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【6段階】予備論文過去問重要度ランク付

こんにちは、抗弁です。
突然ですが、「予備論文の過去問ってどれから手をつければいいの?」って疑問に思ったことはないでしょうか。私は思いました。
全年度の過去問を解けるならそれに越したことはないのですが、中々厳しいという人も多いはずです。
そこで、独断と偏見ではあるものの、予備論文の過去問を一通り解いた私自身が以下でその重要度をランク付していきます。

基本的には、「ロー入試の対策に取り入れたい人」「予備短答が合格目標で、予備論文の合格は想定していない人」向けとなっています。
予備論文の合格を本気で目指されている方は、このnoteではなく予備校が出されている指標を参考になさってください。

ランク付するのは、予備論文過去問(H23〜R3)の基本7科目です。直近3年分については、解説がまだそれほど充実していないこと、予備論文の合格を本気で目指す時に解くべきであることなどから、あえて除いています。

ランク付は6段階に分けて行います。具体的には、

A:必ず解くべき
B:なるべく解いたほうがよい
C:時間があるなら解いたほうがよい
D:余裕があれば解いてもよい
E:別に解かなくても問題はない
F:解かなくてよい

という感じです。私はあくまで予備試験の一受験生にすぎないので、その点はご承知おきいただけますと幸いです。

憲法


憲法の過去問は年度によって重要度がかなり異なってきます。メジャーな人権が出題されている年とそうでない年があるので、ランクが高い問題から優先的に解いていってください。

H23(平等権):B
平等権の処理手順を身につけるならこの問題です。事実をどのように評価できるかが重要となります。

H24(統治):F
統治です。やらなくていいです。

H25(立候補の自由):E
いわゆる世襲議員に関する問題です。かなりの難問です。無理に解く必要はないと思います。

H26(人権選択):C
最初にどの人権で保障させるか悩まされます。問題自体も難しいですが、人権選択の練習には有用です。

H27(統治):F
統治です。やらなくていいです。

H28(人権選択):D
最初にどの人権で保障させるか悩まされます。ただ、H26よりマイナーな分野なので、重要度はやや下がります。

H29(財産権):B
財産権の型を定着させるにはもってこいの問題です。損失補償についても意識してみてください。

H30(思想・良心の自由、表現の自由):E
若干統治が混じっています。頻出の論点が含まれているわけでもないので別に解かなくてもよいです。

R1(政教分離):C
憲法の過去問でも一二を争う難問です。とはいえ、政教分離が絡むので重要度はそれなりに高いです。双方向の主張をうまく使えるよう意識してみてください。

R2(取材の自由):A
とても良い問題です。与えられた事情を基に、どう言語化してどう評価できるか、この点に尽きると思います。

R(表現の自由):A
これだけは絶対に解いてください。憲法の過去問の中でも群を抜いて良問です。重要論点が詰まりに詰まっています。

行政法


行政法は出題範囲が狭いので、過去問の重要度はとても高いです。後回しになりがちですが、とにかく量をこなすべきです。

H23(処分性):C
後半はひたすら訴訟要件を検討するだけです。時間がなければ前半だけやるのもアリだと思います。

H24(行政裁量、手続):A
行政法の過去問では唯一(?)、訴訟法からの出題がありません。行政手続法に関する知識の確認にはもってこいです。

H25(原告適格):B
難易度はいたって普通です。原告適格の問題演習にも適しています。

H26(行政裁量):F
出題形式が独特です。やらなくていいです。

H27(処分性):D
信義則が絡むので重要度は下がります。やや難問です。

H28(訴えの利益、裁量基準):A
重要論点が詰まっています。特に、処分基準がある場合の裁量権の逸脱・濫用の有無の検討については、この問題を通じて理解すべきです。

