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不気味⁉カワイイ⁈ 妖怪に会えるまち福崎町
まだまだ暑い日が続きますが、朝晩を中心に少しずつ過ごしやすくなってきましたね。お元気ですか、ぶらっくまです。
少し前、夏らしい話題をと「怪談」の記事を投稿しましたが(内容は怪談とほぼ無関係でしたが)、今回は「妖怪」、妖怪にちなんだ町おこしの話題です。
妖怪にちなんだ町おこしといえば、漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげるさんが育った鳥取県境港市の「水木しげるロード」が有名ですが、ここ兵庫県にも「妖怪のまち」があるんです。兵庫県の南西部に位置する福崎町です。
まずは、過去の連載記事の一節から紹介します。
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雨がしとしと降っていて一人とぼとぼ歩いてた。
うねうね道のその先に、底の見えない暗い池。橋のたもとでのぞいてみたら、コイがのんびり泳いでた。何の気なしに見ていると、ゴボゴボ水面が泡立って、出、出、出たァ―!!
河童がガバリと現れた。
ここは、兵庫県福崎町。日本民俗学の父といわれ、「妖怪談義」の著書がある柳田国男(1875~1962年)の生まれ故郷だ。
その生家や記念館近くの辻川山公園に、河童が出るようになったのは2014年。濁った池を逆手に取って、機械仕掛けのリアルな人形を置くと、これが当たった。観光客は年間10万人近く、一気に増えた。
「市川の駒ケ岩のガタロの伝説が基になってます」と町の担当者。なるほど、柳田の自伝「故郷七十年」にはこうある。
「辻川あたりでは河童はガタロというが、市川で泳いでいるとお尻をぬかれるという話がよくあった」。つまり、駒ケ岩の深い淵に引き込まれる水難事故は、河童の仕業と言い習わされており、柳田少年も「もう少しで死にかかった」。
それからおよそ30年―。柳田は論考「河童駒引」で膨大な伝承を紹介し、民俗学的研究の先鞭をつけた。
上の記事にあるように福崎町は、「遠野物語」などを著し、「民俗学の父」と呼ばれる柳田国男の生誕地です。町内には生家や記念館もあります。
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柳田の生家近くを流れる市川には河童伝説があり、柳田の幼少期の思い出になっていました。それをヒントに町が、公園のため池に機械仕掛けの河童を設置したところ話題となりました。2014年の設置初日の様子を報じた神戸新聞記事には、いきなり約千人が集まった、とあります。
写真を見てお分かりのように、かなりリアルです(本物の河童は見たことないですが)。ゆるキャラ全盛の世の中で、それがかえってウケたといえるでしょう。
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町の「妖怪推し」は、この河童にとどまりません。次も既に5年前の記事になりますが、ご紹介します。
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リアルに怖い妖怪を使った町おこしに挑む兵庫県福崎町で、池の中から顔を出す河童の人形「ガジロウ」が設置されている辻川山公園からJR福崎駅までの3・6キロに、妖怪の人形と並んで座れるベンチが7基、新設される。海ぼうず▽猫また▽油すまし▽雪女▽一つ目小僧▽鬼―などで、いずれも高さ1メートル強、繊維強化プラスチック製だ。
同町は「遠野物語」などの著者で民俗学者の柳田国男(1875~1962年)にちなんだ地域活性化を進める。柳田の生家が残る辻川山公園で2014年前、「ガジロウ」を設置。ガジロウはゆるキャラグランプリでは430位に沈んだが、小さい子どもが泣きだしてしまう、赤色で不気味な風貌が話題になった。
17年、JR福崎駅前と同公園に「妖怪ベンチ」を2基置いた。駅前のガジロウは将棋を指し、公園ではてんぐがスーツ姿でノートパソコンのキーボードを打つ。検索するのは「河童の弱点」だ。本格派の造形に、ほどよいばからしさ。写真共有アプリ「インスタグラム」への投稿も急増しているという。
ベンチ新設に、同町は約1千万円を投入。妖怪のデザインは、同町主催の妖怪造形コンテストの入賞者に発注し、リアルさを担保した。同町の担当者は「駅前から公園まで歩いて、途中の店に立ち寄ってもらえる仕掛けに」と期待する。
店の前に一反もめんが置かれることになったパン店の店長の男性(57)は「観光客をいざなう妙案。怖がる人もいるだろうが、効果はあるはず」と話す。
その後も、妖怪は増え続けています。
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これでもまだ一部なんです。福崎町や町観光協会のサイトには写真やマップがあります。ご覧いただくと、町のあちこちで妖怪が〝出没〟することがお分かりいただけると思います。映える写真(もう死語?)を撮って回るのも楽しそうでしょ。
