動機のある推論を制御するための「マッピング思考」
本書の考え方の起点
人は「動機のある推論」をもとに言論・行動をしている
=バイアスにかかっている
■なぜ「マッピング思考」が重要なのか
□結論
自分の思い通りにいかないことも、学習する機会やヒントが増えた世界になった。
□理由
・合理的な非合理性を回避できる
・「ほんとに大丈夫?」という観点を持つことで地図の修正(=目的)を行い、正しく未来を判断しなければならなくなった。
・人は守りの思考(自尊心、既属意識、周りからの見られ方など)によって心が落ち着くことによって、問題解決から目を背ける(目先の利益>未来の損失)
□具体例
マッピング思考とは、
視点の違う考え方を持ち、物事を観察すること
・ほんとに正しいの?
・他のやり方はないのか?
・懸念はないか?
上記を踏まえて、意見を修正していくこと
偵察者の視点で、一度持った意見(地図)を、真実と疑念をもとに地図を加筆修正していくこと
■「思考の地図」を検証し、行動する
□結論
具体的に実際に起こり得る可能性がどのくらいなのかを具体的に数値にすることで、何が不足しているのか。何をしたら可能になるのかを検証し行動する
□理由
・人はあいまいな生き物
・主張したいことと事実が違うことがある
□具体例
▼知性が高まるほど意見は二極化していく(学歴、IQ)
→自分の意見が正しいというバイアスが意見を固執させる
意見の正しさを証明するには「行動」が必須
マッピン思考ができている人のものさし
「相手の方が正しい」ときはそれらを伝えられる
批判を素直にうけ止められる(批判が出やすい質問の仕方をする)自分の間違いを証明できる(証明する行動をとる)
情報が偏らないための工夫をしている(意見を伝える前に、起きてしまった事実を伝えてから意見をもらう)
「正当な批判」を受け止められる(批判の中にも目を向けて、論点がずれてしまった箇所は何かを考え、相手に伝える)
▼思考を発展させるために行う、思考実験
→鋭い視点を持つために必要な思考法、またはメタトレーニング
思考実験で重要なこと
「動機」が変われば考えが変わる。ということ
=自分の直近的な判断は、「自分に都合よく作られた偶然の産物」であり、探索の始点になっても、終着点ではない。
▼「最適解」をさらに一歩引いてみる
確信度の高さ=未来への信ぴょう性の評価に繋がる
ex)
Q.1ヶ月以内で、目標達成はできるの?
A.絶対にできます。or 難しい…
「絶対〇〇できる」や「△△は難しい」といった判断は抽象的かつ、複雑な計算をせずに伝えられるで、コミュニケーションのなかで使われがち。
しかし、「絶対できる」と言ってできなかったら、評価が下がる。
「難しい…」と言ってしまったら信頼を損なうかもしれない。
だからこそ、自分の中の確信度を数値化して、適切に伝えることが大切。
確信度を推し量る方法「等価ベッドテスト」
→自分の意見に対して、反論に多数の意見が集まったら罰金を払うという賭けに応じるのか
回答ー応じる、悩みながら応じる、考え込む
=回答の種類によって、なぜすぐに応じれなかったのか、落ち度はなに?躊躇してしまったことはなに?を具体的にできる
ex)
完全自動自動車が1年後に発表された100ドルもらう
VS
①1/4であたりのあるボールを引いたら100ドルもらう
└引く
②1/16であたりのあるボールを引いたら100ドルもらう
└引かない
③1/9であたりのあるボールを引いたら100ドルもらう
└悩む
つまり、1年後に完全自動自動車の発表がある確信度は、1/9だと感じていることがわかる
確信度の精度の高さは自分の中の
・広報担当(=どう見せるのか)
・取締役会(=真実に基づいて賭けにでる)
真実による賭けに出れない場合は、「なぜ出れない?」「懸念は何?」を考え打開策を講じるきっけになる。
そのことによって精度を高めることができる
■ピンチで問われる「資質」
□結論
物事の見方・捉え方を変えて選択肢を広げる方法を探せだせることが「資質」である
成功を信じなくても、目的を達成する方法はいくらでもあるということ
□理由
取り組むプロジェクトが絶対にうまくいくことを保証するのではなく、期待値やその後の価値に賭ける戦略を組む。
一時の感情ではなく、賭けてもいいのかを推し量る方法を身につける
□具体例
「根拠のない自信」ではなく、「失敗する確率」とうまくいく場合とうまくいない場合の期待値を計算し「賭ける」
確率計算することで、チャレンジ前に失敗の許容量を決められる
=大胆にプロジェクトに取り組める
しかし、「確率」ばかり考えたら何もできないのは確か。よって以下2点で判断する
・「期待値」はどれくらい?
