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疾走、快走、力走…。兵庫を駆ける自転車

自転車の記事を見かけることが多くなりました。健康ブームやエコ志向を受け、愛好家が増えているようです。神戸・阪神間の都心部から、開放的な風景を楽しめる但馬や淡路島まで、兵庫には自転車にぴったりのコースやイベントがあります。そんなサイクルの記事を播州人3号がまとめました。

広大な敷地に、自転車を楽しめる施設が集まります。
名前はずばり「さいくるらんど」です。

加東 さいくるらんど
快適にお色直し リニューアルオープン
路面のひび割れなど補修

 最大6人乗りや馬車型などの変わり種自転車で遊べる県立播磨中央公園内(加東市下滝野)の「ふじいでんこうさいくるらんど」が17日、リニューアルオープンした。老朽化していた路面を補修し、約6100平方メートルが鮮やかな青や緑色にお色直し。
 兵庫県園芸・公園協会(明石市)が運営する「さいくるらんど」は、1983年4月にオープン。2015年に地元企業の藤井電工が命名権を取得し、社名を冠した。
 約6万7700平方メートルの敷地内に、馬車やパトカーなどをかたどった75種の「おもしろ自転車」を楽しめるエリア▽小さな子ども向けの自転車練習場▽サイクリングコース▽インラインスケート場―などがある。新型コロナウイルス感染拡大前の19年度は年間9万人超が訪れ、40日間の営業休止があった20年度は約7万2千人、21年度は約8万2500人が利用した。
 開設から40年がたち、路面にひび割れが生じるなどしたため、今年6月から舗装などの大規模改修を実施。事業費は、競輪、オートレースを展開する公益財団法人JKAの補助を受けた。1周3キロのサイクリングコースも昨年度中に補修が済み、同協会播磨中央公園管理事務所は「より安全、快適になった。豊かな緑の中を走る気持ちよさを味わって」とPRする。
 17日は再開を待ちわびた親子連れらが訪れ、お気に入りの自転車で真新しい路面を走った。西宮市から親子4人で訪れた女性(35)は「変わった自転車がたくさんあり、子どもも楽しそうでうれしい。いろいろな施設を体験したいです」と話していた。
 営業は午前9時~午後5時。火曜休み。おもしろ自転車は30分利用で中学生以上500円、子ども250円など。播磨中央公園管理事務所TEL0795・48・5289

(2022年9月18日付朝刊より)

公道を使った本格的なレースも開催されています。
交通量が少なく、適度な起伏がある―。そんな道路環境がぴったりのようです。

峰山高原 7月1日、初の「ヒルクライム」開催 標高差773メートル 神河を駆けろ
ラスト4キロは「激坂区間」が連発

 神河町役場から峰山高原に向かう標高差773メートル、全長17.3キロの過酷なコースで自転車の走破タイムを競う「神河ヒルクライム」が7月1日、初めて開催される。ラスト4キロは斜度10%超の「激坂区間」連発で、町が制作したチラシに見える「DANGER」(危険)の警告が、ライダーたちの登坂魂をくすぐる。
 ヒルクライムは主にスポーツ自転車(ロードバイク)で上り坂主体のコースの走破時間を競う。神河のコースは序盤から中盤にかけて比較的緩やかだが、疲労がたまった最終盤に「激坂」が複数あるため、ペース配分が難しい。下見に訪れたこの道8年で筋骨隆々の会社員の男性(41)=岡山県瀬戸内市=は「きついレースになりそう」と表情を引き締めた。
 勾配からは「上級者向き」とみられがちだが、試走した神崎高自転車競技部の選手からは「幅員が広くて走りやすい」との好評も得た。制限時間はゆったり2時間半、発走地点も駅に近い。同町の担当者はチラシに書いた「DANGER」など忘れてしまったかのように「初級、中級者も楽しみやすい」と呼び掛ける。
 当日は午前7時半に、神河町役場前からスタート。ロードバイクとマウンテンバイクの2部制で参加費は7千円(中高生5千円)。ロードは男子39歳以下と男子40歳以上、女子の部に分かれて競う。

(2018年5月17日付朝刊より)

「自転車のまち」をPR

 健康ブームやエコ志向を背景に、スポーツ自転車の愛好家が増える中、神河町はヒルクライムを機に「自転車のまち」としてPRを狙う。交通量が少なく、信号もほとんどない田舎道の利点を生かし、山あいの起伏や、自然豊かな風景を組み込んださまざまなコースを推奨していくという。
 越知川名水街道の自転車下りでも知られる同町だが、近年、JR寺前駅周辺でライダーがよく見られるようになり、町観光協会がPR策を考えていた。そこに、加古川市の企画会社が「峰山高原は良いコースになる」と助言。1年足らずでヒルクライムの実現に持ち込んだ。
 同町によると、県内のヒルクライム大会はちくさ高原(宍粟市)や、菖蒲谷森林公園(たつの市)で開かれている。大会を続ける京都府南丹市美山町や、大阪府箕面市は、愛好家の〝聖地〟とされ、その背景には「信号が少ない」「適度な起伏がある」という条件がある。
 この条件を十分に満たすと自認する神河町は、ヒルクライムを開く峰山高原にとどまらず、平時も「銀の馬車道」「砥峰高原」「越知川」「新野の水車」を加えた計5コースを推奨し、まずは認知度アップを図る。第1回ヒルクライムの盛り上がりが、スキー場に続く観光誘致策の今後を占うことになる。

