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東京女子プロレスのベストバウト29選 (2023)

(写真は 東京女子プロレス誕生10周年記念興行~We are TJPW~ | DDTプロレスリング公式サイト より)

東京女子プロレスより、2023年ベストバウトの募集がありました。

「3つ」に絞って選び、さらに「順位をつける」必要もあるとのことで、そんなことできる訳がない! と思いつつ、さきほど投稿してきました。

ただ本当にベストバウトなんて選べないぐらい良い試合ばかりだったので、思いつくままにベストバウトを書き並べていきたいと思います。

前提

筆者は、2月21日の「武藤敬司引退試合 プロレス ”ラスト” LOVE~HOLD OUT~」のダークマッチで東京女子プロレスを知りました。「武藤の最後のプレゼントは、オカダ対清宮ではなく、東京女子だった」というのが個人史です。

過去の試合も配信でふりかえりながら視聴こそしていますが、今回は知ったタイミング以降に絞っています。今年の1.4から、なんなら去年のプリンセスカップぐらいからリアルタイムで観たかった!

なお目次について、PPはプリンセスオブプリンセス選手権試合、IPはインターナショナルプリンセス選手権試合、PTはプリンセスタッグ選手権試合をそれぞれ指しています。

3.18 渡辺未詩 vs 辰巳リカ (IP)

「これから東京女子プロレスを真剣に見よう」と、東女の沼にハマる最初のキッカケになった試合でした。2人が「白昼夢」というタッグチームであることもよく知らない状態に関わらず、です。

未詩選手は東京ドームでの大活躍もあり、いちばん最初に覚えた選手です。一試合観ればその魅力がまっすぐ伝わり、その一挙一投足が「プロレス観てるぞ!」という気分にさせてくれます。

対する辰巳選手は、この試合でその魅力を理解しはじめることになりました。攻めも受け身も彼女らしさが全開で、どのシーンを見直しても何かしら叫んでるのが印象的でした(笑)。メリハリで言ったら「メリ」が限界突破するような辰巳選手の、ドラゴンスリーパーとホワイトドラゴンスリーパーに感激したのを今でも覚えています。

ちなみに、この試合で実況の村田アナにドハマりしたことも大きかった。"開花式"ジャイアントスイングから辰巳選手が身体を起こして首絞めに移行した状況を「花が閉じた!」と表現した瞬間に「いつまでもこの人の実況で観ていたい!」と思いました。 

3.18 坂崎ユカ vs 瑞希 (PP)

坂崎ユカ選手のことも瑞希選手のことも何も知らない状態で視聴した、「GRAND PRINCESS '23」のメインイベント。

そんな状態から12.6卒業興行の3分間のスペシャルシングルマッチを泣きながら観ることになったので、ファンというのはナンパなものですし、それだけ高速でインストールさせてきた今年の東女は凄いと思います。

試合序盤、坂崎選手は瑞希選手への投げ技を中断したり、ギブアップを促していたり、この辛い試合をできるかぎり早く終わらせようとしていました。

しかし途中からギアは変わりバチバチの試合へ。瑞希選手のコーナーポストから場外へのダイビングフットスタンプ、 坂崎選手の重たすぎるエルボーや雪崩式のマジカルメリーゴーランド。そして瑞希選手のキューティースペシャル2連発。ものすごい技の連発でした。

そんな中で、ユカっちの「寂しさ」のようなものは最初から最後まで残っていたように見えました。退場時にベルトを持った選手たちを後ろから優しく眺めている表情は、私が最初に覚えたユカっちの印象的なシーンです。

この試合を観て真っ先に思ったのは「チャンピオンである瑞希選手に対して、坂崎選手がチャレンジャーとして挑むときが本当の勝負になるかもな」ということです。

その光景が訪れることを、訪れる可能性をこれからもずっと妄想しています。

4.15 坂崎ユカ&桐生真弥 vs マックス・ジ・インペイラー&原宿ぽむ

「GRAND PRINCESS '23」が東京女子プロレスにハマるキッカケになったとすれば、これは東京女子プロレスにハマったことを確信した試合です(以降、この表現が続出します)。

