インターナショナルS 2024 シティオブトロイおめでとうございます!
勝ち時計 2分4秒32
これまでのレースレコード(2009年のシーザスターズの2分5秒29)より1.03秒も速かった。
まずは、欧州は日本以上に馬場状態によって走破時計に差が出やすいと言うのを頭に入れてほしい。
同じGood to Firmでも、所によりGoodなどGood寄りの馬場もあるが昨日は全面Good to Firmで時計の出やすい馬場だった。
同じく昨日行われたグレートヴォルティジュール(3歳GⅡ約2400m、このレースの後にGⅠを勝つことの多い出世レース)でもロスアンゼルスが2分27秒80で2014年のポストポーンド(27秒29)、去年のコンティニュアス(27秒45)に次ぐタイムで勝利。
しかし、ポストポーンドが57.1キロ、コンティニュアスが58.1キロに対してロスアンゼルス60.3キロなのを考えれば時計以上のものがある。
Acomb Stakes(2歳1400mGⅢ)ではザライオンインウインターが1分21秒58で、これまでのレースレコード2014年の1分22秒32よりも0.64秒も速かった。
インターナショナルSはレコードが出るようなハイペースでもなくむしろ前半は速くなかった。
1063m通過が67.27秒(日本式で約66.0秒)で後半1000mが57.04秒。
欧州は日本とは違い中距離でハイペースになる事が少ないが、それでもスローペースには違いないだろう。
スローで前有利とも言えるが、ラップを見れば1,2着馬と3着以下で差があった事がわかる。
ラスト4ハロンが11.23-11.02-11.22-11.67で上がり3F33.91秒と直線が900mあるヨークにしては最後の失速が少なく、スローの前有利の展開に持ち込めたのが大きかった。
2着のカランダガンがラスト4ハロン11.16-10.75-11.01-11.68の上り3ハロン33.44秒で展開次第では、と思わせる走りを見せてくれた。
この2頭の強さが目立ったレースだった。 3着以降はラスト1ハロンの失速が大き過ぎて力負け。
上がり3ハロン33秒台はこの2頭だけ。
34秒台も3着ゴーストライター34.45秒、4着34.89秒の2頭だけ。
欧州は日本以上に勝ち目がなければ最後に手を抜く傾向があるが、上位5頭でラストに11秒台だったのは2頭だけ。
最後の失速度合いも、シティオブトロイが0.45秒におさえたのに対し、カランダガンが0.67秒、ゴーストライターが0.75秒、ブルーストッキングが1.01秒、ドゥレッツァが1.16秒。
カランダガンはその前の400mで0.49秒速かったがそこで力尽きた。
前半の位置取り次第ではもう少し違った結果があったかもしれないと思わせる内容だ。
平坦のヨークではこの2頭の力が抜けていたと言える。
欧州は日本以上に競馬場ごとの起伏やコース形態に差が大きいので次のレースでこの力関係がそのまま当てはまるとはいえない。
それでも、エプソム、サンダウン、ヨークと異なる形態の格の高いGⅠを3連勝したシティオブトロイの強さは疑いようがなく、他の競馬場でも高いパフォーマンスを発揮してくれるだろう。
1着 〇シティオブトロイ
オブライエン師のコメント
『彼はジャイアンツコーズウェイのようにいいスタートを切るが更に速い。英2000ギニーでのことがあったので彼を落ち着かせて正しく(馬群の中で折り合う)レースできるように教えた。
今日はライアンと計画していなかった事をやった。
スタート良く先頭に立ってしまったが素晴らしいレースをした。
特にレース後半に見せたパフォーマンスが素晴らしく、力強くゴールした。
彼は私が訓練した中で最高の馬であり、私たちは2歳児の時からそう考えていた。
彼は私たちが今まで持っていた中で最も特別な馬だ。
私たちは今年最初のレースで道路から外れて沼地に入ったが、そこから出てきて今日の彼になるのは信じられないことだ』
『英2000ギニーの後に、私たちは(先頭を走る)ことから離れた。
なぜなら、彼は私たちを怖がらせたからだ。
2歳では、彼は非常に速くゲートを出て、支配して走り続け、今日彼がやったことと同じことをした。
ライアンは彼に素晴らしい騎乗をした。
ライアンはシティオブトロイを素晴らしくコントロールし、非常に強くフィニッシュした。
彼が非常に強く飛び出し、先頭を走る時に、彼の一番良い姿を見ると思う。
人々は彼のストライドを測るだろうが、最後の2ハロンでのその長さは本当に信じられない。
それが2歳の時と同じで、彼はただ走り続ける。
ライアンは彼がゴールを通過する際に非常に強くなったと言った』
「ライアンはアークをやりたいだろう」 シティオブトロイが凱旋門賞に出場する可能性は依然としてわずかに存在し、ムーアも熱望しているが、現時点ではアメリカ(BCクラシック)が有力な候補となっている。
2着 ▲カランダガン
中団後方でしっかりと脚を溜めて残り600mで外に出して追い始めた。
普通の相手だったら勝っていた内容。
ただ同じ位強い馬が前で有利にレースを進めていただけ。
ロンシャン重馬場での実績もあるし、アスコットで2400mを強い勝ち方をしているので次のGⅠでも期待できる。
予想の『これ結構強いかもしれない』という印象通りの馬だった。
3着 ゴーストライター
スピードに優れた配合で『3,4着でおさえるタイプ』とは思ったが6頭に選べなかった(泣)
平坦での適性が予想以上に高かったので、この後はオーストラリア、アメリカ、香港、ドバイでも活躍が見込める。
4着 ◎ブルーストッキング
ゴーストライターの後ろ、カランダガンの前といいポジションにいた。
ラスト800~400m区間では上位3頭に劣らなかったがラスト400mでついて行けずに失速した。
キングジョージのパフォーマンスを考えれば後半は上り坂のコースの方がいいのかな。
5着 ドゥレッツァ
ポジショニングの失敗。
外で前に馬を置こうとしたが位置取り争いに負けて外にはみ出してしまった。
不利な外3列目先頭で走り、空気抵抗を受けながら長い距離を走ってしまった。
結果、脚を溜められず、後半の失速につながった。
日本では車のレースではスリップストリームは良く聞くが、馬のレースでは聞いたことがない。
しかし、海外の英語の実況では当たり前にスリップストリームという言葉を聞く。
『Royal Rhyme, City Of Troy’s stablemate Hans Andersen and Ghostwriter were in his immediate slipstream, with Japanese raider Durezza also close by, while those from further back were keen to work their way into contention swinging into the straight.』
何が言いたいかと言うと、日本の馬のレースでは空気抵抗という概念が欧米に比べて軽視されているという事。
ルメール騎手は日本のレースでは『前に馬を置く事』をかなり気にかけているが昨日のレースでは位置取り争いで負けてしまった。
2列目先頭のロイヤルライムには先着しているので、前に壁を作れていたら4着のチャンスもあったかもしれない。
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