河童の「ガジロウさん」の公式X(旧ツイッター)もあります。昨年、そのガジロウに関するこんなインパクトのある写真と、関連記事が神戸新聞に載りました。
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福崎町が生んだ最大のヒーローといえば、日本民俗学の創始者、柳田国男だ。「異論なし」という方も多いだろう。しかし、最近はリアルで怖いかっぱのガジロウにその座を奪われつつある。町内では、ガジロウが住民の暮らしの中にじわじわと入り込み、風景の一部になってきた。福崎町が「ガジロウのまち」になる日は近いのか。
▼スマホで支払いも
福崎町内最大のスーパーでこの秋、身長約160センチの赤いガジロウが買い物かごを持ち、一般の客と同じように野菜や肉、酒を選んでレジに並んだ。かっぱの世界もキャッシュレス化が進んでいるのか、スマートフォンで支払いを済ませた。居合わせた買い物客は少し笑いながら、遠めからスマートフォンでガジロウを撮影。町職員もツイッターの公式アカウント「ガジロウさん」から発信した。
スーパーに併設されている宝くじ売り場では、行列に並んで宝くじをばらで10枚買った。売り場は9月からガジロウをあしらったデザインに変更。スーパーに乗り付けた車も町が導入した電動レンタカーで、車体にはガジロウが描かれている。
見た目が異様に怖いガジロウは当初、イベントなどで人に近づくと、大人は面白がっても子どもたちは怖がって泣いていた。それが狙いでもあったのだが、今はもう慣れたのか、「あっ、ガジロウや!」と寄ってくる子もおり、インパクトのあるキャラクターとして定着してきた。
▼少ない観光消費額
福崎町はなぜ妖怪やガジロウをこれほど活用するのか。町地域振興課の成田邦造課長は「町の観光消費額の少なさや滞在時間の短さ、宿泊数の少なさ」を挙げる。交通の便のよさが逆に日帰りを増やしてしまい、消費額の伸び悩みに直結しているのだ。成田課長は「姫路から車で20分ほどで来られる。町内に宿泊施設が少ないので、もち麦を食べるとすぐ帰ってしまう」と悩む。
ホテルなどの宿泊施設を急に増やすことはできないが、滞在時間を増やして消費につなげたい。そこで、町は次々と観光振興策を繰り出す。約3時間で妖怪フィギュアが製造できる3Dプリンターを辻川観光交流センターに置いたり、ベンチと同じ妖怪が出てくるガチャを設置したりして滞在時間を長くする仕掛けを増やした。
ガジロウの電動レンタカーも、移動手段としてだけでなく、交流サイト(SNS)で拡散させて若い世代を呼び込むことも狙う。スーパーでの買い物もその一環だ。10月には、ガジロウに興味を示した女性お笑いコンビ「アルミカン」の赤阪侑子さんが、町とゆかりがないのに「ふるさと大使」に就くなどの展開もあった。
▼まずは妖怪、それから…
10年ほど前には21万人台だった福崎町の観光客数は近年、40万人を超えるようになった。それはガジロウと妖怪を前面に出した効果と言える。「福崎がなんで妖怪の町なん?」。子どもたちが素朴な疑問を抱いたとき、柳田国男の出番だ。福崎町には、国男の偉大さが勉強できる施設がたくさんある。ぜひ訪れてみよう。
▼非公認のワケは活動のしやすさ
妖怪キャラクターとして有名になったガジロウは、福崎町の非公認キャラクターだ。同町には公認キャラクターとして黄緑色のかっぱ「フクちゃん」と「サキちゃん」が今も存在し、ゆるキャラブーム真っ最中の2009年から町のイベントなどで活動している。フクちゃんの頭はかっぱの皿、サキちゃんはもち麦麺が載っている。
ガジロウはなぜ非公認なのか。町によると「非公認の方が民間事業者との活動がしやすいから」。公認だと、宣伝の意図はなくても特定の事業所との面白いパフォーマンスがしにくい。ゆるくない突き抜けた活動ができるのも非公認だからこそといい、当面は非公認のままでいくようだ。
▼全部で10体 妖怪ガチャ
福崎町は、妖怪ベンチのモチーフになっているかっぱや天狗、一反もめんなど、10種類のフィギュアが入ったカプセル玩具の自動販売機「ガチャガチャ」を福崎駅前と辻川の観光交流センターに設置した。1回500円で1個ずつフィギュアが出てくる。
ガチャに入っているのは猫また、鬼、スネコスリ、山姥、一反もめん、一つ目小僧、アマビエ、子啼爺、かっぱ、天狗の10体。高さ約4センチで、底面には指を挿せる穴が開いている。
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町の「妖怪推し」「ガジロウ推し」には、なかなか緻密な観光戦略があったんですね。興味を持たれた方、秋の行楽シーズンの候補地に「妖怪のまち福崎」はどうでしょう。
〈ぶらっくま〉
1999年入社、神戸出身。
福崎町が妖怪を使ったPRに力を入れ出した頃、福崎を含む西播磨地域などを担当する部署で、デスクをしていました。記者から送られてきた河童の写真を最初に見た時は、驚きました。もっとかわいい姿を想像していたので…。「泣き叫ぶ子どもが続出しています」との報告もありましたが、今やすっかり人気者のようです。