マックス選手の正パートナーであるハイディ・ハウイッツァ選手が来日しないため、代わりにマックスが選んだパートナーは原宿ぽむ選手。

2022年の8.13の初対決をふくむマックスとぽむの対決はどれも面白くて、すべての試合は予習済みでした。そのためこの2人がとうとうタッグを組むことはかなり嬉しいサプライズでした。

どんな試合になるのかまったく想像がつかないなか、ぽむ投げ未遂で早速観客の心を掴むと、最後のWasteland War Justiceで3カウントを大声で叫んでいました(会場の声も普段より大きかった気がする)。

この日を境にして、マックス・ジ・インペイラー、そして原宿ぽむという両選手が一気に大好きになりましたし、こんな試合ができる東京女子プロレスをもっと観たいと思わされました。

4.15 瑞希 vs 角田奈穂 (PP)

瑞希選手の防衛戦を振り返るなかでも、とくに好きな一試合です。

ファンになりたての目線では、個性的な選手が集結している東京女子プロレスの中で角田選手はある種「普通」に見えていました。

それがこの試合で一変とまではいかずとも、角田選手の思い切りのよいケンカキックにシビれ、「なにかとんでもないものを持っているぞ」と感じ取った試合でした。

この感覚はこのあと度々引き起こされ、10月のものすごい感動につながります。

あとまったく関係ないですが、5月に台場に行って角田選手を見たけれど緊張で一声もかけられずTシャツだけ買って帰ったのが良い思い出です(笑)。

4.22 坂崎ユカ&瑞稀 vs マックス・ジ・インペイラー (PT)

「ぽむぺいらー」として認知されるようになったマックス・ぽむのタッグが、マジラビの持つプリンセスタッグのベルトにチャレンジした一戦。

タッグ2戦目にして、もう「ぽむぺいらーと言えば!」というようなものが出来上がっていて、入場から退場、バックステージのコメントまでその全てが愛おしい時間です。合わせて、これを受け止められるるマジラビの懐の広さにも感激しました。

終盤のぽむ選手のエルボーの連発。そしてそれをたった1発のエルボーで仕留める坂崎ユカ選手の圧倒的な強さ。とても大好きな決着の展開です。

ちなみにこの翌日の「プレ東京女子プロレス。8」に行かなかったことを今でも後悔しています。かみーゆに扮したぽむちゃんが観れた、というありがたみにこの時点では気づいていませんでした。

5.1 乃蒼ヒカリ vs ソーヤー・レック

3.18はGRAND PRINCESS '23ではなく、プロミネンスの興行を見に行っていました。そのとき観たデスマッチの衝撃と興奮は今でも忘れられません。

そしてその興奮は、東京女子プロレスの提供するものとは一切関係のないものだと決めつけていました。しかし東京女子には乃蒼ヒカリ選手がいた。

無数の蛍光灯へのチョークスラムをヒカリ選手が受けたその瞬間。小さなパソコンの画面を見ながら、瞳孔が最大に開いたのを覚えています。

試合内容もさることながら、こんな試合の感想を「夢を叶えられた」と表現できる乃蒼選手を尊敬します。2024年の1.6は新宿FACEでマーシャ・スラモビッチ選手とデスマッチです。

5.25 第2代ハイパーミサヲオーディション

ハイパーミサヲのプロデュース興行「HYPE!」より。直感で「これは生で観たほうがいい」と思い、発売開始直後に最前席を押さえていましたが、大正解でした。ベスト興行のひとつ。

それぞれのコスチューム、試合展開、どれをとっても楽しかった。いちばん記憶に残っているのは、お互いにスプレー攻撃を仕掛け合うところ。こういうときでも未詩選手(ハイパーミウヲ)の受け身が凄まじかったことを覚えています。記憶ではエイトフォーの匂いがしたような気がしますが、幻想かも。

個人的な思い出としては、この試合ではじめて上福ゆき選手のユーモアな側面を知り、以降気になる選手になっていきました。これも8月や10月につながっていきます。

5.25 中島翔子 vs ヨシヒコ

中島選手の凄さや魅力を正しく認識したのはこの試合だと思います。そしてヨシヒコ選手を生で観たのもこの試合が最初でした。

無粋ですがシンプルに試合が成立していること自体が凄いですし、中島選手の芸術を観た気がします。

何度見返しても面白い試合ですし、何度見返してもヨシヒコを応援してしまう(笑)。中島選手の「上手さ」の側面を知った日です。

5.25 辰巳リカ&遠藤有栖 vs 愛野ユキ&桐生真弥

「GRAND PRINCESS '23」が東京女子プロレスにハマるキッカケになったとすれば(後略)

