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明石海峡大橋、開通25年 本紙カメラマンが捉えた表情
神戸と淡路島をつなぐ明石海峡大橋(全長約3.9キロ)が今月5日、開通から25年を迎えました。この四半世紀、大橋は観光、通勤・通学、物流などで人と車が移動するための大動脈となってきました。
本紙カメラマンにとっては、季節の移ろいなどを表す被写体でもあります。今回は私、ぶらっくまが、そんな大橋の多彩な「表情」をご紹介します。
桜と共演
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今年3月下旬、瀬戸内海を一望する須磨浦山上遊園(神戸市須磨区)からの光景です。思わず一句詠みたくなるような、春霞に溶け込む大橋の姿です。
夏空の下
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大橋の近くには、かつて白砂青松の景勝地として知られた「舞子の浜」を復元した公園「アジュール舞子」(神戸市垂水区)があり、長さ約800メートルの美しい砂浜が東西に広がっています。
秋の花と
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こちらは初秋の9月、明石海峡を望む「あわじ花さじき」(淡路市楠本)で満開を迎えたサルビアとの共演。大橋(画面の右奥)はあくまで脇役ですが、主塔も大事なアクセントになっています。
雪化粧
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今年1月、寒波の影響で雪化粧した住宅街と大橋です。そろって「白」に染まった姿(大橋はもともと白ですが)もきれいですね。
霧に煙る
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霧の「白」に染まる大橋。こうした写真は新聞で、季節・気温の変化などを伝える記事に付けられることが多いです(スケッチ写真などと呼ばれます)。
夕暮れの影絵
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燃えるような夕日をバックに浮かび上がった大橋の主塔。神戸空港(神戸市中央区)の展望デッキから撮影されました。
神戸空港から見た夕日が大橋に重なるのは、3月上旬と10月上旬の年2回。そのうち数日間は天候次第で、水平線に沈む太陽がゆがんで見える「だるま夕日」も観望できるそうです。
聖夜
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明石海峡大橋はライトアップも見どころです。全31パターンもあり、季節ごとの色や、光の変化で時刻を知らせる「時報」のほか、各種イベントや記念日に合わせた特別プログラムもあります。上の写真はクリスマスです。
侍ブルー
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ブルー1色の大橋。少し古くなりますが2010年、サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、デンマーク戦に臨む日本代表の勝利を願って、青くライトアップされました。結果は本田、遠藤、岡崎選手の3得点で見事勝利し、決勝トーナメントに進出しました。
撲滅願う「赤」
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「世界エイズデー」の12月1日には、エイズへの理解と支援のシンボル「レッドリボン」にちなんで赤くライトアップされました。
コロナ終息願い
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花火とイルミネーションの競演もありました。写真は2021年9月、新型コロナ禍の終息を願い、淡路市岩屋の岩屋漁港から花火が打ち上げられた時の様子です。
明石海峡大橋の多彩な「表情」、いかがだったでしょうか。
これだけの巨大構造物ですから、周辺で暮らす人たちにとって大橋は、絶えず視界に入る日常の一コマでもあります。
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大橋の建設は総工費約5千億円(当時)、工事期間およそ10年をかけた大プロジェクトでした。その経緯については、「うっとこ兵庫」の2021年9月の記事「世界最長のつり橋、明石海峡大橋が開通するまで」でご紹介していますので是非。
ちなみに、21年の記事タイトルに「世界最長」とありますが、昨年3月、トルコに開通したつり橋にその座を奪われてしまいました(つり橋の規模を示す2本の主塔間の距離が明石海峡大橋は1991メートル、トルコの橋は2023メートル)。ちょっと残念ですが。
神戸新聞電子版「神戸新聞NEXT」では、映像写真部がまとめた動画「明石海峡大橋、開通から25年 カメラマンが見た多彩な『表情』」もご覧いただけます。
〈ぶらっくま〉
1999年入社、神戸出身。今は神戸側から見ることが多い明石海峡大橋ですが、淡路島で勤務していた頃は、島側からよく眺めました。どちらから見るかで、また少し趣が異なる気がしています。
個人的なお気に入りは、島から神戸へ車で橋を渡る時の風景です。特に夜は、橋の上から神戸の夜景の中に舞い降りていくような感覚になり、航空機のパイロット気分を味わえます。子どもじみているかもですが、オススメです。