H29(行政指導、原告適格):C
問いがややトリッキーです。後半の原告適格の問題だけでもやる価値はあると思います。

H30(処分性、行政裁量):A
良問です。処分性と行政裁量についての理解が進みます。反論についてもしっかりと意識してみてください。

R1(原告適格):B
原告適格について理解を深めたいなら、この問題を解くべきです。散りばめられた事情をうまく使うことが重要です。

R2(処分性):E
前半は超マイナー分野なので、無理にやらなくていいです。後半も立場の指定があるので、やや苦しいです。

R3(行政裁量):D
R2と同じく、前半は超マイナー分野です。後半だけやるのもアリだと思います。

民法


民法は幅広い分野から出題されるため、被りはほとんど想定できないですが、良問もそれなりに多いので、濃淡をつけて解いていくべきです。

H23(通謀虚偽表示):B
民法94条2項の保護による権利移転の考え方はとても難しいです。この問題を解けば、177条の対抗要件としての処理も含めて理解が進みます。

H24(物上保証人、遺留分侵害額請求):F
出題形式が独特です。やらなくていいです。

H25(将来債権譲渡担保):E
条文が新設されたので、当時とは問題の解き方が変わっています。重要度は低めです。

H26(契約不適合):B
契約不適合は頻出です。難問ではありますが、具体的事実に即した処理手順を身につけてください。

H27(共有物):D
共有関係が問われているので相当難しいです。論点もマイナーです。

H28(解除、損害賠償請求):A
解除、損害賠償請求は民法のあらゆる分野に通ずるものがあります。この問題では、三者間の利害調整を踏まえつつ、その理解が真正面から問われます。

H29(権利外観法理、転貸):B
前半は典型論点が登場するので言わずもがな重要です。後半は現場思考が絡み、思考力が試されますが、とても良い問題です。

H30(損害賠償請求、詐害行為取消):D
問題形式がやや独特です。家族法も若干出てきます。

R1(法定地上権):A
H23と同じく177条の対抗要件としての処理が問われています。重要論点が詰まっている良問で、欠かせないです。

R2(追認拒絶、債権者代位、詐害行為取消):C
論点が若干マイナーです。後半では適切な条文操作が必要です。

R3(集合動産譲渡担保):C
かなりの難問です。問題文に隠されている事情をうまく使えるかどうかが重要となってきます。

商法


商法は、条文操作が特に重要となってくるので、そういった意味でも過去問を解くのは有用だと思います。重要度の高い問題から潰していくべきです。

H23(取締役会決議、株主総会決議):C
条文操作がかなり必要となるうえ、現場思考も絡むので難問です。問題形式に慣れるには適していると思います。

H24(利益相反、重要財産の譲受け):D
後半は商法、手形法からの出題なので、ここはスルーして前半だけ解くのはアリだと思います。前半は頻出論点です。

H25(会計帳簿閲覧請求、株式交換):B
重要論点がたくさん登場するので、重要度は高めです。組織再編の無効事由については、この問題を通じて復習すべきです。

H26(利益相反、有利発行):A
とにかく良問です。難易度もいたって普通なので、問題演習には最適です。

H27(第三者責任、事業譲渡):A
取締役の第三者責任への理解を深めるにはもってこいです。事業譲渡も絡むので、重要度は高いです。

H28(準共有株式、吸収合併):F
手形法が絡んできます。問題の難易度もかなり高いです。後半はH25と類似しているので、そちらを優先して解くべきです。

H29(仮装払込み):E
マイナー分野からの出題です。重要度は低いです。

H30(株主提案権、利益相反):B
的確な条文操作と現場思考が要求されるので、難易度は高めです。とはいえ、苦手意識を取っ払うにはこの問題を解くに越したことはないです。

