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「凍てつく」を狙う

「厳しい冷え込みになる」という天気予報を聞けば、記者らが街や山を巡ります。いかにして「寒さ」を伝えるか。撮影場所を求めて知恵を絞ります。広い兵庫には北部の豪雪地帯から、雪のほとんど降らない平野部まであります。「凍てつく」をテーマに、足で稼いだ写真の数々を播州人3号が紹介します。

神戸や姫路で雪が積もることはめったにありませんが、日本海側の但馬地域では雪かきが必要なほど雪が積もります。

前日からの雪で車のフロントガラスも覆われた=豊岡市内(2022年12月)

「滝も凍る」―。厳しい冷え込みがこれほど伝わりやすい写真はないでしょう。現場を訪れた記者らの腕のみせどろころです。
但馬・香美町の滝です。

極寒の芸術 虹と共演
猿尾滝に氷瀑 3年ぶり出現

 香美町村岡区日影の県指定名勝「猿尾滝」で8日、前日からの冷え込みの影響で、2段滝の一部が凍りつく「氷瀑ひょうばく」が3年ぶりに出現した。雪で真っ白な岩肌につららが幾筋も垂れ下がり、飛び散る水しぶきに虹が架かるなど芸術的な光景を織り成した。
 地元の村岡観光協会によると、氷瀑は上段(落差約39メートル)、下段(同約21メートル)の滝でともに確認されたという。遊歩道が昨夏、落石対策工事を終えて約7年ぶりに全面開放されたこともあり、写真愛好家が早朝から撮影に訪れていた。

(2021年1月9日付朝刊より)

冷え込むイメージの但馬地域でも3年ぶりの氷結とあります。それほど珍しいことなのでしょうか。
但馬だけでなく、兵庫県南部でも滝が凍ることがあります。
姫路市の北、神河町の滝です。

連日の冷え込みで氷結した「扁妙の滝」=兵庫県神河町(2015年2月)

神戸市街に近い六甲山中腹にある滝も凍ります。

寒さで凍り付いた七曲滝=神戸市北区(2022年1月)

素早く飛び回る鳥を撮るような技術は必要はありませんが、現場に行くまでが大変です。防寒着を重ね、山に分け入ります。
腕というよりも、足で稼ぐ写真でしょうか。

兵庫県内最高峰の氷ノ山ひょうのせんになると、装備も冬山登山並みです。
氷ノ山では滝どころか、木々さえも凍ります。
その姿は怪物のようです。

神秘雪原の〝怪物〟出現 氷ノ山

 厳しい冷え込みの影響で、兵庫県最高峰の氷ノ山(1510メートル)の山頂付近に「モンスター」と呼ばれる巨大な樹氷群が姿を見せている。真っ白い雪原に並ぶ自然の造形物が、神秘的な雰囲気を漂わせている。日本海側からの冷たい風で、約10メートルの樹木の枝に霧が氷となって付着。樹氷の上に雪が降り積もり〝怪物〟のように巨大化した。
 氷ノ山は比較的登りやすい冬山とあって、週末には登山客や山スキーの愛好家らでにぎわう。
 登山歴30年という会社員の男性(46)=兵庫県播磨町=は「氷ノ山の樹氷は繊細で美しい」と見とれていた。
 国際山岳プロガイドの男性(59)=西宮市=は「今後の天候次第だが、見られるのは2月いっぱい。現地に行くには、スノーシューやアイゼンなど冬山に入る装備と、緊急時に対応できる技術が必要です」と話している。

(2014年2月23日付朝刊より)

2012年の写真です。

雪原に現れた幻想的な樹氷群=養父市、氷ノ山

雪の降らない平地では、足元の冷え込みを狙います。

「氷の花」咲いた 神戸市立森林植物園
シモバシラ氷結

氷点下の冷え込みで出現したシモバシラの氷=神戸市立森林植物園(2022年12月)

 氷点下まで冷え切った寒い朝、神戸市立森林植物園(同市北区山田町)では、シソ科の多年草シモバシラが、茎の根元に「氷の花」を表出させ、入園者に幻想的な姿を見せている。
 秋に花を咲かせ、枯れてしまうシモバシラだが、冬でも地中の根は水を吸い上げる。氷点下2~6度程度の条件下で水分が地上の堅い茎から染みだし、独特の形状で氷結することで、自然の造形美となることがある。
 園内では、10株ほどが森林展示館周辺で栽培されており、今年は今月15日に初めて氷結を確認した。氷結を繰り返すと茎が傷み、「氷の花」は徐々に小さくなっていくが例年、1月下旬ごろまで出現している。

(2022年12月24日夕刊より)

川のしぶきが凍り付いた岸辺の草木も冷え込みの狙い目となります。

しぶきが凍った住吉川=神戸市東灘区(2022年12月中西幸大)

<播州人3号>
1997年入社。子どものころ、播州の平野部でも年に数回は雪が積もりました。そんな朝は、塀や車に積もった雪をお椀ですくい、砂糖をかけて食べました。豪雪地帯で暮らす人から見ると、奇妙な行動に見えるかもしれません。おなかは膨れませんでしたが、夏場のかき氷とも違う食感で、ちょっと得した気分になりました。

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