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保育士実技試験 「造形」一発合格ための押さえるポイントとは?合格の基準を解説(2023令和5年後期加筆)

保育士試験の「造形」において、合格基準は明らかにはされていません。絵というものの特性からしても明確な基準など設けようがないようにも思われます。しかし、しろうずは合格・不合格を分けるポイントは確実にあると思っています。どんな絵であれば合格でき、どんな絵を描くと不合格になってしまうのでしょうか?

*こちらの記事では、他の講師の先生と言ってることが違うかもしれません。あくまでもしろうず独自の見解であることをはじめにお断りしておきます。

*動画のリンクもつけています。ただしじっくり見ると結構時間がかかってしまうので、時間がない方はさっと見るだけにとどめてください。

本記事はプロモーションを含みます。


「造形」試験の分析

造形の実技試験の合格点は他の科目と同様、50点満点の6割以上、つまり30点以上です。では具体的に合格するにはどのような技術が求められているのでしょうか?

令和4年度後期の保育士試験の受験の手引きには「保育の状況をイメージした造形表現(情景・人物の描写色使いなど)ができること」が求められる力だと記載されています。つまり、これらができることが合格の条件です。ただ、ざっくり過ぎて分かりにくいですよね?
実際の試験問題を見ながら、細かく分析してみましょう。

試験問題の【事例】と「条件」の意味


具体例として、直近の令和4年前期の試験問題を挙げます。

【事例】を読み、次の四つの条件をすべて満たして、解答用紙の枠内にその情景を描きなさい。

【事例】
M保育所の3歳児クラスの子供たちが、保育士と一緒に園庭でフィンガー・ペインティングをしています。 机に広げられた紙の上で、絵の具の感触を確かめたり、大きく腕を動かしたりして、楽しく書いています。
<条件>
1.フィンガー・ペインティングで楽しく遊んでいる様子を描くこと。
2.園庭での準備の様子が分かるように表現すること。
3.こども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
4.枠内全体を色鉛筆で着彩すること。

まず冒頭部分に「【事例】を読み、次の四つの条件をすべて満たして、解答用紙の枠内にその情景を描きなさい。」とあります。つまり、満たすべきは、「四つの条件」であり、事例の内容ではない、という意味に取れます。
【事例】は受験生が保育の情景をイメージしやすくするための文章だとしろうずは考えます。そして「四つの条件」は、保育の状況をある程度イメージした上での、情景と人物の描写及び色使いを表現するための具体的な指示と解釈できます。

つまり、条件さえ満たしていれば合格できるのが造形試験なのです。
それではどのように条件を満たしていけばいいのでしょうか?1つづつみていきます。


条件1.「〜している様子を描くこと」=何をしているか、分かる絵が描けている

「〜している様子を描くこと」と試験問題にあるように、何をしている様子なのかが分かる絵を描くことが求められています。パッと見、何をしているか分からない絵はそれだけで不合格となり得ます。不合格作品に見られる共通項です。なので必ず、何をしている様子なのかがはっきり分かるように描く必要があります。

何をしている様子なのかが分かるためには、
人物がある程度以上の大きさに描いてあること
人物の動作が描けていること
その動作に必要な物品類がきちんと描けていること
の3つが押さえられている必要があります。物品類とは具体的には、フィンガーペイントなら紙と絵の具が必要ですし、粘土遊びなら粘土や粘土板などが必要ですよね。

「ある程度以上大きさ」ってどのくらいって人はこちらの動画をご覧ください。
子どもがおよそ「画面の半分くらい」になるくらいの大きさで描けばいいと伝えています。構図についても参考になると思います。

人物の動作、人物の描き方については後の3で説明します。


条件2.「〜での準備の様子が分かる」=場所(季節)が分かるように描けている

最近の造形試験では、必ず場所の指定があります。園庭か保育室のいずれかが最も多いです。ただし過去には「ホール」や「ふれあい動物園」などもありました。指定の場所を描きましょう。

