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シン・長田を彩るプレイヤー ~ミシン業界に新しい風を起こす、時代の風雲児~(前編)


本記事では、田中さんが脱サラをしてミシン業界に飛び込んだきっかけやSNSを通じてミシンを発信するきっかけをお届けします。
※2021年7月にKOBE007が取材をした記事のリメイクです。

田中 翔さん
長田区で田中ミシン機工株式会社に勤務し、営業活動を行っております。
営業活動ではSNSを駆使してミシンを発信しており、
長田区の地場産業であるミシン業界を活性化させています。


サラリーマンで培った経験

-記者-
まず、簡単な経歴から教えていただいてもよろしいですか。

-田中さん-
小学校から高校までは神戸市内の学校に、大学は県外の大学に通っていました。
大学卒業後、3年間はサラリーマンをして、25歳の時から田中ミシンで働いています。

-記者-
サラリーマン時代の会社はミシンに関係するお仕事だったんですか。

-田中さん-
全然違う仕事でした。
それまでは田中ミシンに入るっていうこともほとんど考えていなかったんです。

-記者-
現在の仕事をするまでに、前職で経験してよかったと思うことはありますか。

-田中さん-
サラリーマンで営業として3年間働いていた時に、自分が担当している店舗の売り上げ管理について、毎月プレゼンする機会があって、それによって話す力がついたと感じます。

-記者-
それが今の仕事にも役立っているんですね。

-田中さん-
そうなんです。田中ミシンでは、ミシンで困った時に観てもらう解決動画をYouTubeで配信していて、前職で毎月やっていたプレゼンの経験が投稿している動画に生きているのかなと思います。


-記者-
YouTube動画はプレゼンに似たものがありますよね。

-田中さん-
そうです、そうです。僕は何を話すか前もって書いてしまうと喋れなくなってしまうので頭の中で描いて、話す力がついたと思います。

-記者-
他にも身についたと思う技術や知識はありますか。

-田中さん-
営業職では、「なんぼ仕入れて、利益はどれくらいで、なんぼで売る」みたいな基礎が学べたっていうのも大きかったです。あとは前の会社でゴルフコンペがあって、社会人のお付き合いも経験できました。そういうのも人とのコミュニケーションをとるっていう意味でいい経験でした。

脱サラしてミシン屋を継いだきっかけ


-記者-
田中ミシンで働き始めたきっかけはなんですか。

-田中さん-
25歳の時くらいに社長である父親に「一緒にやろか」と誘われたことです。

-記者-
お父さんが一代目の社長なんですか。

-田中さん-
おじいちゃんが今の会長で、おじいちゃんが立ち上げた会社です。

-記者-
創業されてもう長いんですね。

-田中さん-
そうですね、もう創業60年くらいになります。

-記者-
震災も経験された歴史のある会社ですね。
大学卒業後の進路を考えるときにお父さんやおじいさんから家業である田中ミシンを継いでほしいと言われることはなかったんですか。

-田中さん-
なかったですね~。
もしあったら、大学卒業後に他の会社でサラリーマンをせず、すぐ田中ミシンで働いていたと思います。

-記者-
3年間サラリーマンをしてから一緒にやろうって誘われたのは何か理由があるんですか。

-田中さん-
僕がサラリーマンを始めた頃はまだ父親が社長じゃなくて、代が代わるタイミングで誘われました。

-記者-
3年働いてきて、経験とか知識もついてきて田中さんにとっても良いタイミングだったということですか。

-田中さん-
そうですね。前の会社では任される仕事が増える一方で、これからどうしていくかっていうのは見えてない状態で今後のキャリアについても悩んでいた時期でした。そんなときに父からコーヒー店に誘われて、何の話かと思ってたら、「社長になるからこのタイミングで一緒に仕事しよう」って誘われたんです。あのときは嬉しかったですね。

SNSを駆使して情報発信をしたきっかけ

-記者-
ミシン業に対する思い入れ、今の仕事を盛り上げようという思いは最初からあったんですか。

-田中さん-
最初はあんまりそういう気持ちはなく、ただ目の前の仕事をこなしていくだけでした。Instagramとかを始めてお客さんとやりとりすることが増えてからは、だんだんと気持ちも入っていきましたね。

-記者-
田中ミシンの仕事を始めるまでは全くミシンにも触れていなかったんですか?

-田中さん-
そうですね、田中ミシンで働き始めたときはミシンが怖かったですね。まず工具の名称も分からなかったですし。針に糸を通すのも怖かったですし、そんな感じでスタートしてほんまに最初は触ってないです。

-記者-
SNSなどを駆使して色々情報発信するきっかけはなんだったんですか。

-田中さん-
きっかけは通っていた大阪のカバン教室の先生に、「Instagramは絶対良いよ」って後押しされたことです。そこから一歩踏み出して始めました。このカバンも僕が作ったんですけど。

-記者-
えー、すごっ!

-田中さん-
ホームページ作ってSNSやり始めてから、カバンとか靴の裁縫以外の問い合わせが来るようになったんです。でも田中ミシンは靴の裁縫が専門だったので、そういった問い合わせに自信をもって答えられなかったんです。なので、カバン教室で裁縫技術を身に着けることにしました。

-記者-
問い合わせはミシンのことだけではなくて、裁縫方法のことも聞かれるんですね。

-田中さん-
そうですね。自分が、いろんなものを縫えるようになったら、作り手がミシンのどういうところを知りたいのかという見方ができるようになると思ったんです

-記者-
今までだったらミシンの仕組みしか分からなかったのが、実際使い手の気持ちも分かった上でアドバイスができるようになるということですね。

-田中さん-
そうです。

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【感想】
使い手目線に立ち、ミシンの事だけでなく裁縫方法なども学んだ勉強熱心な田中さん。
我々も見習わなくてはと身が引き締まる思いでした。
後編では、SNSを通したお客様との繋がりや仕事への向き合い方についてお話を伺いましたので、そちらもお楽しみに!

(編集者:キタムラ)