R1(取締役会決議、株主総会決議):E
トップクラスの難問です。おそらく気を落とすことになるので、無理にやらなくていいです。

R2(多重代表訴訟):D
若干マイナー分野です。条文操作が大半なので、優先度はやや低めです。

R3(表見代表取締役、退職慰労金):E
手段検討が多岐にわたる難問です。出題分野もマイナーです。

民事訴訟法


民訴法の過去問は幅広い分野から出題されています。抽象論が多い以上、問題を解いて慣れていくしかないです。

H23(死者名義訴訟):D
マイナー分野からの出題です。死者名義訴訟の処理手順を押さえるといった意味では解くのはアリだと思います。

H24(既判力、相殺の抗弁):A
とにかく良問です。既判力の理解を深めるにはまずこの問題からです。絶対に解くべきです。

H25(債権者代位訴訟):F
法改正により、問題を解く意義はほぼなくなっています。債権者代位訴訟についてはR3の問題を解けば足ります。

H26(訴訟承継):E
かなりの難問です。出題分野もマイナーです。

H27(一部請求):E
出題形式が独特です。無理にやらなくていいです。

H28(弁論主義):B
頻出論点からの出題なので重要度は高いです。弁論主義の復習に有用です。

H29(将来給付の訴え、既判力):A
重要論点が詰まっています。問題の難易度もいたって普通なので、H24と同様、絶対に解くべきです。

H30(複雑訴訟):C
やや難問です。複雑訴訟の問題に慣れるには適していると思います。

R1(複雑訴訟、既判力):C
複数の手段検討を要するので、こちらも難問です。後半は既判力が絡むので、重要度はやや高めです。

R2(債務不存在確認訴訟):C
トップクラスの難問です。重要論点からの出題ではありますが、かなり捻られています。応用力が身につきます。

R3(債権者代位訴訟):C
法改正後の出題なので、債権者代位訴訟の問題演習にはもってこいです。なるべく丁寧に問題検討すべきです。

刑法


刑法の過去問は特に良問が揃っています。過去問を通じて演習を積み重ねるのが最善だと思います。

H23(因果関係):A
若干マイナーな犯罪も登場しますが、重要度は極めて高いです。遅すぎた構成要件の実現の復習になります。

H24(被害者の承諾):C
現場思考が絡むこともあって、かなりの難問です。やる価値は十分あります。

H25(詐欺、窃盗):C
共謀の射程が問題となる難問です。財産犯の理解が必須となります。

H26(詐欺、強盗):B
重要論点が大量に出てきます。どこまで削るかが肝になってくると思います。

H27(賄賂):F
刑法の過去問では唯一やらなくていい問題です。

H28(放火):D
放火罪がメインです。放火罪の理解を深めるには有用だと思います。

H29(間接正犯):B
こちらも重要論点が詰まっています。因果関係の有無について特に意識してみてください。

H30(横領、強盗):C
主に共謀の射程が問題となります。H25と併せて解きたい問題です。

R1(横領と背任、文書偽造):C
やや各論色強めです。とはいえ、重要論点ばかりなので解いたほうがいいです。

R2(詐欺、誤想防衛):A
幅広い知識が必要となります。問題文の事情をうまく使えるようにすべきです。

R3(窃盗、不作為犯):D
特に後半は極めて難易度が高いです。なので優先度はやや下がります。

刑事訴訟法


刑訴法も刑法と同様、良問が多いので過去問対策が重要となってきます。出題範囲が狭い分、なるべく多くの問題に触れたいところです。

H23(差押え):D
当てはめが非常に多くの割合を占めます。ややマイナー分野です。

H24(おとり捜査、録音録画):A
強制処分の処理手順の確認にはこの問題が最適です。難易度もいたって普通です。

H25(訴因の特定、争点逸脱認定):E
かなりの難問です。H29と内容が被っているので、そちらを優先して解くべきです。

H26(伝聞法則、自白法則):A
重要論点が詰まりに詰まっています。絶対に解くべき問題です。

H27(写真撮影、伝聞法則):C
ややトリッキーな箇所がありますが、こちらも重要論点からの出題です。

H28(再逮捕再勾留、同種前科):C
再逮捕・再勾留の可否の復習にはこの問題が有用です。当てはめの部分がやや少なめとなります。

H29(現行犯逮捕、訴因の特定):B
訴因の特定の有無からの処理手順は、この問題を通じて理解したいです。現行犯逮捕の部分も重要です。

H30(所持品検査、違法収集証拠排除法則):A
典型論点なので、確実に書けるようにすべきです。難易度もいたって普通です。

R1(実質的逮捕、勾留):B
説得的な論理立てが必要になってきます。しっかりと処理手順を踏めているかを意識してみてください。

R2(一事不再理効):F
マイナー分野からの出題です。やらなくていいです。

R3(準現行犯逮捕、接見指定):C
前半の重要度がやや高めです。後半はしっかりと規範を立てられているかどうかです。

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