まひろ選手は個人的にとても不思議な存在で、実はいちばん「泣かされている」レスラーの一人です。重要な試合やここぞというときのまひろ選手はいつもと違ったオーラが出ていて、そのときのエルボーを観ると毎度心を動かされてしまいます。

そしてそんなまひろ選手を主役に立てたうえで、横には愛野ユキ選手、対角には辰巳リカ選手と遠藤有栖選手。すっかりハイパーミサヲ選手の頭の中に連れていかれ、声が枯れるまで声援を出し続けていました。

ちなみにそれぞれのキャラ変は、この興行だけで終わらせるには惜しすぎるぐらい似合っていたことも付け足したいです。とくにヒールターンしか世界線の有栖選手の入場。サムズアップがサムズダウンに変わる瞬間が本当に好きで、自身の魅力をよく理解している選手なのだなと感じました。いつかの「プレ東京女子プロレス」で再演してほしい!

6.11 瑞希 vs 辰巳リカ&渡辺未詩

坂崎ユカ選手の卒業発表、そして怪我による欠業が発表されたあとのハンディキャップマッチ。その状況でも意地でもこの試合をやり遂げる瑞希選手に心打たれました。

この試合では辰巳選手の魅力をさらに知ることとなります。辰巳選手は観れば観ただけ気になっていく選手で、いつでも私の想像や期待を上回ったり裏切っていくところがとにかく好きです。

坂崎選手のセコンドワークふくめ、これも忘れない試合になったと思います。

7.8 上福ゆき&VENY(朱崇花) vs 水波綾&角田奈穂

上福ゆき選手=かみーゆが気になりはじめてから、意識して観た初めての試合。後にも先にも、水波選手=アニキの入場を邪魔して、あんなにおちゃらけてるのはかみーゆしかいません。

冷静に観ればビッグマッチの第三試合。しかしこの試合で角田選手が上福選手に紫電改を決めて勝ったことは、後の最高の展開へ繋がっていきました。

東京女子所属ではないVENYとアニキのマッチアップもかなり豪華。ラリアットで豪快に吹っ飛んだVENY選手は、いま見直してもヒヤヒヤするレベル。べにーゆのマジックキラーを来年も観れたら嬉しいなと思います。

7.17 上福ゆき vs 角田奈穂

「GRAND PRINCESS '23」が(後略)

両国KFCのセミファイナルのプリンセスカップ1回戦。ビッグマッチのメインイベントでもないこの試合が、今でもときおり見返すぐらい好きです。

角田選手のビンタから始まり互いに躊躇なく顔面を蹴り合う、あまり東京女子プロレスらしくはない試合展開。画面上で観ても珍しいヒリつきを感じました。「仲が悪い」というよりも「この相手とならバチバチにやりあえる」みたいな信頼感のようなものです。

結果は上福選手が勝利し、この試合をキッカケに「強いかみーゆ」を知りファンになり、その対角にいる角田選手のことも大好きになりました。

ちなみにこれを書いている最中に、2人がインターナショナルプリンセス選手権試合を過去やっていたことを知って観ました。そのときはかみーゆが先制で張り手を喰らわしていたんですね、エモい。東京女子のドリームタッグはこの2人かもしれないです。

7.29 上福ゆき vs 渡辺未詩

プリンセスカップ2回戦。客観的な目線を抜きにすれば、これが個人的な今年のベストバウトのひとつであることは間違いありません。というか衝動的にnoteを書いてました。

未詩選手の芯のある強さに対して、村田アナの実況通り、上福選手はリング外ふくめ「上福ゆき」を総動員して相対しました。未詩選手が強ければ強いほど、かみーゆも呼応して輝き、プロレスの美しい形を見た気がします。

試合決着のゴングが鳴ったあとにリングを3度叩いたかみーゆの姿が本当に印象的。この試合が彼女のファンティア入会を決定づけました(笑)。

8.13 山下実優 vs 上福ゆき (プリンセスカップ決勝戦)

