サドラーズウェルズ ーThe King of Epsom
凱旋門賞ではサドラーズウェルズ系が強いと書きましたが、ここではサドラーズウェルズについてお話しします。
身体
体高16ハンド(約163cm)と15.2ハンド(約154.4cm)しかなかった父ノーザンダンサーと比べるとかなり背が高い子に育ちました。
何よりも上半身が強く、首の高い走りをしていました。
Throughout his racing career, Sadler's Wells had a characteristic running style, galloping with his head at an unusually high angle. ー wiki
レースを見ていただければ、面白いほどに首をまっすぐに立てて走っているのがわかります。
下の写真のお馬さんはフランスの重馬場で2走して散々な目にあわれたお方です。走る時に首を下げながら走っていたサドラーズウェルズと対照的なお馬さんです。
サドラーズウェルズと比べると首と肩回りの筋肉の付き方が全く違うのがわかります。この子は首を上下させてストライドを大きくとる走り方をします。前脚も上に上げて地面に叩き下ろすよりは前に伸ばしていくタイプです。
このタイプは柔らかい馬場が苦手です。大きく前に伸ばした前脚が着地した地面が柔らかいとバランスを崩してしまうのです。なので自然とバランスを崩さないようにストライドが小さくなっていきます。人間でも革靴で滑る雪道を歩くときは歩幅が小さくなりますよね?それがこのお馬さんのフランスの2戦の走りだったわけです。映像を見ていただければ日本で走っていた時と比べてビックリするぐらいストライドが小さいのがわかります。
The King of Epsom
サドラーズウェルズが最も得意とするのがエプソム競馬場
ダービーやオークスが行われる2420mコースは最初の1000mで32m上り、そこからゴールまで28m下る、おそらく世界一高低差のあるコースだ。
エプソム競馬場ではG1が3つ開催される。ダービー、オークス、そしてコロネーションカップでいずれも2420m
このG1でサドラーズウェルズが圧倒的に強い
過去30年のサドラーズウェルズ系の成績はこうだ
ダービーで1着13回、2着17回、3着11回
オークスで1着12回、2着11回、3着5回
コロネーションカップ 1着17回、2着8回、3着9回
圧倒的ではないか!
サドラーズウェルズ系はその上半身の強さを活かして長い坂のあるコースが大好きなのだ。
逆に言えば、典型的なサドラーズウェルズ系にとっては日本の競馬場は起伏が少なすぎてその良さを最大限に引き出せないともいえる。
それでもテイエムオペラオーやメイショウサムスンのような複数G1ウイナーをだすのだから底力はスゴイ物がある。
ニックス
欧州の舞台ではミルリーフ系との相性が抜群だ
母父ミルリーフ 24頭中19頭勝ち
母父シャーリーハイツ71頭中56頭勝ち
母父ダルシャーン116頭中77頭勝ち
ダンチヒのケツプリがもたらすもの
ノーザンダンサー系はノーザンダンサー系同士のインブリードでお互いの良さを引き出す。
その最高傑作がフランケル(父ガリレオx母父デインヒル)だろう。
サドラーズウェルズ系が平坦な競馬場で走る上で必要なスピードをプリっとしたお尻で支えてくれるのがダンチヒの血だ。
フランケル産駒が日本で走ってガリレオ産駒が走らない一番の要因はダンチヒのあるなしだと思う。