香港ヴァーズ 気になる馬達
香港ヴァーズ
2400m GⅠ
赤い矢印がスタート地点
等高線は左がスタート。
2400mコースの特徴
スタートから最初のコーナーまで約540mと長い。
スタートして400mは平坦。
ゴール板手前から上り坂が始まり2コーナーの終わりまで3m上る。
3コーナーの始めから4コーナーの終わりにかけては下り坂で約3m下る。
最後の直線は約430mでほぼ平坦だがゴール前100mで1m上る坂がある。
右回りで3-4コーナーがスパイラルカーブになっているので阪神、京都、小倉と共通点がある。
日本馬で過去に3着以内に入った馬、グローリーヴェイズ、ラッキーライラック、リスグラシュー、サトノクラウン、ジャガーメイル、シックスセンス、ステイゴールドと全ての馬が京都外回り2200m以上のGⅠかGⅡを勝っている。
次に多いのが阪神の2000~2200mGⅠ勝ち。
欧州馬の傾向
欧州馬が香港で走るかどうかの目安には、
平坦競馬場での実績
下り坂での33秒台の実績
後半が『下り→平坦』コース実績
高いギアチェンジ能力
近年の欧州馬で活躍したのは2021年2着パイルドライバー君、3着エベイラ、2020年1着モーグル(日本馬出走なし)。
パイルドライバー君はヨークのヴォルティガーSで平坦での高いレベルを見せていたし、コロネーションカップではエプソムの下り坂で11.14-11.01-.11.05と高速馬場への適性を見せていた。
エプソムは前半の上り坂に目が行きがちだが、勝負所の下り坂でのスピードは高速馬場での適性を見るのに役に立つ。
モーグルはロンシャンの良馬場のパリ大賞典で2分24秒76、ラスト3ハロンも11.00-11.14-11.87とスピードを見せた。
ロンシャンも後半が下り坂→平坦なのでシャティンの後半に似ている。
エベイラはロンシャン、ドーヴィル、サンクルーでの重賞勝ちがある。
エバイラは香港の前には良馬場で走ったことがなかったので速い時計はないが、平坦ドーヴィルの2500mGⅡでラスト3ハロン13.28-11.11-11.61という急激なギアチェンジを要する展開で勝っている。
すなわち瞬発力に優れている。
香港馬の傾向
2018年のエグザルタント以降は香港馬の勝ちはない。
元々、2400mは香港馬の層が薄い。
香港のクラシック3冠はマイル1600m、カップ1800m、ダービー2000mで2400mのレースは含まれない。
オーストラリアやニュージーランドからの輸入も多く、1200~1600mで強いのが香港。
エグザルタント以降は2020年3着、2021年4着のCOLUMBUS COUNTYしか活躍馬はいない。
COLUMBUS COUNTYは2020年が初めての2400m。
その前走は11月のTHE JOCKEY CLUB CUP(2000mGⅡ)で0.34秒差の3着。
去年も同じレースで0.22秒差4着でヴァーズ4着。
2400mのレベルが高くないので2000mでの実績の方が重要かもしれない。
11月のTHE JOCKEY CLUB CUP(2000mGⅡ)の好走馬に注意を払えばいい。
評価
勝ち負け
ウインマリリン
2着候補
グローリーヴェイズ
Botanik
Mendocino
3着候補
Stone Age
SENOR TOBA
穴
Broome 去年のBCターフの例もあるので穴を開けるならこの馬
馬達
グローリーヴェイズ
香港2400m大好き。
今年は少し力が落ちているかもしれない。
ドバイシーマはパイルドライバーの後ろで先に前が開いたのに伸びず。
札幌記念も調整とはいえ、少し物足りない走り。
間隔が開くのはディープインパクト産駒では関係ないし、日本での追切は悪くなさそう。
少し心配だが得意なコースで巻き返す可能性は高い。
ウインマリリン
京都は走っていないので実績はない。
しかし、2019年のエリ女4着は誇れるし、春中山の2500mGⅡを勝っているのも大きく評価できる。
香港では中山記念の上位組が好走しているので同じ春中山の日経賞での勝利も有利な材料になるだろう。
オールカマー、札幌記念でグローリーヴェイズに先着を果たしているし、前走もエリ女2着。
右前脚の付け根の腫れがひどくなければ勝ち負けが期待できる。
手塚調教師のコメント