2回戦を突破したかみーゆは、その勢いで準決勝で辰巳リカ選手を破り、迎えた山下選手との決勝戦。

善戦ではなく優勝を見据えて応援したくなる試合でしたが、やはり山下選手の壁は厚く、彼女がエースであることをはじめて心の底から理解した試合でした。

この試合が2024年以降の線につながる点であることを期待しています。

8.17 山下美優 vs 中島翔子

中島選手、山下選手の10周年記念のスペシャルシングルマッチ。新木場1stRINGに実際に観に行き、しかも正面の最前席だったのでよく覚えています。

中島選手は、8.13のDDT赤井沙希選手のデビュー10周年記念6人タッグ試合でも素晴らしく、彼女が「誰かに立ち向かっていく」ときの試合がとにかく好きなんだなと気付きました。

プリンセスカップ優勝者になった山下選手に対峙する中島選手の動きは素晴らしく、初めてトペ・スイシーダがこちらに向かって飛んできた驚きもあいまって、自身のなかの名勝負の一つになりました。

山下選手の強さに対する認識もさらに更新されました。ちなみにこのときはまだ、山下選手の可愛さや人間性をちゃんと理解しておらず、年末にかけてじっくりと理解することになりました。

8.26 瑞希&HIMAWARI vs 中島翔子&原宿ぽむ

「なんで遠征して見に行かなかったんだろう」と今でも後悔する興行で、その中でも絵面として大好きな試合。前面にあるフィギュアの権利関係をクリアして、この写真をなんとか販売してほしいと切に願います。

プロレスにおいて「受け(身)が上手い」という表現がありますが、正直あまり分からずに見ていました。

しかし私の理解の正誤はともかく、ぽむ選手を見てはじめて「受けが上手い」という気持ちになりました。私にとっての「受けが上手い」の基準は「やられてる選手を愛おしく感じるかどうか」で、その観点でぽむ選手は計測値を振り切れるほどの愛らしさがあります。

いちばん推しの選手にも関わらず、ぽむ選手が出てくると「今日はどんなふうにやられるんだろう」と楽しみになってしまいます(もちろん勝利を毎試合願っています)。そんな気持ちにさせられたレスラーは彼女が初めてで、ゆえに試合の大小ともかく楽しみに観れるレスラーがぽむちゃんです。

いま見直しても「マンガか!」って言いたくなるぐらい、気持ちの良い受け。

9.23 沙希様&メイ・サン=ミッシェル vs 渡辺未詩&鈴木志乃

「東京女子の名勝負製造機」とでも呼びたくなるほど未詩選手の試合はどれも好きですが、メイ・サン=ミッシェルと絡んだこの試合もたまらなく好きです。

未詩選手も個人的には「(とても強いのに)やられっぷりの良い」タイプだと思っていて、トレイを落とされたときの表情や、レーザービームをトレイで滑らされるところなど、あんなに強くて可愛くてカッコいいのにやられるときは徹底的にやられていて「ああ今日もプロレスを観たのだな」と感じます。

思い返せば東京女子ではじめて震えたシーンは、未詩選手のショルダータックル。ではなく、タックルを決めたあとのガニ股とその表情でした。あの顔を見て帰らないと東京女子を見たとは言えないかもしれません。

9.23 瑞希&辰巳リカ&乃蒼ヒカリ&角田奈穂 vs 山下実優&伊藤麻希&上福ゆき&桐生真弥

この試合にかぎらず、10.9のプリンセスタッグ王座決定戦に進出する2チームを決めるまでの前哨戦の一連(TJPW CITY CIRCUIT '23)は、本当に面白かった。今年のタッグ戦線は神がかっていた、というのが個人的な感想です。

プリプリそしてプリンセスタッグの前哨戦になったこの試合ですが、東京女子のやる多人数のタッグマッチはいつも面白く、それはただ「それぞれが順番に戦っている」のではなく、選手たちが有機的にからみあい、なんなら味方同士でも一悶着あるようなところがたまらなく好きです。