(2018年5月17日付朝刊より)

六甲山でも今年、10年ぶりにヒルクライムが復活しました。

六甲山 自転車で駆け上がれ
「芦有道路」舞台9月にレース
官民連携 10年ぶり復活

 神戸市北区と西宮、芦屋市にまたがる「芦有(ろゆう)ドライブウェイ」を舞台に、上り坂を駆け上がる自転車レースのヒルクライムが9月11日、10年ぶりに開かれる。兵庫県神戸県民センターなどがつくる実行委員会が主催。3月1日の参加者募集開始に伴い、スマートフォンで楽しめるデジタルスタンプラリーも展開している。
 2011、12年に民間企業が開催したが、六甲山のにぎわいづくりを目的に官民が連携して復活させる。
 名称は「六甲有馬ヒルクライムフェスタ」。コースは有馬温泉―芦屋間を結ぶ同ドライブウェイの有馬ゲートを出発、六甲トンネル手前までの4・1キロのタイムを競う。斜度は平均7・2%、最大9・0%。最大標高差は291メートルとなる。
 総走行距離は東六甲展望台までの6・5キロで、参加資格は中学生以上から。一般的なヒルクライムよりも競技区間が短いため、2回タイムを計ることができる「ダブルエントリー」も可能だ。ファミリー部門は北摂展望台までの2・2キロがコースで、タイムの計測や表彰はない。
 また、5月15日まで展開する「六甲有馬デジタルスタンプラリー」では、六甲ケーブル山上駅や摩耶山天上寺、有馬温泉の金の湯など計12カ所を巡り、対象施設のQRコードを読み取ってスタンプを集める。獲得したスタンプ数に応じて、有馬温泉の宿泊券5万円分や食事券1万円分などが抽選で当たる。
 ヒルクライムの募集は千人。参加料はシングルエントリー5500円、ダブルエントリー8千円、ファミリーエントリー5千円。

(2022年3月4日付朝刊より)

20年ほど前は六甲山頂に向かう坂道で出合うのはバイクが定番でしたが、最近は自転車を見かけることも多くなりました。

三宮では、自転車専門店もオープンしています。

米のスポーツ自転車 トレック、三宮に直営店 50台展示、街中を試乗も

 米国の自転車メーカー「TREK(トレック)」の日本法人、トレック・ジャパン(西宮市)は26日、神戸・三宮に直営店をオープンした。人気が高まっている電動アシスト付き自転車を含め、最新機種50台以上を展示。試乗車も約10台あり、神戸の街を走って乗り心地を確かめられる。
 トレックはスポーツ自転車で米国トップシェア。日本法人は1991年に設立し、2007年には神戸市須磨区に国内初の直営店を開いた。神戸三宮店は国内で27店舗目、兵庫県内で3店舗目。広さ約180平方メートルの路面店で、マウンテン▽ロード▽(マウンテンとロードを融合した)クロス▽電動―の4種類と、子ども用自転車が並ぶ。ウエアやヘルメットなど関連グッズも販売。人気のクロスバイクは6万~20万円で、電動バイクは30万~90万円。
 同社は、消費者が安心して購入、乗車できるよう、試乗やメンテナンスが可能な直営店の展開に力を入れている。田村芳隆社長は「環境や健康に資する点など、店舗を通じて自転車の魅力を発信したい」と話す。
 午前11時~午後7時。火曜定休。神戸三宮店TEL078・335・0277

(2022年8月27日付朝刊より)

そんな自転車愛好家たちを呼び込もうと、兵庫県はお薦めの8ルートを紹介する冊子を作製しています。

自転車で巡る旧五国
オススメ8ルート紹介
兵庫県が冊子

 兵庫県が、但馬や淡路など旧五国の魅力を盛り込んだ「ひょうごサイクリングモデルルート」の冊子を作製した。全国的に人気の淡路島一周の「アワイチ」や六甲山縦走など計8ルート全長約1300キロ。地図や風光明媚めいびな写真、想定所要時間などを盛り込んだ。
 サイクリング人気を受けて県が2019年度、自治体や観光関係者らによる協議会を設け、全長58~220キロの上級者向け8ルートを選んだ。冊子には、スタートからゴールまでに上る高さの合計「獲得標高」などを記している。
 220キロの最長ルートは、JR加古川駅を出発後、15時間かけて東・北播磨を巡り、明石海峡を眺めながらJR明石駅にゴールする。県立西猪名公園(川西市)を発着点に、丹波篠山市まで北上し、三田市内の千丈寺湖などを巡るルートは獲得標高2021メートルの過酷なコースとなっている。
 初・中級者も参加しやすいよう、距離短縮のルート案や最寄りの名所も図示。QRコードを読み込めば、地図アプリでコースの詳細が見られる。A1判両面カラーで3千部作製。無料。県民局や県内の道の駅で配る。県ホームページからも入手できる。