「(シュネルマイスターとの併せ馬、馬なりで併入5F70秒0-1F12秒0)もう少し全体は速くする予定でしたが、検疫中でかなり暗い中での追い切りでしたので、ジョッキーも速すぎないよう慎重になっていて全体時計は遅くなってしまいました。それでも、見た感じではいい動きでしたし、肘も問題なく、前走時の凄くいい状態をキープできています。馬体重は現在485キロで、初めての海外輸送である程度は減ると思いますので、減った分を現地でどれだけ戻せるかというところでしょう。来週の現地での追い切りは、馬体の減り具合と精神状態を見てから決めたいと思っています。輸送を無事にこなして欲しいですね」
Stone Age アイルランド 先行
ガリレオxアナバァ
祖母のBright Moonがヴェルメイユ賞3着、凱旋門賞1馬身差5着
ドーヴィルの2700mGⅡを連覇してもいる。
Stone AgeはBCターフは△で2着。
ちなみに、1着△2着△3着〇4着◎5着△6着▲で選んだ6頭で1~6着。
しかし、馬券は外す(涙)
上位人気6頭でも決着だったので、ある程度力通りの結果ともいえる。
英ダービー前にはトライアルの勝ち方から2番人気になりましたが去年のボリショイバレー(連勝して英ダービー7着)のように期待を裏切るんじゃないかという声も上がっていました。
結局11馬身差の6着でボリショイバレーしてしまったのですが、その後アメリカの2000mと1900mでも勝ちきれず。
ボリショイバレー以下ではないかと思われ始めたところでの愛チャンピオンS5着。
5着とはいえ、ルクセンブルグ、オネスト、ヴァデニ、ミシュリフに次ぐもので着差も2+3/4馬身差。
悪くない。
英チャンピオンSでも5着だが、逃げて直線入り口で抜かされたのに大きく失速しなかった。
最後までレースに参加していたのは評価できる。
あの展開だと馬があきらめてズルズル後退してもおかしくなかった。
BCターフは3番手でレースして2着。
レースタイム2分26秒35
400m毎のラップは、24.91-24.51-24.73-24.77-24.33-23.10
決め手勝負では劣るが、先行してしぶとい。
グローリーヴェイズの2019年の香港ヴァーズのラスト800mレースラップが24.04-23.03
2022年が23.33-23.87。
前でしぶといので粘れるがスピード足りずに離されない5着前後だと思われる。
展開次第で3着の可能性はある。
Broome アイルランド 先行/欧州外では追い込み
欧州では先行するレースが多いのだがBCではオルティズ騎手は後方待機で去年2着、今年6着。
今年は1,3,4着馬の後ろから追い込むも離された。
そろそろ走りそうな感じもするが、今年のレースぶりからは狙いづらい。
Bubble Gift フランス 好位/差し
ナサニエル(ガリレオxシルバーホーク)xグランドロッジ(ダンチヒ系xハビタット)
ロンシャンのGⅡ2勝、今年のサンクルー大賞典3着でフォワ賞2着。
ロンシャンでの成績がいいのは〇
去年の良馬場のニエル賞で上がり33.96秒(11.73-10.83-11.39)を使えたのはいいのだが、レースタイムが2分34秒62とドスロー。
団子状態の一番後ろで脚を溜めれたのもプラス。
ディープボンドが2分31秒82で上がり33.85(11.26-11.03-11.55)というのを考えると大きくは評価できない。
今年のフォワ賞では内の2番手から抜け出したが後方待機のIresine(10月にロンシャン3100mGⅠ勝ち)に瞬発力負けした。
少しペースが速くなると最後の脚に影響するのは確か。
それにナサニエル産駒はスタミナ豊富でタフなレースに強い傾向にある。
去年の凱旋門賞で8着、今年のサンクルー大賞典でアルピニスタから0.26秒差の3着というのがこの馬らしいところ。
サンクルーは後半が長い上り坂でシャティンとは異なる後半が厳しいタフな競馬場。
アルピニスタの勝ちタイムはレースレコードで2分26秒15なので時計的には香港ヴァーズでも上位に入る力はある。
香港ヴァーズが前傾ラップの速いペースで前が潰れる展開になったらBubble giftにもチャンスはありそう。
瞬発力勝負では劣る。
Botanik フランス 先行
ゴールデンホーンxストリートクライ
近親にシングスピールの父でもあるIn The Wings