そしてそんな試合の中でも、ふりーwifiと東洋盟友のマッチアップは息が止まるような瞬間があり、明るさとシリアスさの絶妙なバランスを保った試合でした。

個人的には東洋盟友を贔屓目に応援しながらも、そんなファン心理でも否定できないほどに角田選手のオーラが輝き出していたことも覚えています。

10.9 風城ハル vs 大久保琉那

東京女子にガッツリのめり込んだ状況で観に行ったはじめてのビッグマッチであるWRESTLE PRINCESS Ⅳ。

「これはベスト興行だぞ!」とホクホクしながら帰りましたが、その理由は第1試合がこの2人だったからです。

とにかく、この試合の大久保琉那選手の気迫は凄まじかった。ひとつひとつのシンプルな技がとてつもない破壊力を持っているように見えましたし、まるで自分が食らったかのように感じるぐらいの力強いエルボーでした。

琉那選手の魅力は「身体中から自信がみなぎっている」ところだと思っていて、この時点では未勝利なのにそんな選手にはまったく見えないところにどうしても目を奪われてしまいました。

2024年の1.4でいったん欠場することになりますが、どうかこの自信をさらに倍増させてリングに復帰してくれたらなと思います。

10.9 水波綾&愛野ユキ vs 渡辺未詩&荒井優希

上述の試合、そしてひとつ前の上原わかな選手とアジャコング選手のマッチアップにテンションがどんどん上がってきた状態で、アニキの投入はこの興行に完全に火をつけました。

試合が進めば進むほどボルテージは上がり、選手が自分の101%, 102%, 103%……とパフォーマンスのレベルをどんどん上げていくのが手に取るようにわかるような試合でした。

そしてそのキッカケが荒井選手であることにシビれました。真っ向からアニキのチョップを受け止めた荒井選手は、この興行の印象的なシーンのひとつです。

おそらくこの試合は未詩選手がパワースラムをはじめて披露したはずで、その技の美しさも印象的でした。

10.9 上福ゆき&桐生真弥 vs 角田奈穂&乃蒼ヒカリ (PT)

「GRAND(後略)

会場で涙を流し、自宅で実況解説を聞きながら涙を流し、もう何度目か忘れたがいま見直しても同じレベルで感動できる、本当に素敵な試合。開始から終了まで一瞬も目を離せない展開でした。

「本日は、ふりーwifiを切断してしまいます。大変申し訳ございませんでした」という、通常はコミカルであるはずのまひろ選手の謝罪の内容や言い淀み方、そしてそれを許さないとばかりに髪を掴んで放り捨てた角田選手の表情。この試合がもつ意味をひしひしと感じながら、息を呑む攻防がひたすらに続きます。とにかく全てが名シーン。

その中でも、HYPE!でもそうでしたが、こういうときのまひろ選手が好きで、角田選手の背面へエルボーを連発するところで一度目の涙腺崩壊が訪れます。

そしてフォローに入るかみーゆの裏フェイマサーと乃蒼ヒカリ選手のブリザード・スープレックスでツーカウント。

最後、角田選手が紫電改を決め、彼女がスリーカウントを聞いたところで、こちらのもスリーカウント。たった半年とはいえ「見続けてよかったな」と率直に感じる瞬間でした。

この記事を書いている段階で「いま一番輝いているのは?」という質問があったら、まちがいなく角田選手だと答えます。「無冠の女王」がベルトを獲ったあとの爆発はこれほどまでなのか。真拳空勝との防衛戦が決まった記者会見で、ベルトを持ちながら笑顔でいる角田選手は本当に眩しかった。

10.9 辰巳リカ vs マックス・ジ・インペイラー (IP)

「狂 vs 恐」の試合は、2人の魅力が存分に出た試合で、なかでも辰巳リカ選手の底の見えない魅力を知った日でした。

辰巳選手はとくべつ技のレパートリーが多い訳ではないと思いますが、この試合を見ていると「まだその攻撃が残ってたか!」と思わされ、どんどん試合にのめり込んでいく感じがあります。たとえばツイスト・オブ・フェイトはその代表格で、ちょうど自分が忘れた頃に出てくる技の印象です。

そして外敵であると知りつつ、もうこの時点でマックス選手を優先して応援している自分がいました。マックスを応援していたということは、それだけマックスが追い込まれていたことの証左でもあります。会場の特徴的なライティングふくめ、とても素敵な一戦でした。

