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エプソムダービー 2024年 気になる馬達

赤い矢印がゴール
右がスタートで左がゴール

エプソム競馬場の約2420m

前半の1000mで高低差38m上り。
後半の1150mで高低差25m下る。

この前半の上り約1020mを去年は70.60秒、2022年70.43秒、2021年は71.27秒で先頭は走っている。

ラスト1000mは下りなので速くなる。
去年のオーギュストロダンは56.86秒、2022年のデザートクラウンが59.02秒で走っている。

日本ダービーと比較すると、日本ダービーの前半1000mは約60秒。
スタートからの計測の差を考慮しても上り坂や馬場の影響は約10秒。

後半1000mは今年が日本ダービーで最も速く56.8秒。
2022年が59.6秒、2023年が59.0秒。

面白い事に後半の1000mに限れば日本とエプソムダービーの時計に大きな違いはない。

前半の上り坂のせいで全体時計は遅く感じられるが、後半1000mは下り坂でいかにスピードを出せるかが勝負の焦点になる。
ガリレオ産駒が強いのも日本人が思うよりも前後の伸縮性を使う動きができるから。

今年のエプソムダービーは混戦模様

トライアルを勝ったアラビアンクラウン、エコノミクス、ヒドゥンロウの3頭はエプソムには出走しません。
アラビアンクラウンは負傷のため出走断念、エコノミクスは休養、そして悲しいことにヒドゥンロウは亡くなってしまいました。

ニューマーケットの英2000ギニーでの大敗にも関わらず、シティオブトロイが最有力候補として浮上してきました。
彼は一発屋に終わってしまうのでしょうか、それとも調子を取り戻すのでしょうか。
そして後者であれば、彼は距離を克服することができるのでしょうか。

そして天気予報から馬場状態が重くなる見込みになり、ロスアンジェルスやエンシェントウィズダムが人気になってきています。

エイダン・オブライエン調教師はシティオブトロイへの信頼を揺るぎないものにしています。
去年も英2000ギニーで大敗したオーギュストロダンがその信頼に応えたようにシティオブトロイが調教師の信頼に応えられるでしょうか?

もしシティオブトロイが再び大敗を喫したなら、オブライエン調教師が次回バリードイルのスーパーホースを称賛した時、我々は少し慎重になるかもしれません。

評価

勝ち負け
ロスアンゼルス
べラムジャストゥム

2着候補
アンビエンテフレンドリー
エンシェントウィズダム

3着候補
ダラススター
マックダフ MACDUFF


カンブー KAMBOO

馬達

アンビエンテフレンドリー 
グレンイーグルスxファストネットロックxアルザオ
父は2歳の1400m1勝と3歳の1600mGⅠ3勝
母系も長い距離はない。

リンクフィールドダービー・トライアル (2000m) を圧勝するまで、ダービーでは全く人気なかった。
いつものメンコを外して勝利し、ゴール直前で余裕を持って減速しなければ、さらに着差を広げることができたでしょう。
タイムも速く、コースレコードに迫るものでした。
そしてレース内容も申し分ありません。
2着に入ったイリノイは2歳時にG1競走で上位入着しており、約8馬身離された3着のメイダンはその後グッドウッドのコックドハットステークスを制しています。
さらに4着に入ったザ・ユーフラテスは以前バリーサクステークスの2着馬であり、7着に入ったディファイアンスはエプソムのブルーリバンドトライアルで2着に入着しています。
気性的に少し問題があるのに騎手が乗り替わるのは不安。

ダービートライアルは約2350mを2分24秒09、上がり3ハロン35.79秒。
道中は馬群の中で外2列目の2番目。
前半のペースが速く他の馬が後半にバテるなかしっかりと最後まで脚を使えた。
ストライドも平均より大きく良なら期待できた。
重馬場の判断難しいがやれてもおかしくない血はもっている。

エンシェントウィズダム ANCIENT WISDOM 
ドゥバウィxダラカニxカーリアン
エンシェントウィズダムにとっては、馬場が重くなるほど良い。
昨秋ドンカスターで行われたG1フューチュリティステークスでは、泥が舞う中勝利を収めています。
ヨークのダンテSでエコノミクスに6馬身離された初戦は、物足りない内容でした。特に、彼に次いで入着した馬たちを見るとなおさらです。陣営はあのレースが必要だったと主張していますが、完全復活するには16日間しかありません。
ドバウィは素晴らしい種牡馬ですが、22歳になる今でもダービー優勝馬を送り出せていません。
圧勝したエコノミクスはダービーに出走しませんが、重馬場以外の買い材料はない。