ゴールデンホーン産駒も苦戦していてTrawlermanやAl Zaraqaanのようにスピードに欠けるステイヤーが多い。
その点で言えばBotanikは例外かもしれない。
母系にGⅠ馬がいる血統でハビタットとミスプロのクロスがあり、母父もストリートクライ。
気性的にも活発で前進気勢が強い前のめりタイプ。
今年の8月のドーヴィル2500mGⅡでステイフーリッシュに勝った馬。
8月にドーヴィルの2500mGⅢとGⅡを連勝。
GⅢではその後フォワ賞と3000mGⅠを連勝するIresineに勝ち。
最もそのレースはレースタイムも2分44秒と遅く、上り3ハロン12.07-10.79-11.04というラスト400m勝負で上位4頭の上りは33.63~33.91秒のヨーイドンでほとんど差のないレース。
GⅡではレースレコードの2分36秒23で上がり33.34秒(10.94-10.95-11.43)なので能力はある。
これまでの戦績は【6-2-0-2】で着外だった2つは共に重馬場。
前のめりな姿勢で走るので前脚が着地する時に柔らかい馬場だと走りづらいので当然。
前走の不良馬場のロンシャンでは大敗したが参考外。
去年はステイフーリッシュが5着。
この馬の方がスピードがあるし、4着以内が狙えそうだ。
Mendocino ドイツ 差し
アドラーフラッグxピヴォタル
Mendocinoはシュタインベルク調教師の初めてのGⅠ馬。
シュタインベルク調教師は小さい厩舎でオフィスマネージャーが一人いるだけで厩舎の仕事をほとんど一人でやっているみたいで、本人も『I don't think I'm a typical trainer.』と言うくらい。
調教師さんのコメント
『Mendocinoは典型的なアドラーフラッグ産駒とはちゃうねん。重馬場いらんねん。凱旋門のえげつない馬場はマジあかんかったわ。馬力はあんねんけど重馬場はアカンねん』
バーデン大賞ではドスローからの600m勝負でトルカータタッソーに勝った。
少頭数の後ろで溜めれたし、直線では馬場の良さそうな外ラチ沿いを走れたのも大きい。
確かにタッソーとちがい、ストライド大きめの高速馬場で良さそうなタイプ。
今年はシャンティイの重馬場2400mでBubble giftに負けたが稍重のロンシャン2400mでは上がり33.78秒も記録して先着。
4月には稍重ロンシャン2400mで上り32.46秒で4着もある。
評価が難しい馬。
キングジョージからタッソーは良馬場でもある程度強く、それに瞬発力勝負で勝った。
時計の速い春のロンシャンで32~33秒台の上りも見せている。
去年のバーデン大賞でアルピニスタ様から3/4馬身差の2着。
今年は夏に3か月休んでこれがこの秋3戦目で状態も良さそう。
SENOR TOBA 香港 差し
トルネード(サドラー系xミスプロ系)xテオフィロ(ガリレオxデインヒル)
オーストラリアのクイーンズランドダービー(2400mGⅠ)を2着してから香港に移籍。
5月の香港の2400mGⅠで去年の香港カップ3着ラシアンエンペラーから0.38秒差の3着。
PanfieldとColumbus Countyには先着。
11月のJOCKEY CLUB CUPでは0.33秒差の3着でPanfieldに先着。
スタートからの出足が遅く、中団後方待機。
溜めて瞬発力を活かすタイプ。
香港馬の中では最も期待できる馬だが、3着までだろう。
Panfield 香港 差し
ルッキンアットラッキー(ミスプロ系xダンチヒ系)xオーペン
チリで1700~2400mの3歳GⅠを3勝して香港に移籍
1700m1分38秒52,2000m1分58秒75、2400m2分26秒18(日本と似たような計測)
香港では苦戦してGⅠ勝ちは去年5月の2400mGⅠだけ。
大型馬だったのだがさらに成長してここ2走は590キロ!!!
ここ2走の凡走は絞り切れていないのもあるだろうがデカすぎる。
4月のQEⅡ(2000mGⅠ)では0.36秒差3着し、香港中距離界上位の力はある。
絞れてくれば期待ができるので馬体重待ち。
Butterfield 香港 差し
ブラジルの3歳1600mGⅠ(1分34秒29)と2400mダービー(2分25秒68)を勝って香港に移籍。
香港ではGⅠ勝ちなし
近走もそこそこどまりで香港ヴェイズで上位に入るには宝くじに当たるくらいの運が必要。