
ザ・クレーン、頼れる力持ち
重く、巨大なものをつり上げて運ぶため工事現場などで活躍するクレーンです。神戸では、陸上だけでなく、港や海上で見かけることがあります。紙面に登場した特徴的なクレーンを播州人3号が紹介します。
神戸の人にとっては見慣れた光景です。
「海のキリン」や「港のキリン」と呼ばれるガントリークレーンです。
真夏の幻影 海のキリン 神戸港

朝焼けの空に「キリンの群れ」が浮かび上がる。淡路島北端の淡路サービスエリアでは夏の間、神戸港の東側から昇る朝日を背に幻想的な光景を望むことができる。
港の物流を支えるガントリークレーンは、長い首を伸ばすような姿からキリンに例えられる。神戸市のポートアイランドや六甲アイランドで37基が稼働する。
神戸港のコンテナ取扱量は2020年、コロナ禍で約1割減少。翌年から回復し、クレーンの稼働も以前の水準に戻りつつある。
ガントリークレーンは荷物をつり上げる際、長いアームを前に倒す。港湾関係者は「キリンがいくつ首を倒しているかで港の忙しさが分かる」という。
大型のクレーンは高さ90メートル。港が静かな早朝はまだ直立の状態が多い。約20キロ離れた淡路島から超望遠レンズで切り取ると、山の稜線からキリンの頭が突き出ているように見えた。
港の大型クレーンは、季節や時間帯によって印象が大きく変わります。



これだけ大きなものをどうやって設置するのでしょうか。
分解してトレーラーで運ぶものと思っていましたが、意外な方法でした。
神戸港
朝もや進む 巨大キリン

神戸港のコンテナ荷役を担う国内最大のクレーン3基が13日朝、神戸・ポートアイランド2期の岸壁に到着した。神戸に入港できる最大の1万4千個積み(20フィート換算)コンテナ船に対応。港湾関係者は「能力が最大限に発揮されるよう、多くの貨物が集まってほしい」と入港を見守った。
三井造船大分工場(大分市)で造られ、丸2日かけて運ばれた。クレーンの「腕」の部分は63メートルもある。
岸壁を管理する神戸港埠頭(神戸市中央区)によると、設置費用は3基で計31億円。据え付けや試運転を経て、コンテナターミナルを運営する商船三井(東京)が年末にも運用を始める。
同じサイズのクレーンは、国内で横浜、名古屋港などに10基ほどしかない。神戸港では、2010年にも同サイズのクレーンが3基設置されており、大型船への対応力が拡充される。
クレーンを運ぶのでなく、クレーンそのものを備え付けた船があります。
日本最大となると、こんなにも大きくなります。
日本最大のクレーン船 海の力持ち
4100トン高々と


平たい船の上に、高層ビルほど高い〝鉄塔〟がそびえる。神戸港周辺の海上で時折見かける、巨大な作業船。その正体は、日本最大のクレーン船「海翔」だ。東播磨港を拠点に、国内外で30年活躍している。
所有する寄神建設(神戸市兵庫区)によると、クレーンは高さ約120メートルまで、最大4100トンの物体をつり上げることができる。風や波の影響を受けても、作業はミリ単位の正確さという。
これまで明石海峡大橋や神戸空港連絡橋の架橋工事などに携わってきた。阪神・淡路大震災直後には、倒壊したコンテナクレーンの撤去で復旧に貢献した。
船内は、社員寮のような雰囲気。工事現場によっては1、2カ月滞在することがあり、食堂や風呂、個室もそろっている。船長(55)は「共同生活で乗組員の絆が強まる。どんな作業でもやり遂げる自信がある」と胸を張る。
夏の炎天下、赤銅色に焼けた男たちが黙々と作業を続ける。「地図に残る仕事をしている。そう思うとやる気が湧いてくるんです」と乗組員(40)。止めどない汗が頰を伝い落ち、灼熱の甲板に跳ねた。
姫路城の「平成の大修理」(2009~15年)の際も大型クレーンが活躍しました。
すぐそばに世界文化遺産・国宝のお城があります。ボルト1本落とすことも許されません。

工事用の素屋根(工事用建屋)に覆われた姫路城と2基のクレーンです。
大きさだけでなく、操縦方法にも驚きます。

操縦はどこでやっているかというと―。

写真の通り、クレーンの操縦席からつり上げている鉄骨を目視できません。とび職人との無線交信と、つり先を映すモニターで間合いを測るようで、高度な技が光ります。
<播州人3号>
1997年入社。神戸ハーバーランドの本社からもガントリークレーンが見えます。改めて眺めると、「港のキリン」という呼び名がぴったりです。ポートタワーや大型客船などとともに、立ち並ぶ「キリン」の姿も神戸港の景観を構成する重要な要素です。