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非・繁盛店への視察が全力でおすすめなわけ

飲食店経営者向けの書籍などを読んでいると、よく「繁盛店を視察しよう」なんてことが書いてあります。

もちろんそれもいいんですが、私はあえて、繁盛していないお店の視察に行くことを全力でお勧めしたいのです。



なぜ非・繁盛店へ視察へ行くことがお勧めなのか

繁盛しているお店にはそれなりの理由があります。

ですので実際に足を運んでみると勉強になることは多いものです。メニュー、盛り付け、スタッフ育成etc...自分の店にはない魅力をたくさん吸収することができます。


ただ一方で、参考にはなるものの、そっくりそのまま自分の店で実践するのは難しい場合も多々あります。

立地や資金力、業態、ブランド力など、そもそもの土台が違ったりするからです。

成功の法則って店によって違いますし、しかも複合的なもの(立地×業態とか)なので「繁盛店のコレを真似したら絶対に成功する!」なんて単純な話ではないんですよね。


そういうこともあってか、繁盛店への視察に行くと「見て納得して終わり」になってしまうこともままあるんです。

たとえば、

「なんでも機械化の時代に丁寧な仕事してるんだなぁ。そりゃ美味しいし、繁盛するはずだわ!」

と思っても、自分にそんな技術がなければマネすることはできません。

だから「そういうお店もあるのね。了解!うちはうちで頑張る!」みたいな感じで終わってしまうのです。


これ実は、私たち夫婦が他店に行くとよくある話で。

参考にはなるし、へぇ〜すごい!って思うのですが、なにせ諸々の条件が違いすぎてなかなか取り入れるのが難しいんです。

だから結局、美味しい食事をいただいて満足するだけになってしまうんですよね。納得するだけで終わってしまう。


じゃあこれが非・繁盛店だとどうなるかというと、閑古鳥が泣いている店を前に、自分ならどう改善するだろうか?という目線で見れるのですごく頭を使うのです。

たとえば、味は悪くないのに閑散とした店があるとして、その原因が無愛想な店主の態度と見たとします。

そうしたら、果たして改善すべきは店主の態度なのか、はたまた愛想の良いスタッフを雇うことなのか、接客をあきらめてフードデリバリーに力を入れるのか、自分ごとに置き換えて考えられるのは良い勉強です。

そしてそれが案外、自分たちの店の課題となぜかそっくりだったりします。

人間、自分自身のことはよくわからなくても、他者のことは俯瞰してみれるものなんですよね。

他店の課題がブーメランのように自分のところへ戻ってくるのは、なんとも面白いものです。



改善策は見つからなくてもいい

目の前のこのお店、一体どう改善すれば繁盛するのだろうか。

そう考えてはみても、なかなか良い正解にたどりつかないことがあるかもしれません。でもそれでもいいと思っています。

なぜそのお店が繁盛していないのかを分析することで、少なくともやってはいけないことだけはわかるからです。

先の例でいうと、対策まで答えを出せなくても「接客スタッフの愛想が悪い店は繁盛しない」という教訓だけは記憶にしっかり残ります。

このさき自分たちは、絶対にそれだけは避ければいいのです。


人って通常、こうなりたい!よりも、こうはなりたくない!という気持ちのほうが強く働きます。

すなわち、あの店のように繁盛させたい!という気持ちより、(失礼ながら)あんな暇な店にはなりたくないなぁという気持ちの方が、より自分を成長させるんじゃないかと思うんですよね。

そう考えると、視察で学びが多いのは、繁盛店よりも非・繁盛店なんじゃないかなぁと私は思うのです。

行くのにあまり気が進まないかもしれませんが、ぜひいちど足を運んでみてください。経営脳を鍛えるのにお勧めです。



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小保下 グミ
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