・「価値」はどれくらい?(具体的になにがある?)
ex)
マスクのテスラとスペースXの場合
成功の確率は1割
└人類が直面している大きな課題を解決できる(持続可能性、宇宙旅行)
失敗する確率9割
└投資したお金を失うが、破産しない。重要な社会問題を少しでも前にすすめることができる=他の人に託すことも可能。(少しでもボールが前に進む)
▼謙虚さが強烈な影響力を持つ
自信の2種類
・知識に対する自信(何が事実かをどれだけ確信していること)
・対人関係に対する自信(自己肯定感の強さ)
信頼を築くためのルール
・「確実なことが言えない理由」を伝える
└インターネット黎明期に上位5社を言い当てられるひとがいただろうか?(=非現実的なことを伝えることで説得力が増す)
・根拠となる数字を示す
└情報に基づいた見積もりを出し、その数字を導いた方法を詳しく示す
・手厚くフォローする
└未来の約束を結ぶ(一緒に〇〇していきましょう。最後まで〇〇しましょうなど)
■「頭のなか」をアップデートする
□結論
・対立の意見の否定ではなく、成功した要素は何かを解き明かす
・不合理なことの中に合理性が隠れている
□理由
・不合理な成功を考えることで、新しい視点が手に入る
・クレイジーな状況こそ視点をアップデートできる
□具体例
▼「漏れ」「欠け」「穴」の見極め方
予測に反したことが起きたときに必要なことは、「予測に足りなかったものは?」「なぜその行動にでた?」を真剣に考えること
=自分のフィルター以外の見方を研究する
訓練方法は、クレイジーな状況に出くわしたときに思考する。
相手はなぜ、こんな行動をとった?意図は何?
ex)
コレラ流行期
ホメオパシー病院の致死率「18%」(通常の病院は「30%強」)
コレラの評議会は「ホメオパシー病院」をデータ算出から除外した。
霊力に頼る方法だったから、科学や医学の否定になってしまう
ただ、ホメオパシー病院の致死率が低いのには別の要因があった。
しかし、データ算出から除外してしまったためコレラ治療の推進が遅くなってしまった。
上記のように人は「異端や異能を感じる」と2つの思考になる
・①自分の方が正しい
・②目の前の不合理の何かが正しい
多く人は①を考える、しかし②を考えることで自分のフィルター以外の方法から現象を見渡すことができる。
SF作家のアイザック・アシモフは
「科学の世界で、新しい発見を告げるもっともエキサイティングな言葉は”ユリイカ(=わかった)”ではなく”何かがおかしい…”だ!」
■私の意見を軽くしておく
□結論
思考のアイデンティティ化により、クリアな思考が損なわれてしまうから
□理由
・多面的に評価できなくなる
・反するアイデンティティを受け入れられず、思考がアップデートできない
□具体例
▼「こだわり」を捨て「視点」をしなやかに保つ
思考のアイデンティティ化は、偏ったフィルターをかけてしまうことになる。
└問題点は、「クリアに思考する」力が損なわれてしまうこと
「思考がアイデンティティになるとき」
①「敵に囲まれている」という感覚が、人をかたくなにする
└対立しようとする意思が思考をアイデンティティ化させる
②その考えが「ある種のプライド」として固まっている
└ex)暗号資産に対する考え
思考→大金を手に入れる+お金の概念を変え世界を変える
プライド→国家や銀行といった中央集権的支配から人類を開放するための戦いに参加すること
「思考がアイデンティティ化しているサイン」
①「私は〇〇だと信じている」と言う
②批判されるとムッとする
③挑発的な言葉を使う
④「絶対に私が正しい」という口調で話す
⑤「門番」のような視点を持つ
└〇〇がないのに名乗ってはいけない。のように境目を決めたがる
⑥他人の不幸を喜ぶ
└対立のアイデンティティが批判されているときに喜びを感じる