べラムジャストゥム BELLUM JUSTUM 逃げ/先行
シーザスターズxオアシスドリームxサドラーズウェルズ
ベルムジァストゥムは、昨年9月下旬にニューマーケットで行われた1マイル戦でインイシュリン(2000ギニー6着、今週末のG2優勝馬)を相手に初勝利を飾り、今シーズンは4月下旬のエプソムでデファイアンスを下してブルーリバンド・トライアルを制しました。
しかし、エプソム・トライアルを勝ってダービーも制したのは、なんと1939年が最後なのです。
エプソム・トライアルでは2着ディファイアンスの方がラスト5ハロン速いがゴール後も抜かせなかった。
やや小柄な馬体も合わせて重馬場と距離延長は良さそう。

シティオブトロイ CITY OF TROY 先行
ジャスティファイxガリレオxシアトリカル
昨シーズンの傑出した2歳チャンピオンか、それとも2000ギニー凡走馬か。
エイダン・オブライエンは、このスターの惨敗の一因を自分自身に求めている。
しかし、この馬の体調が万全でなかったとは考えにくいし、ゲートの中で落ち着きを欠いた5秒間が、あのような無様な負けにつながったとも考えにくい。
オブライエンは12ヶ月前、ギニーで期待を裏切ったオーギュストロダンを立て直したが今回はどうか?
ギニーでの敗因はハイペース先行。
初の1600mだったが1000m過ぎから失速は始まっており、距離延長以前の問題。
父は米3冠馬ジャスティファイで2400mGⅠ勝ちもあるがこの馬は先行では2000m以上は難しいんじゃないか?
後方待機する方が期待できるか。

ダラススター DALLAS STAR
クロスオブスターズxサドラーズウェルズxマニラ
アモレーシングは、キングオブスチールが12ヶ月前にダービーで惜しくも敗れた経験があり、今回2頭から3頭の出走馬を出す可能性があります。
ダラススターは、レパーズタウンで行われたバライサックスステークスで不良馬場の中、50倍という下馬評を覆して勝利を収めた後、彼らのナンバーワン候補となっています。
このレースは、エイドリアン・マレー厩舎に移籍後初出走でしたが、2頭のオブライエン調教馬を下しました。
不良馬場で消耗戦になり最後は全馬歩くようなありさま。
ダラススターは明らかにタフなコンディションに適応しています。
そのため、関係者一同は、現在の軟らかくなった馬場がさらに悪化することを願っているでしょう。
とはいえ、去年の2000mGⅢでも最後の脚は良かったので期待できる。

ダンシングジェミニ DANCING GEMINI
キャメロットxオーストラリアxアナバァ
エプソムダービーへの血統は申し分ない。父は2012年ダービー優勝馬キャメロット、母父は2014年ダービー優勝馬オーストラリア。さらに、オーストラリアは2001年ダービー優勝馬ガリレオ産駒であり、母は2004年オークス優勝馬ウィジャボードである。血統表の名前からはクラシックレースの最高峰であるダービーは彼にとって最適な舞台と言えるだろう。

しかし、そう単純な話でもなく、ダンシングジェミニは、中距離をこなせそうな雰囲気はない。
むしろ、これまでスピードを見せてきた。
2歳時の2勝はともに7ハロンで (2度目のドンカスターでの勝利は印象的だった)、重い馬場での1マイルとなったフューチュリティトロフィーではスタミナ不足を感じさせた。
ロンシャンで行われた仏2000ギニーで2着は自己最高のパフォーマンスだったが、スローペースのレースであり、スタミナというより瞬発力がものを言ったと言えるだろう。彼にはビッグレースで活躍する素質があるのは間違いないが、名だたる一族からどれだけのスタミナを受け継いでいるかは未知数だ。
キャメロットもオーストラリアも産駒は平坦での好走馬が多い。

ディーラマイル DEIRA MILE
キャメロットxファストネットロックxアルザオ
オーウェン・バローズ調教師とジム・クロウリー騎手は、先週のエプソムでの軽快な動きに手応えを感じています。
昨年の9月下旬、チェルムスフォードで1.5倍の圧倒的有利にされながらも敗れたレースでは彼はやる気がなく、レースを放棄するような走りでした。
その後バローズ厩舎に移籍し、次走フューチュリティではまずまずの4着となり、ウィンザーでの復帰戦で待望の初勝利を飾りました。
ラスト3ハロンは良かったがどうかな。

ユーフォリック EUPHORIC
フランケルxピヴォタルxダルシャーン
200万ポンドのフランケル産駒は、2歳のナヴァンの1マイル戦でゴール直前で差し切り勝ちを収め、今シーズンも2戦で好走を見せています。
前走レパーズタウンでのダービートライアルでは、ロサンゼルスに僅差の2着に敗れましたが、ロサンゼルス同様にこれからさらに良くなることが期待されます。
過去2戦は少頭数のペース戦でしたが逃げていることから、バリードイルのペースメーカー役として使われる可能性もあります。