また過去には、季節の指定が出たこともあります。春夏秋冬もある程度書き分けができるといいでしょう。春は花、夏はひまわりや入道雲、秋は赤い葉っぱや落ち葉、冬は雪などで描き分ければ表現できます。

背景については、こちらの動画を参考に自分なりに描いてみてください。


条件3.「こども●名」「保育士●名」以上=大人子どもの書き分け・人数+人間らしく描けている

最近の試験では、保育士1名と子どもが3名の出題になってきています。人数を守ることと、大人を大人らしく、子どもは子どもらしく描き分けてください、ということです。
保育士さんにはエプロンを着せましょう。一発で保育士と解ります。
子どもの●歳児は描き分けができなくても構いません。子どもとわかれば良いです。できるに越した事はありませんが、条件に入っていない以上、必須事項ではありません。子どもらしく描くには、3〜4頭身くらいで描くといいですよ。

人物を描くのは、描いた経験がない人にとっては非常に難しい事ですが、これがクリアできないことには合格は不可能です。条件1とも関わる重要なところですので、なんとか頑張って人物を描けるようにしましょう。上手くなくていいです。とにかく「これは人間だ」と誰もが確信できる絵であればいいんです。
人物の動作が描けない人は、「関節」を意識すれば、動作がある程度描けるようになります。
子どもの等身や人物の動作が描けない人は、こちらの動画を参考になさってください。

動作や等身の話以前に、そもそも絵をほとんど描いた経験がない方は、まずは簡単な○や□などを繰り返し描いて線を安定させる事からやってみてください。ブレブレの線や形が歪んだ図形を描いてないでしょうか?練習して安定した線、形が描けるようになったら上記の動画を見ながら簡単な図形で人物を描いてみましょう。

不合格になりそうな人の絵はこちらの動画のような絵です。練習してもらったので線は安定していますが、まだカクカクしていて若干人間っぽくないですよね。(角を取って滑らかにすると、もう少し人間っぽくなります。)
動画は、初心者向けの内容です。線を安定させることなど説明しています。

それも時間がない人は、人の絵をひたすら模写して真似しましょう…。確かに真似が1番早いです。見ないでポーズが描けるようになるまで、繰り返し真似して数個のポーズをマスター。その後別の場面でも使えるようポーズを応用するという練習方法を取るといいです。
しろうずの45分で過去問を描いた作品(45分ノーカット動画)はこちら。(*youtube)
*しろうず作品を真似した絵をSNSなどで投稿したい場合は、必ずこちらをお読みになってください。

なお!動画を見ただけでは人物がうまくかけない!という方には、テキストも販売しております(ダウンロード販売)。記事の一番下にリンクを記載しますので、ご覧ください。


条件4.「枠内全体を色鉛筆で着彩」=色塗りは最後まで終わらせてね!

条件4に「枠内全体を色鉛筆で着彩すること」とあります。これで保育士として適切な造形表現としての色使いを見ているわけです。なのでこれが途中で終わってしまっている場合は、大幅減点、最悪不合格になり得ます。とにかく最後まで終わらせましょう。人物はそこそこ丁寧に塗る必要がありますが、背景は多少雑でもいいのでとにかくスピード勝負で塗ってください。


また配色についても受験の手引きに「色使い」とあるように、採点に含まれていると思われます。意外と大事!保育の現場らしからぬダークネスな色使いにならないよう、明るい色使いにしましょう。具体的にはこの動画で説明しています。

条件に、「枠内全体を色鉛筆で着彩すること」とあるので、隅々まで塗らないといけないと思い、白いものまで白で塗る方がいらっしゃいますが(またそのような指導をしている講座もあるようで)、用紙が白である以上、白は塗る必要ないと思います…が!何でもかんでも真っ白けっけにするのは違いますよね?白いものにも陰影があります。陰影をつければいいのです。具体的には下の動画で解説していますのでご覧ください。
(ちなみに白い部分を塗ってないからと言って、それだけで減点されたり不合格になった事例を私は知りません。そうだと確信できる方がいたらご連絡ください。)

