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ヴィッセル神戸 2024シーズン 戦術解説

他チームサポーターや海外サッカー好きの方など、普段Jリーグやヴィッセル神戸の試合をしっかり見ていない方向けに、2連覇・2冠を達成したヴィッセル神戸がどういうサッカーをしているのか、どんな選手がいるのか、など参考程度に読んでもらえたらと思います。


2024シーズン成績

J1リーグ:優勝、38試合21勝9分8敗、61得点36失点
天皇杯:優勝、6試合6勝、11得点1失点
ルヴァン:3回戦、2試合1勝1敗、3得点2失点
ACLE:リーグ突破濃厚、6試合4勝1分1敗、10得点6失点

リーグ戦は主力選手、天皇杯・ルヴァン・ACLEは控え組中心で戦ったが、天皇杯優勝、リーグ2連覇、ACLEリーグ突破濃厚と、上出来な結果となった。

戦術もかなり固まってきており、相手によってブレることなく、スタイルを貫いて戦い抜いた結果、対策されながらも2連覇は相当素晴らしい。


2024シーズン 戦術サマリー

フォーメーション

・攻撃時 4-1-2-3
・守備時 4-4-2

攻撃時フォーメーション 4-1-2-3
終盤戦の主要メンバーを記載
守備時フォーメーション 4-4-2
4-4ブロックで固く守るシステム

ビルドアップスタイル

・カウンター
・ロングボール主体

守備→攻撃のトランジション時には、前線へのロングパスで数人で完結させる速攻中心。

遅攻時にも、なるべく後ろで繋がずに、前線のCF/WG目掛けてロングボールを蹴り込むことで相手陣地で戦うスタイル。

ビルドアップを行う場合、①右SBが前目にポジションとって3バック形成し、左SBをビルドアップの出口にする形 ②CDMがセンターバック間に下りて3バック形成し、CAM/CFも下りてきて中央でのパスで崩していく形 などもたまに見せる。

守備アプローチ

積極的プレス
高いライン設定

CAMがCFと横並びになって相手のCB/GKまで積極的にプレスをかけるスタイル。WGも一緒に出ていく形で4-2-4の形で外切りで追い込む。中央にパスを入れられたらCM/CDM/CBが前に飛び出て捕まえにいく。ロングボールを蹴り込んできたらCBが弾き返す。

押し込まれた際の守備時には、コンパクトに連携。WGがしっかり下りてプレスバック。4-4で固く守る。SBが釣り出されたらWG/CM/CDMがカバーに入る。

全員が前に飛び出ていく守備のため、裏には大きなスペースが残る。CB/GKがカバーする必要がある。


各ポジション役割と要求、選手評価

・要求能力は10点を割り振り
・選手評価はSS/S/A/B+/B/B-/Cの7段階評価
・本職じゃない選手は()

GK(ゴールキーパー)

要求能力
・高いセービング能力 6
・ハイラインの裏ケア 4

選手評価
・前川 S
・新井 B+
・オビ B-
・高山 -

リーグ戦には基本前川セービングはほぼ完璧。ハイライン裏ケアも判断早く、ここ数シーズンでしっかり飛び出すようになった。ビルドアップ能力はやや低いが、GKからショートパスを繋ぐことはほぼ無いので問題無し。

カップ戦は基本新井が出場。セービング能力も高いと感じる。身長が低いのがややネック。
オビもポテンシャルは高いが、出場機会なく、試合勘不足を感じる。
高山は出場機会なく評価できず。

補強可能性
OUTが無ければ補強は不要か。


CB(センターバック)

要求能力
・前に飛び出して奪い切るタックル能力 3
・ハイボールを弾き返す空中戦勝率 3
・ハイラインの裏ケアできるスピード 3
・セットプレーでの得点力 1

選手評価
・トゥーレル SS
・山川 S
・(本多 A)
・菊池 B-
・岩波 B-

基本はトゥーレル山川の2セット。
トゥーレルはJ1屈指のCB。足も相当早い、フィジカルも高く、空中戦勝率も高い。一番の魅力はクリーンなタックル。危険な1対1でもファウルなくしっかり止める。セットプレーでの得点力も素晴らしい。文句無しベストイレブン。

山川も十分活躍。フィジカル、タックル、空中戦勝率が素晴らしい。同じく危険なタックルはしない、セーフティ重視で冷静、判断を間違えないところが魅力。今シーズンはセットプレーでの得点力も磨き、キャリアハイの3得点。

