こんにちは、ぶらっくまです。新聞社の編集局で勤務していると、「あれから何年」という報道の機会が多くあります。俗に「節目報道」「周年報道」などと呼ばれます。
「年中行事」などと揶揄されることもありますが、戦争や大事件・大事故、災害などについて、忘れている記憶を新たにして風化を防いだり、改めて検証・考察し対策を考えたりすることには意味があると考えています。
3月18日は「グリコ・森永(脅迫)事件」の発生から40年の節目でした。事件を知らない若い方も、犯人の一人とされる「キツネ目の男」の似顔絵=上の画像=は目にしたことがあるかもしれません。
製菓会社・江崎グリコの江崎勝久社長が兵庫県西宮市の自宅から誘拐され、犯人は金塊と現金10億円を要求。社長は監禁場所から自力脱出しましたが、犯人グループはグリコのほか森永製菓など食品会社を次々と脅迫、店頭に青酸入りの菓子を置く事件も起こしました。「かい人21面相」を名乗り「けいさつの あほども え」などと挑発する文書を報道機関にも送り付けるなどし、「劇場型犯罪」の言葉が生まれました。一連の事件は2000年2月までに時効が成立。未解決のままで、いまだ多くの謎を残しています。
浮かんでは消えた「キツネ目の男」/12万5千人が捜査対象に/グリコ・森永事件40年
先述の通り、2000年2月には一連の事件が全て時効を迎えました。
その謎の多さから、グリコ・森永事件を題材にした多くのフィクション・ノンフィクション本も刊行されています。その一つ、2016年に山田風太郎賞を受け、映画化もされた小説「罪の声」は、元神戸新聞記者の作家、塩田武士さんの作品です。最後に、17年の塩田さんのインタビュー記事をお届けします。
作家 塩田武士さんに聞く/なぜ今、グリコ・森永事件ですか?/劇場型犯罪に救い探して/拝金主義の時代、卑劣さ痛感
〈ぶらっくま〉
1999年入社、神戸出身。私は塩田武士さんより少し上の世代で、子ども心に、得体の知れない犯人に恐怖を感じた覚えがあります。新聞記者となって以降は、先輩や捜査員が「グリ森」「114(警察庁広域重要指定事件の指定番号)」について話すのを何度か聞きました。この事件以降、警察の広域捜査や企業の危機管理などは一定強化されましたが、社会の弱点を突く犯罪は今も後を絶ちません。そして、それはより複雑、巧妙化しています。犯罪は時代や社会を映す鏡である―との思いを強くしています。