また、雑な色塗りと取られると減点にもなります。ある程度丁寧、と思われる色塗りをしましょう(ざっくりした言い方でごめんなさい)。特に絵を描いた経験の少ない初心者の方は、丁寧な色塗りで採点官に印象を良くしてもらい、なんとか合格点を貰いたいところです。
色塗りの具体的なやり方についてはこちらの動画が参考になると思います。



全ての条件を満たしてない絵は不合格なのか?

条件をおさえてないものは減点対象と思われます。問題文は焦らずよく読んで、極力「条件」の全てを押さえるように頑張りましょう。最初に問題文を読むときに、キーワードとなる部分に鉛筆で丸をつけてチェックするといいですよ。

指定されている条件のミスでは、園庭と保育室の間違えがかなり多い印象です!しかし、これでも合格者は複数確認できています。もちろん減点にはなっているでしょうが、他の条件がきちんと描けていれば合格は可能です。

ただし、事例に書いてあって条件に書いてないことは、先ほど述べた通り、描けていなくても減点対象にはならないと考えています。もし描いて欲しいなら、条件に入っているはずですよね。例えば、園庭なのに帽子かき忘れた!も、指定が入ってませんから、減点にはならないでしょう。とにかく、条件で指定されてないものは描けてなくても大丈夫、ということです。

合格・不合格を分けるポイントはどこなのか?


高得点で合格している人の共通項は、人物の形がきちんと取れており、指定の動作がきちんと表現できている、(条件1、3がきちんと押さえられている)こと。簡単にいうと、人物を描き慣れている人です。

逆に不合格となりやすいのは、人物がきちんと描けておらず、また何をしているかが分かりにくい絵、これが最も多い不合格パターンです。

例えば少し塗り残しがあっても、人物の形がきちんと取れており、何をしているかが分かれば、合格できる可能性はあるでしょう(とは言っても塗り残しは減点の可能性が高いです)。

まとめると、この試験では
1)人物の形がきちんと取れている
2)何をしているかが分かること
この2つさえできていれば、合格は可能である!と言い切ります。

合格者がしたミス、失敗例はこちらの動画をご覧ください。


保育所保育指針や発達の段階を押さえるべきか?

ぶっちゃけ押さえなくても合格できます。もちろん押さえたほうが印象としてはいいに決まっています。高得点を取りたい方はどんどん応用されてください。しかし合格できればいいという方は、気にしないでいいです。なぜなら、この試験は、あくまでも保育士としての造形技術を見るためのものだからです。

ただ、保育士さんが子どもと関わっておらずバラバラに作業しているなどは、明らかに保育の状況をイメージした造形表現にはなっていないでしょうから、そこは減点されるでしょう。保育士さんは子どもと関わっているように視線や顔の向きを合わせたり、あるいは肩や手を触れ合っていたり、抱っこしたりなど、何らかの関わりを描いてください。

また子どもの発達については、0歳児なのに全員立っている、だと少し不自然かもしれません。これはハイハイさせてあげたり保育士が手を添えていたりしたほうが無難。そこは保育の状況を多少イメージしましょう。ただし、頻出の3、4、5歳児については多少発達の段階が違っていても個人差、という説明もできますから気にしなくても大丈夫!です。
1、2歳児も合格するためだけなら、あまり他の年齢との差を考えなくてよし!です。

いいんですよ。完璧に描けなくって。とにかく「45分で指定の条件を満たして描く!」これだけ目指しましょう!

こうやらなきゃ!という、肩の荷を下ろして、気を楽にして練習してくださいね。皆様の合格をお祈りしてます。

工房しろうずの保育士試験対策講座(youtube)はこちら

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