(2020年7月21日付朝刊より)

記事でも取り上げられ、全国的に人気の「アワイチ」です。

淡路島一周「アワイチ」
絶景ロード 駆ける銀輪

 流線形のヘルメットにサングラス、ぴったりと体に合ったジャージー姿。前傾姿勢でロードバイクを駆る参加者。細いタイヤで路面をつかみ、軽快な回転音を残して通り過ぎていった。
 淡路島を自転車で一周する「アワイチ」の大会「淡路島ロングライド150」が9月下旬、国営明石海峡公園(淡路市)を発着点に開かれた。全国から、過去最多の2184人が集まり、約150キロの完走を目指した。
 海あり山ありの絶景とグルメを満喫できるアワイチは、琵琶湖を一周する「ビワイチ」(約200キロ)と並ぶ関西の人気コース。島の東海岸から時計回りに走る経路、その逆回り、競技性のある目標タイム設定など、多彩な楽しみ方がある。島内でスポーツ自転車専門店を営む男性(40)は「初心者はもちろん、上級者が何度走っても違った達成感を味わえる」と魅力を説く。
 男性の店で自転車を借り、数キロ走ってみた。ペダルを踏むほど肌に伝わる疾走感。年齢を問わず愛好者が多いのもうなずける。

(2018年10月11日付朝刊より)

「アワイチ」人気にあやかろうと、島外の自治体も活発に動きます。
神戸市は須磨海岸を経由したルートを検討します。

島一周サイクリング「アワイチ」人気後押し
淡路と須磨結ぶ航路を10月実証
神戸市 3日間限定、船内に自転車持ち込み可

 神戸市は23日、自転車で淡路島を一周する「アワイチ」の人気にあやかり、サイクリストらを須磨海岸(同市須磨区)から船で島に運ぶ実証実験を10月に行うと発表した。船内に自転車を持ち込めるよう、固定するスタンドも整備する。需要があれば、定期航路の開設も検討するという。
 市が同海岸一帯で進める再整備の一環。健康志向の高まりでサイクリングが注目される中、「アワイチ」などで話題の淡路島と連携し須磨海岸の魅力向上につなげるのが狙い。
 神戸と淡路島を結ぶ明石海峡大橋は自転車で通ることができない。現在は、明石港(明石市)と岩屋港(淡路市)を結ぶ高速船「淡路ジェノバライン」のみ、船に自転車を載せて行き来ができるという。
 実証実験では、須磨ヨットハーバーの船着き場とあわじ交流の翼港(淡路市)を約1時間で結ぶ。船は神戸港の観光遊覧船「boh boh(ボーボー) KOBE」号を使う。
 運航は10月8、9、15日の3日間。1日1往復で、往路(須磨から淡路島)は午前9時、復路(淡路島から須磨)は午後4時に出港する。1便あたり定員100人(先着順)。自転車は約30台まで載せることが可能で、自転車を利用しない人も乗船できる。
 片道大人千円、小学生500円、小学生未満は無料。自転車の持ち込み料300円。要予約。

(2022年8月14日付朝刊より)

淡路島の南側、四国からの愛好家を見越した動きもあります。

大鳴門橋 自転車道
来年度着工を 斎藤知事
下層部、安全性は既に確認

 兵庫県の斎藤元彦知事は7日、大鳴門橋おおなるときょうを視察し、徳島県と連携して検討している同橋での自転車道整備について「必要な手続きを経て、来年度の工事着手を目指したい」と話した。
 壮大な渦潮を見下ろす自転車道が実現すれば、淡路島を1周する「アワイチ」が人気のサイクルツーリズムで、新たな目玉として期待される。
 両県は2018年度から自転車道の敷設に向けた検証を開始。橋は全長1629メートルの上下2層構造で、下層は新幹線を通せる強度があるが、レールなどはなく空洞の状態となっている。
 想定ではこのスペースに幅4メートルのアスファルト舗装を施し、両側に高さ2・5メートルの防護柵を取り付ける。精密模型の風洞実験などを重ね、19年度に安全を確保できるとの結論が出ていた。
 橋の下層部などを視察した斎藤知事は「自転車はCO2(二酸化炭素)を出さない究極のエコツーリズム」と期待感を示した。

(2022年10月8日付朝刊より)

淡路島と神戸を結ぶ明石海峡大橋。こちらも自転車に開放されれば、さらなる魅力アップにつながりそうです。

明石海峡大橋の記事をまとめた投稿はこちら

<播州人3号>
1997年入社。子どものころ、自転車2台を1人で操る人をよく見かけました。1台にまたがり、もう1台のハンドルを片手で持ちながら併走します。こぐのも特徴的で、片足のふくらはぎ部分でペダルを回しながら、片足はもう一台のペダルに載せてバランスをとります。何かの事情で、駅などに残された自転車を「連れ帰る」風景でした。夕方、父親とみられる男性が通学用の自転車と併走しているのを見ることもありました。それだけ自転車が高級品だったということでしょう。「カタン、カタン」と片足こぎの独特のリズムがよみがえります。

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