こんにちは、ぶらっくまです。突然ですが、皆さんは地上波テレビの連ドラ(連続ドラマ)を見ていますか。今秋のクールで、神戸が舞台のドラマが放送されているのをご存じでしょうか。ABCテレビ系/テレビ朝日系の「たとえあなたを忘れても」(10月22日スタート、日曜午後10時)です。
見慣れた光景が画面に映ると、何だかうれしくなりますよね。ドラマはまだ第3話が放送されたところなのですが、印象的なシーンで何度か使われている、一風変わった場所があります。神戸の街と海を見下ろす摩耶山の中腹に立つ、廃虚(「廃墟」とも書きます)と化したホテル。神戸市民には知られた旧「摩耶観光ホテル」(神戸市灘区畑原)です。「廃虚の女王」の異名でも呼ばれています。
「廃虚が静かなブーム」と言われて久しいですが、このホテル、単に朽ちた建物ではないんです。廃虚でありながら、約2年前、国の登録有形文化財になりました(※許可なく無断で立ち入ることはできませんのでご注意を)。
(2021年3月掲載)「廃虚の女王」国文化財に/閉鎖後に人気 異例の登録
上の記事末尾の説明にあるように、神戸の廃虚の価値を認めた「登録有形文化財」の制度が、阪神・淡路大震災を機に始まったということに、不思議な巡り合わせを感じます。
またこれも上の記事で触れられていますが、文化財登録されるまでの道のりには、市民有志や建築士資格を持つ専門家らの奮闘がありました。少しさかのぼってご紹介します。
(2016年8月掲載)山上の廃虚 観光資源に/見学ツアー企画
(2018年5月掲載)「山中の廃虚、登録文化財に」有志らが調査活動/愛好家 朽ちる姿に魅力
こうした市民や廃虚を愛する人たちの地道な努力があって、関係者も「例は聞かない」としていた廃虚の文化財登録が実現しました。
許可なく敷地に入ることはできませんが(防犯システムや防犯カメラも作動しています)、時折、ガイドツアーやイベントなどが催されています。X(旧ツイッター)には「摩耶観光ホテル 公式アカウント」があります。
最後に、過去のイベントのもようをご覧ください。
(2018年8月掲載)「廃虚の女王」ライトアップで復活の輝き
当時の動画もあります。
《ぶらっくま》
1999年入社、神戸出身。ご紹介した記事にもいくつか出てきましたが、私が若い頃は「軍艦ホテル」などと呼んでいました。心霊スポットとも言われていた覚えがあります。そういうものが苦手なので、当時は近づこうという気さえ起きませんでしたが(笑)、今となっては、高度経済成長期などを物語る産業遺産―といった風に、見方が全く変わりました。年を重ねたせいか、朽ちゆく廃虚の美しさも少し分かるようになった気がします。