2人はともにビルドアップ能力が低いことが課題。だがロングボール主体のチームでは問題になりづらい。

本多はSBで出場することが多いがCBとしても出場可能。身長は低いが空中戦勝率高く、守備能力問題無し。唯一の左利きであり、ビルドアップの出口になり得ることが魅力。

菊池は守備能力や冷静さ、ビルドアップ能力でやや劣る。魅力は空中戦勝率と得点力。サイドバック起用もあったがポジショニングの悪さや経験不足が露呈。
岩波も同じく守備能力が劣る。ビルドアップは優秀。

補強可能性
本多をCBにカウントできないとなると、1名ほど優秀なディフェンダーを追加したいか。


SB(サイドバック)

要求能力
・サイドの1対1に負けない対人守備 4
・コンパクトな守備連携 3
・パス/ドリブル/クロスによる決定機創出 3

選手評価
・酒井高徳 S
・初瀬 A
・本多 A
・広瀬 B+
・(鍬先 B)
・(日髙 B)
・(菊池 C)
・飯野 -

右は酒井高徳、どうしてもの時に広瀬鍬先菊池。左は初瀬or本多で入れ替え起用。

酒井は言うまでもなく守備がピカイチなのに、攻撃でもパス、ドリブル、クロスでチャンスを創出する素晴らしいサイドバック。
広瀬は本職SBでありながら、WGでの起用が多くなった。若干守備力が基準にマッチしていないという判断だろう。飯野も同様。

初瀬本多はそれぞれ対照的な弱点を持つ。初瀬は決定機創出能力がピカイチ。だが守備に若干課題。本多は守備クオリティが高いが、攻撃的なサポートは苦手。
本来であれば、左WGや右SBに入る選手次第や相手の戦術で入れ替えるべきだが、単純にコンディションなどで選んでいる模様だった。

日高鍬先は本職じゃないが、SBでも試合に出れれば成長できるので、ぜひ 実力と経験を磨いていってほしい。

補強可能性
控えがいると言えばいる、いないと言えばいない状況。良い選手が取れれば良いが優先度は低い。


CDM(守備的ミッドフィルダー、アンカー)

要求能力
・ビルドアップ能力 4
・前に飛び出して奪い切るタックル能力 3
・コンパクトな守備連携 3

選手評価
・扇原 S
・(山口 B+)
・鍬先 B+
・齊藤 -

このポジションは扇原がピカイチ。中盤の底でのゲームメイカー。しっかり前線と連動したプレッシングと、時間を作れるビルドアップ能力。和製ロドリと呼んでも良いだろう。

鍬先がこのポジションの後継者と言われているが、若干合わない気もしている。守備力や推進力は申し分ないが、CB間に下りたビルドアップやタメを作るとかができるのか気になる
なお、怪我の齊藤がこのポジションに帰ってこれる可能性は十分にある。

補強可能性
扇原クラスは中々いないと思うが、怪我人復帰で未月が帰ってくると思われるので、いなくても問題ないか。


CM(セントラルミッドフィルダー、ボックストゥボックス)

要求能力
・前に飛び出して奪い切るタックル能力 4
・コンパクトな守備連携 3
・攻撃時のウインガーサポート 3

選手評価
・井手口 S
・山口 A
・(鍬先 B+)
・(齊藤 -)

山口蛍が怪我で途中離脱、途中から井手口が活躍し後半の好調を牽引した。

山口蛍も、前半はしっかりとしたクオリティを見せた。怪我から復帰した後は途中出場が多くなったが、やや試合勘不足など感じたところもあった。

井手口圧倒的なクオリティ。とにかくスタミナがえぐい。90分間ピッチを駆け回りチームのバランスを保ち続けた。攻撃時のサポートや決定機創出はあまり期待できないが、守備の安定はピカイチ

補強可能性
井手口が稼働率高いので問題ないが、もし山口蛍がOUTなら、1名くらいは補強しておいた方が良いのではと思うところ。


CAM(攻撃的ミッドフィルダー、シャドーストライカー、プレイメーカー)

要求能力
・前線からの積極プレスとプレスバック 3
・攻撃時のWG/CFのサポート 3
・パス/ドリブル/シュートによる決定機創出 4

選手評価
・宮代 S
・(佐々木 A)
・井出 B+
・山内 B-
・森岡 C
・中坂 -
・(齊藤 -)

昨シーズンは井出がファーストチョイスだったが、怪我明け以降、ややイマイチなパフォーマンスに見えた。今シーズンは宮代がかっちりハマった。

宮代はプレスで走れることが最低限できる中で、とにかくシャドーストライカーとしての才能開花。大迫がCFでありながら、起点作りのできるトップ下的立ち回りが得意なことと相性良く2列目からの飛び出しで得点を奪った。