11.3 赤井沙希&上福ゆき vs 辰巳リカ&ハイパーミサヲ

赤井沙希選手のTJPWラスト参戦マッチ。かみーゆが赤井選手と組むところや、「引退」に関してまた辰巳選手が関わってくるところに感動を覚えつつ、やはり最後のミサヲ選手のヴァニタスが忘れられません(この半年間で操についても少し観ておいてよかった……)。

最後の23人掛けも最高の瞬間。リングを取り囲む東京女子の面々の中で赤井選手と上福選手が向かい合った瞬間は、とても美しい光景でした。

昼のDDTの興行で平田一喜選手が手紙を読んだことを利用した、何も書いてない手紙を使った丸め込み(タモリレター式スクールボーイとでも呼ぼうか?)を最後に用意したミサヲ選手と、最後のマイクにも感動。

ミサヲ選手は「ヒーロー」というキャラクターが一枚載っているのに、あるいはだからこそか、内面が一気に溢れ出てくるときの魅力がすごくて、そのときの興行や試合はどれも「楽しかった」という説明だけでは足りなくなります。

11.19 坂崎ユカ&瑞希 vs 辰巳リカ&渡辺未詩

6.11に予定されていたプリンセスタッグ選手権試合のやり直し。ベルトこそ賭けませんでしたが、東京女子のタッグの最高峰の戦いを観ました。

20分があっという間で、拮抗したまま決着がつかないのも納得です。この時点ではすでに21年1.4の坂崎vs辰巳や前年度のプリンセスカップの坂崎vs渡辺、22年の両国のマジラビvs白昼夢を観ていたので、新規ファンながら両選手とユカっちのマッチアップは感動するものがありました。

試合後の一礼が印象的。いつか絶対に、この試合がまた組まれることを想像しながら、ときおり見返すと思います。

11.23 スーパー・ササダンゴ・マシン vs 今成夢人 vs アントーニオ本多 vs 今林久弥

「東京女子プロレスで感動させてよ’23」より。個人的な今年のベスト興行のひとつで興行全体として素晴らしかったのですが、この試合はとくに感動的でした。

何が良かったかを説明的に書くのは無粋な気がするので代わりに本当に個人的な感動を書きたいのですが、この試合ではじめてリングを叩く経験をさせてもらい、しかもそれをぽむ選手の隣でやれたことが一生の思い出になりました。

リング上で記念写真まで撮らせてもらったのもファンとしては本当に感動で「リングってこんな感じなんだ」とか「あそこが花火で燃えた現場か」とか、実際に観戦したからこそ得られる感動でいっぱいでした。

12.1 HIMAWARI vs 上原わかな

23年デビュー組の6人による「ねくじぇね」トーナメントの決勝戦。

12.1は素晴らしい興行で、自分が今年ハマったことが正解であることの答え合わせのような試合が続きました。そして、すべての試合が面白くなったのは、この試合が熱気を上げてくれたからだと感じています。

負けこそしましたがこの日のHIMAWARI選手のプロレスはとても印象的で、ややもすれば「今年デビューなのに上手い」みたいな印象が先行するHIMAWARI選手の、内なるガムシャラさが前面に出ていたことが感動的でした。

スリーパーホールドにギブアップしたあとのHIMAWARI選手の表情には可愛さはありませんでした。2024年ももっとその表情を見たいですし、それが綻ぶところも見たいです。

12.1 角田奈穂&乃蒼ヒカリ vs マックス・ジ・インペイラー&原宿ぽむ (PT)

とても楽しみにしていたタッグ選手権。まずマックス選手が東京女子に完全にフィットした気がして、ものすごい嬉しかったです。

ベルトが取れるように声を枯らすほどぽむぺいらーを応援しましたが、願いは叶わず、むしろヒカリ選手の強さを存分に味わった試合でした。

マックスに散々放り投げられた序盤から打って変わって、トラースキックからまさかのブリザードスープレックスを決めたヒカリ選手。あのシーンはシンプルに見た目のインパクトが強くて、何度みても初見のような驚きを覚えます。

