ふしぎな野仏庵、宮本武蔵が決斗した一乗寺下り松、独立系書店のカリスマ・恵文社一乗寺店というコースだった。  ここまで巡って、まだお昼過ぎ。午後も夜中まであちこち歩きまわったはずだ。旅先のわたしは、武蔵もびっくりの