佐々木もここで起用されることはほぼ無かったが、ハマるのは間違いない。ただ佐々木はWGかCFの方が生きる

CAM宮代に慣れすぎたせいで、このポジションに得点力が求められるチームになったが、井出には得点力が不足しているように感じた。井出の魅力の一つにサイド流れからのドリブル・クロスがあったが、今シーズンは宮代とプレイエリアが被ったりと併用できないもどかしさがあった(左WGが佐々木やパトリッキならOK、汰木や広瀬、宮代だとNGというイメージ)。井出はモドリッチなんや。井出を起用するなら、CMには蛍のように前線に飛び出すタイプが必要。

山内森岡はこれからというところか。
中坂も使うならここだったが残念。今後の活躍を期待している。頑張ってほしい。

補強可能性
宮代が海外移籍するのであれば足りなくなる。井手口を使い続けるなら攻撃的なタイプの選手が必要。


WG(ウインガー、サイドハーフ)

要求能力
・前線からの積極プレスとプレスバック 4
・サイドでの起点作り 3
・パス/ドリブル/シュートによる決定機創出 3

選手評価
・武藤 SS
・佐々木 A
・汰木 B+
・(広瀬 B+)
・(宮代 B+)
・パトリッキ B
・(初瀬 B)
・(飯野 B-)
・(山内 C)
・(冨永 C)

右は武藤ほぼ固定。左は汰木広瀬佐々木宮代パトリッキと流動的。

武藤は言わずもがな。決定機創出力、守備での頑張り、何をとっても国内最高クオリティ

左は色々な意見があるが、個人的には佐々木大樹がトップ評価。右足のボールを持った時に時間を作れる、起点になれるのが素晴らしい。クロスも上げれる、決定力もある、周りとの連携もできる。

汰木広瀬も優秀。決定力や独力はやや乏しいが、起点作りとクロス力は素晴らしい
パトリッキは逆に独力はあるが、起点作りとクロス力に乏しい。パトを入れるなら右WGには武藤以外を使いたいイメージ。

飯野はなあ…。SBで使えないからWG起用しているが、WGにしては攻撃力が足りない

補強可能性
右WGは消耗が激しいポジションのはずなのに、武藤が90分出る試合が多すぎる印象。できれば終盤から交代で出せる控えが欲しいところ。逆に左WGは過剰なくらい(本来なら武藤も左で使いたいわけですし)。例えば左利きの右WGとか欲しいよな。


CF(センターフォワード、ターゲットフォワード)

要求能力
・空中戦勝利、中央/最前線での起点作り 4
・守備スイッチを担う積極プレス3
・パス/ドリブル/シュートによる決定機創出 3

選手評価
・大迫 S
・(佐々木 A)
・(宮代 B+)
・(パトリッキ B)
・冨永 C

大迫は昨年は間違いなくMVPだったが今シーズンは半端なさを見せつけるシーンは少なくなった(PK失敗とか)。それでもCFの位置での起点作り、いざという時の決定力は素晴らしいわけで、間違いなくトップクラスのタレント。

専任でこのポジションできるのは冨永くらいだが、流石にまだ経験不足。

佐々木大樹が唯一担える。もう少し半端なさは欲しいが十分高さとフィジカルで張り合える。

補強可能性
すぐには必要ないだろうが、ここもWGと同様で、消耗が激しいポジションのはずなのに、大迫が90分出る試合が多すぎる印象。できれば終盤から交代で出せる若い控えが欲しいところ。今後大迫が引退するタイミングで主力を張れる人。


移籍(2025年1月7日時点)

確定IN情報

・GKウボング リチャード マンデー選手 福知山成美高校より加入内定

・DF山田海斗選手 ヴィッセル神戸U-18よりトップチーム昇格

・MF濱﨑健斗選手 ヴィッセル神戸U-18よりトップチーム昇格
 ※2026年シーズンからの昇格だが、2025年シーズンでも何試合かベンチ入りすることは見込まれる

・DF本山遥選手 ファジアーノ岡山より完全移籍加入

・MF橋本陸斗選手 東京ヴェルディより完全移籍加入

・DFカエターノ選手 SC コリンチャンス・パウリスタより完全移籍加入

確定OUT情報

・MF中坂勇哉選手 契約満了
・MF山口蛍選手 V・ファーレン長崎へ完全移籍
・DF菊池流帆選手 FC町田ゼルビアへ完全移籍

終わり


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