現時点でふりーwifiは本当に隙のない、最強のタッグです。この黄金期を崩すタッグは果たしているのか。1.4のでじもん戦も本当に楽しみです。

12.1 10周年記念スペシャル10人タッグマッチ

散々迷って投票には含めないことにしましたが、それでもやはりこれは文句なく今年のベストバウトでした。

1人ずつ入場しつつリング上に10人が揃った段階で盛り上がりはほぼ最高潮に達していたのに、終わってみればその「最高潮」はまだまだかわいいレベルでした。それぐらい右肩上がりに熱気が上がっていく試合で、いま見直しても異常なレベルだと思います。

それだけの強度の試合ができたのは初期メンたちがいたからなのは間違いありません。しかし試合の熱気を一段階さらに一段階と押し上げたのは、これからの東京女子の未来を担うメンバーたちでした。この試合を観て「今後の東京女子も絶対に観よう」と誓いました。

なかでも有栖選手が中島選手から1本目をとった瞬間の会場のどよめきと盛り上がりは本当に凄かった。そしてその負けをキッカケに、ギアがフルに入った中島選手の怖さも良かった。

最も印象的なシーンを作ったのは宮本もか選手でした。マジカルメリーゴーラウンドで破れてしまった直後の3本目。坂崎選手へゼロ戦キックからの鴻臚館は、この試合のピークです。

……いや。そのあと試合終盤の未詩選手を助ける鈴芽選手のミカヅキ流星群も良かったけどな。荒井選手のFinallyをかわされた瞬間の新人賞も凄かったし、2本目のサブミッションのオンパレードこそ最高かも。やっぱり未詩選手のバッティングハンマー連発でしょ。

というように、シークバーをどこに合わせても「ここの〜が最高だった!」と言える、今後何度でも見返すことになる試合だと思います。

12.6 坂崎ユカ vs 中島翔子 vs 山下美優

辰巳選手と組んで戦ったアントーニオ本多&トランザム★ヒロシ戦。標題の3WAYのあとに突如行った瑞希選手との3分間のスペシャルシングルマッチ。

それらもまとめて、この興行は感動的でした。

基本的にはこの試合で卒業するユカっちをずっと観ていましたが、それを見送る中島選手と山下選手の動きも同じくらい見惚れてしましました。

とくに山下選手が坂崎選手を蹴り倒すところで、それまで「ユカっち」とだけ応援していたにも関わらず無意識に「山下!」と叫んでいました。あの気持ちはなんだったんだろう。

思い返せば、11.23で前説を担当した中島選手、ジンギスカンを踊った山下選手。12.1でタッチ後も仲間に声援を送る中島選手、最後の声出しを任される山下選手。8.17の試合後の2人の会話。そしてこの12.6。

この数ヶ月は、坂崎選手を見送るだけでなく、中島選手と山下選手の人間性や愛らしいところを存分に知る期間でもありました。

まとめ

深夜帯の勢いにまかせて、思いつくものをザーッと書いてみました。

振り返りながら、心の底から「ギリギリ間に合ってよかった」という思いが本当に強いです(もし武藤敬司の引退興行を観ていなければ、きっとまだ東京女子のことを気にかけずにプロレス観戦を続けていたはずで、さらにはDDTも知らないまま、高橋ヒロム対平田一喜が最初のDDT観戦になったかもしれない。それはそれで衝撃的だったでしょうが・笑)。

今年は東京女子に出会えただけで十分お釣りの返ってくる年でした(文字的にはお釣りは返ってこないどころか、自身の年間の予算配分が狂いました)。

過去の東京女子も観たうえで今年を味わいたい気持ちも当然ありますが、むしろ今の東京女子だからこそすんなりとハマることができたのだろうなとも感じますし、自分にとってはこれがベストなタイミングだったのだと言い聞かせています。

東京女子の魅力は言語化が難しく、無理やりにでも言えば「東京女子プロレスだから好き」というトートロジーになってしまいます。

そして、個人的にはそれでよいと思っています。来年もこの魔法がかかったまま「東京女子だから好き」と言えるようでありたい。もしこれがユカっちの残した魔法であれば解けることもないでしょう。

この記事を投稿した数日後にはもうイッテンヨンです。来年もベストバウトだらけの観戦記録になりますように!



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