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【卒業生ストーリー vol.4】人と地域をつなぐコーディネーター|臼井綾香さん(2期生)

  • 地域:神戸市 北区〜西区 

  • 事業:個人事業「SUICOU」(地域限定旅行業)/神戸市地域コーディネーター(北区担当)

  • URL:https://www.instagram.com/usui_kobe/


これまでの歩み

2019 2回目の転職をきっかけに、プロボノやイベントへの参加が増え、社外での活動に興味を持ち始める。
2020.9-2021.3 神戸農村スタートッププログラム受講
2021 卒業後、所属会社の企画として「神戸農村サイクルツーリズム実証事業」に取り組む。
2022 農村でのイベントの企画やコーディネートに取り組む。
2023 個人事業主として独立。
     神戸市地域コーディネーター着任。
2024 神戸農村を観光で活性化する団体「KOBE NOURISM」の立ち上げに関わる。「地域限定旅行業」登録。


現在の仕事や活動について

 現在は個人でプロジェクトマネージャーをしています。最初はプロボノ(専門性を活かしたボランティア活動)として関わっていたベンチャー企業の仕事や、神戸市の地域コーディネーターの北区担当として新興住宅街を含めた街の活性化に関わっています。
 また、2024年からは「KOBE NOURISM」という団体で神戸農村の観光面での活性化に取り組もうとしています。今年度は、教育研修旅行、企業研修旅行、個人旅行のトライアルプログラム実施に向けて動いています。また、神戸市の観光部局や旅行会社へのヒアリングをはじめ、仲間同士での勉強の機会としてイベントの実施もしており、観光の可能性を探っているところです。私自身は、2023年に「地域限定旅行業務取扱管理者資格」を取得し、個人事業として「地域限定旅行業」に登録し、2024年の春からは改めて観光のことを学ぶために大学院に入学しました。

*地域限定旅行業…2013年に作られた旅行業の登録種別。ある特定の地域で、旅行商品の販売を行うことを認める制度。中小企業や個人事業主でも旅行商品の販売に参入しやすくなった。臼井さんは「地域限定旅行業務取扱管理者資格」を取得し、「地域限定旅行業」に登録している。

答えを出さない勉強会「旅と〇〇」第1回目の様子。会場は三宮プラッツ。

「何かしたいな。」と思っていた時に出会った、神戸農村スタートアッププログラム

 プログラムに参加したのは、ネットの広告で見かけたことがきっかけなので、本当にたまたまでした。当時は普通に会社員をしていましたし、農村に関わりも全くなかったです。ただ、プログラム受講の1年前くらい(2018年)に、2回目の転職をしたことをきっかけに、いろんなイベントやプロボノに参加する中で、「生まれ育った神戸で何かしたいな」という漠然とした思いを持っていたタイミングでした。また、2019年には神出山田自転車道がリニューアルされ、久しぶりに北区を自転車で訪れた時に「農村の風景の中を走るのっていいな」と感じたのを覚えています。農村への関心と、自分の何かしたいという思いが重なって、このプログラムに参加してみようと思いました。

神出山田自転車道 BE KOBEモニュメント

受講中、卒業後に広がった農村での活動

 受講中は、同期のメンバーと意見交換や交流会みたいなことをしていました。フィールドワークの移動中、同期メンバーと仲良くなったので、やりたいことや想いを共有したりしてましたね。のちに「HATA+BE+(はたび〜)」という拠点を立ち上げた同期の増田さんが事業の準備をしてたので、同期のメンバーでチームをつくり、マップの制作やサイクリングイベントの実施、「農ある暮らしを五感で学ぶプログラム」の立ち上げなどに関わりました。
 また、私たちの期では最後の発表会に神戸市長が来られたので、「市営地下鉄に自転車を乗せられるようにしてくれませんか?」と冗談混じりに発言したんです。この後に、「神戸農村サイクルツーリズム実証事業」をさせてもらうことになりました。これは、当時私が勤めていた会社で予算を獲得したもので、北区から西区までの事業者さんや地域団体の人たちと繋がって広範囲で実施する事業でした。この事業を通じて農村のことを学び、ネットワークを広げることができたと思います。

神戸農村サイクルツーリズム実証事業の様子
電車にはロゴマークと「試運転」の文字が。

 それ以外にも、神戸農村スタートアッププログラムのスタッフをやらないかと声をかけてもらったり、同期の遠藤さんが「magatama field」を立ち上げたのでサポートをしたり、「里曜日」という農村を体験してもらうイベント企画したりなど、農村部での仕事や活動が続いていきました。自分1人では何かすることは難しかったと思いますが、周りに仲間がいたことが、とても大きかったと思います。

農村スタートアッププログラム同期の遠藤さん

「観光」「人のサポート」やりたいことが明確に。

 この数年間、地域で活動する人たちの顔も見えてきた中で、より個人として関わっていきたいという気持ちも強くなってきました。元々、受講中に交流会しよう!みたいな提案をしてたことにも繋がるのですが、結局"人が好き"なんですよね。人と何かをすることにモチベーションを感じています。仲間が農村で頑張っているので、それを応援したいということは、自分の中で変わらない軸なのかなと思っています。その中で、「観光」という分野がやりたいことであり、かつ可能性があるのではないか、ということが見えてきました。
 その後、2023年の夏に会社を辞めて個人事業主「SUICOU」として独立し、神戸市の地域コーディネーターとしても働き始めました。2024年に入ると、今まで関わっていたメンバーと一緒にKOBE NOURISMの立ち上げに関わって活動をスタートしました。4月からは並行して大学院にも通って観光について学び始めるなど、今は自分の中でがむしゃら期のような感じで、やれることにただ必死に取り組んでいます(笑)。過去の自分から見ると、この数年ですごく変わったなと思います。

行政の方とお話しする臼井さん

今後も様々な人・地域を幅広くつなぐ存在として。

 神戸農村で観光を広げていくにあたり、今まで以上に行政や自治体との協働が重要ということを、大学院で勉強している中でも感じているところです。プログラムを受けるまでは神戸市の人と個人として接したことなんてなかったので、プログラムは神戸市が主催で関わってくれているのも大きいな、と思いますね。また、観光が地域全体に根付いていくには10年くらいかかる、ということを言われたこともあり、長いスパンで事業を見ていく必要があると思っています。また、都市と農村のどちらでも働いていると、それぞれの感覚やスピード感は全く違って、その両方を知っているのも大事かなと思っています。でも、"農村部に仲間がいる"みたいな安心感みたいなものがあって、それがあるからどっちでも頑張れているのかなとも思います。なので関わり方は今後も変わらず、農村と都市、どちらの視点も持ちながら関わっていく存在でありたいなと思っています。

KOBE NOURISMのメンバー

■インタビュアーPICK UP!

私自身、臼井さんは「人のために徹する」という姿勢が誰よりもあり、それがあって様々な立場の人たちからの信頼を得ていると感じた。
また、コーディネーターやサポートする立場の人の仕事は、表には見えにくい。しかし活動している人は自分のフィールドがあり、外とのつながりを自分でつくりに行ったり、活動を起こしていくことは1人では難しい。そんな中で、臼井さんは北区・西区だけでなく、街側も幅広く神戸をつなぐ存在として重要な役割を担っていると思う。いろいろな立場の人を巻き込む必要がある「観光」という分野は、農村活性化の可能性があるのではないだろうか。

◆2024年9月~の神戸農村スタートアッププログラムの詳細はこちらのWEBサイトよりご覧ください。

文:伊藤 絵実里(コーディネーター)
写真:山田 真輝(コーディネーター)
〈取材日:2024年8月〉


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