ゴッズウインドウGOD’S WINDOW
ドゥバウィxナサニエルxシャマルダル
彼 はフューチュリティでエンシエントウィズダムに粘り強く食い下がって3着に入り、今シーズンはノッティンガムでの手頃なレースで楽勝しました。しかし、チェスターでは (ドンカスター同様) スタートで立ち遅れ、続くダンテSでは逃げながらも大きく離されて敗れ、期待を裏切りました。
これらの成績からすると、軽視されがちでしょう。

カンブー KAMBOO
オウタードxガリレオxレインボウクエスト
彼 は好調な厩舎に所属していますが、ダービーへの出走は野心的な挑戦です。
今年はまだレースに出場しておらず、芝での初戦となり、さらに初めての昼のレースとなります。
昨年11月のケンプトンでの初勝利 (1マイル戦) の後、翌月も同じ距離で行われたレースで、その後楽勝している注目馬サルディニアンウォリアー (コラル・エクリプスにもエントリー) を下して勝利し、素質の高さを見せています。
血統的に見てもこの距離はこなせそうなので、能力は秘めていますが、慎重な見方が必要です。
母方には障害もいるが長い距離を走っていた馬もいる。
オールウェザーだがいい走りをしていて穴馬の可能性もある。

ロサンゼルス LOS ANGELES
キャメロットxダンシリxキングマンボ
昨年10月下旬のG1サンクラウドクリテリウムでは接戦を制する粘り強さを見せ、勢いそのままにレパーズタウンのダービートライアルでも勝利を収めました。
しかし、2着以下との差がなくレースレベルは凡庸です。
格下相手との勝利で、実力を発揮していないとも言えます。
ただ、見栄えの良いロサンゼルスにはまだまだ底を見せていないという印象を受けます。
少なくとも、1マイル半への距離延長は向いているでしょう。
ダービートライアルは外3頭目先頭での勝ち。
大型馬でいかにもエプソムの下りでスピードを出せそうな馬。

マックダフ MACDUFF
シーザスターズxベイテッドブレスxゴーンウエスト系xダンシングブレーヴ
キングマンの近親
彼 は好感が持てる上昇気味の馬ですが、上位争いに加わるには大きな飛躍が必要です。
昨シーズンのロイヤルロッジでは4着に粘りましたが、サンダウンでのクラシックトライアルでアラビアンクラウンの2着になった際は、決め手に欠ける走りでした。
アラビアンクラウンは故障でダービーには出走しないのでトライアル最先着馬。
重馬場良さそうな血統。

ミスターハンプステッド MR HAMPSTEAD
ガリレオxスキャットダディ
全姉は去年の英オークス2着セーヴザラストダンス。
不世出の名馬ガリレオは、G1勝ち馬を輩出する記録を99頭で止めていますが、ミスターハンプステッドがその100頭目になる可能性は低そうです。これまで3戦して3敗しており、素質の片鱗は見せているものの、栄誉あるクラシックで初勝利を飾るのは大番狂わせになるでしょう。

パデシャ PADESHA
ウートンバセットxノットナウカトー
2歳時には出走せず、今年2戦してどちらも敗戦。直近の出走はノッティンガムの1マイル2ハロンの未勝利馬限定戦でチャンスがあったものの敗れました。

セイデイティセイデイティ SAYEDATY SADATY
アノーディンxガリレオxゴーンウエスト
彼 は昨シーズンは能力とやる気を同等に示しましたが、今シーズンはより精神的に成長した姿を見せています。ニューカッスルのリステッドレースで上位争いに加わり、ニューマーケットの別のリステッドレースではキャビアハイツに次いで2着となりました。
距離は持つでしょうが、前走のニューマ-ケット2000mで離された2着で必要なレベルには達していません。

テーブルトーク TABLETALK
キャメロットxホーリーローマンエンパイア
オーナーのアブドゥラ・アル・マンソオリ氏は月曜日、このキャメロット産駒を75,000ポンドの追加登録料を払って出走させた。
これはつまり、(a) 彼らが我々が知らない何かを持っているか、または (b) 彼らがどうしてもダービーに出走させたいかのどちらかを示している。

テーブルトークは昨年の12月のケンプトンでの初出走で3着に入った後、前走のチェルムスフォードの1マイル2ハロン戦で勝利を収め、素質の片鱗を見せています。
しかし、能力的には到底足りません (ケンプトンの2着馬はハンデキャップ戦で77の評価で敗れ、チェルムスフォードの3着馬はその後キャタリックで別の敗戦を喫し、0勝6敗となっています)。
オーナーはまた、ダービーにカンブーというもう一頭の低評価馬をエントリーさせています。
血統的にも平坦向き。

ボヤージ VOYAGE
ゴールデンホーンxガリレオ
ニューベリーのデビュー戦で1マイル2ハロンの未勝利馬限定戦を勝って好印象を残し、陣営はトライアルを回避して「夢を追い続ける」ことを選択しました。しかし、ダービーは格上戦であり、先週エプソムで追い切りを消化したとはいえ、経験不足が気がかりです。


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