これぞ神戸の夜景、とにかく美しい写真10枚
「1000万ドルの夜景」で知られる神戸には、夜の眺望スポットがあちこちにあります。海と山とが近接し、その間にビルや住宅が立ち並ぶ地形が日本有数の夜景を生み出しています。神戸が誇る夜の眺めの写真を播州人3号が選びました。
まずは定番の六甲山から望む街の明かりです。
ドローンを使った連載の1回として掲載されました。
<空からイチオシ>(5)
六甲枝垂れ(神戸市灘区)
夜の山上彩る「鳥の巣」
撮影=大森 武、辰巳直之
「鳥の巣みたい」「中に何があるの」。芸術作品を思わせる外観は来訪者の興味をかきたててやまない。
「自然体感展望台 六甲枝垂(しだ)れ」(神戸市灘区)はオープン10年目。節目の今年は酒造会社との企画で日本酒を地下の氷室に貯蔵。六甲山の読みにちなみ、653本を売り出している。
網目状のドームは高さ約10メートル、直径約16メートル。夜は発光ダイオード(LED)で彩られ、9月からは秋をイメージした赤や紫色に染まる。
時季によっては頭上に流星群が見えることも。秋の夜長に、昼間とは違う山上の魅力を再発見できる。
(2019年9月15日付朝刊より)
都市圏が近接する神戸ならではの眺めです。
ドローンを使い、人の目線より少し高い位置から撮影すれば、雰囲気ががらりと変わります。
映像写真部記者のドローン撮影をまとめた以前の投稿はこちらから。
続いては、北海道函館市や長崎市と並び日本三大夜景に数えられている摩耶山・掬星台(きくせいだい)からの眺めです。
一面の光 一服の涼
摩耶山上
撮影=中西幸大
兵庫県内は27日も猛暑が続き、最高気温が豊岡市では38・6度と今年最高を記録した。姫路市と西脇市は36・7度、三田市も36・5度と35度を超える暑さに見舞われた。
前日とほぼ同じ34・3度だった神戸市では、夕刻になると一服の涼を求めて、標高690メートルにある夜景スポットの摩耶山・掬星台(同市灘区)には何組ものカップルや外国人の若者らが姿を見せた。
日が傾いてヒグラシの鳴き声が遠ざかるにつれ、眼下の街の明かりが輝きを増していく。あいにく雲が多めだったが、展望台では訪れた人たちが柵越しに夜景を堪能。風が吹き抜けると「涼しいね」などと声が上がっていた。
(2020年8月28日付朝刊より)
手前にはカップルのシルエットが見えます。絶景が2人の時間を演出します。
下は18年3月に撮影した摩耶山からの夜景です。雰囲気がだいぶ変わります。
撮影=山崎 竜
六甲山からそれほど離れていませんが、摩耶山の方がやや低く、市街地に近いためか、違ったパノラマが広がります。
▢ ■ ▢ ■ ▢ ■
神戸市灘区の公園から夕暮れ直後の神戸の市街地を収めた写真がありました。
写真説明には「ビル群の美しい夜景とは対照的に、住宅街(手前)の明るさは控えめだ」とありました。
人の暮らしが感じられる写真ですね。
撮影=大山伸一郎
続いては神戸市中央区にある諏訪山展望台「ビーナステラス」からの夜景です。
だいぶ地上に近づいてきました。
撮影=小林良多
見応えのある夜景は地上でも楽しめます。
神戸新聞本社近くのハーバーランドで撮影された写真です。
神戸港のシンボル、神戸ポートタワーが鮮やかです。
撮影=辰巳直之
写真記者がヘリコプターに乗り込んで上空から撮影することもあります。
次の写真のちょうど真ん中付近に見えるのが、先ほどの神戸ポートタワーです。
冬、きらめく港町
神戸・夜間遊覧飛行
撮影=中西幸大
空気が澄み渡る冬は、「1千万ドルの夜景」が最も輝きを増す季節。神戸の街を上空から眺めると、クリスマスシーズンを彩るイルミネーションやビルの窓明かりなど、色とりどりの光が年の瀬の港町をきらめかせている。
神戸空港(神戸市中央区)を拠点に航空関連事業を行うヒラタ学園航空事業本部は、この時季恒例の夜間遊覧飛行を実施している。
定員6人のヘリコプターは、約7分の相席コースが1人1万8千円。貸し切りにも対応する。
(2019年12月19日夕刊より)
空気が澄む冬ならではの写真ですね。
2018年の遊覧飛行では、神戸・三宮上空からこんな風景を収めています。
撮影=斎藤雅志
2017年に撮影した神戸港です。
撮影=後藤亮平
撮影する位置だけでなく、気象条件によっても見え方は大きく異なります。
満月の夜に街を写せば、こんなふうに見えるのですね。
<イロドリ>(13)
大阪湾沿岸の夜景
満月の夜。銀河現る
撮影=吉田敦史
満月の夜。まばゆい街明かりの中に長大な光の帯が現れた。星空を流れる銀河。そんな空想に浸る。
西宮、尼崎市の湾岸地域に挟まれた大阪湾の一部。人工島の西宮浜や甲子園浜一帯を遠望すると、大阪の街並みを背にした海面が、蛇行する河川のように見える。
神戸・阪神間の街並みを見渡せる観光施設「六甲ガーデンテラス」(神戸市灘区六甲山町)。新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、5月末まで休業しており、許可を得て展望テラスから撮影した。
夜のとばりが降り、月の動きに合わせて光が少しずつ水面を照らす。一面が銀色に輝いた光景は20分ほどで過ぎ去った。
明石市立天文科学館によると、月は日ごとの動きが大きく、満月に近い明るさで同じ方位から昇る機会は年に数回しかないという。井上毅館長(51)は「見慣れた風景が、空の条件次第で思いもよらない変化を見せる。新型コロナで心がふさぐときこそ身近な美しさを発見するのもいい」と話す。
この光に出合ったのは約2年前。もう一度、見てみたい。非日常が支配する日々の中、ようやく再会がかなった。
(2020年5月14日付朝刊より)
いかがでしたたか。いずれもプロのカメラマンが、ここぞとシャッターを切った1枚です。
というわけで、今回は撮影者の名前も入れてみました。
神戸新聞では記事と同様、写真にも署名が入っています。
今回の投稿で印象的な写真を手がけた記者が見つかれば、紙面や神戸新聞NEXTで名前を探してみてください。
<播州人3号>
1997年入社。夜の撮影ほど難しいものはありません。駆け出しのころはまだフィルムの時代でした。あんなに綺麗に、はっきりと見えた景色がこんなに真っ暗なんて、と現像してあたふたすることがありました。原稿は書き直しができ、追加取材も可能ですが、写真はそうはいきません。まさに一発勝負です。