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シン・長田を彩るプレイヤー ~地域を形づくる愛され社員~(後編)

今回は、アスタくにづか4番館4階にある新長田まちづくり株式会社の、営業部担当グループ長の園田さんとチーフマネージャーの新良さんを取材しました!
前編では、お二人が新長田で働き始めたきっかけや、驚きの経歴についてお伺いしました。後編では、お二人にとっての地域活性化のやりがいや地域の方と向き合う姿勢、これからの新長田の展望や目標について語っていただきます。


まちの活性化、意見の活性化
ー記者ー

地域活性化の仕事をする中で、やりがいや達成感を得ることはありますか?

ー園田さんー
やっぱりまちの人たちが笑顔を見せてくれたときかな。
営業していた時と違ってなかなか売上数字っていうものが出てこないので、活性化っていうのは。
なかなか計るのは難しいけど、みんなの笑顔が見れたらやり切ったかなって感じます。
昔の仕事は数字ばかりだったので当初は慣れませんでしたが、今は逆に何をしたら数字の代わりの目標になるかを探しながら仕事をしてます。

ー記者ー
色んな人とお話しすると思いますが、仕事をする上でどういう姿勢を意識していますか?

ー園田さんー
例えば、先日、神戸市の税務部さんに(プロラグビーチームの)神戸スティーラーズさんをご紹介いただきました。
ポスターを貼っていただきたいというお願いだったんですが、たまたま、私たちもその時期に貼るポスターがなかったんです。だから、こっちもチャンスやと思っていっぱい貼ったんやね。
そしたら、スティーラーズさんにものすごく喜んでいただいて、もう2回ぐらいこのまちに個人的に遊びに来られてるんです。そういうのが繋がりかなって思ってますね。
我々が協力して、期待していただいた以上のものができることで喜んでいただけたら、という想いでやっています。

ー新良さんー
園田さんは、電話やメールで済ましたらいいやんと思う案件でも、できる限り会いに行くんですよ。
そこが園田さんの断トツすごいとこやと思うんですよね。
向こうが電話かけてきたんやったら、電話返したらいいじゃないですか(笑)
でも「お昼からなら行けるかな」って会いに行く。顔見て話して、その結果効率以上のものを得ているところは、すごく尊敬しています。

―園田さん―
最近寒くて出てないけどね(笑)

―記者―
(笑)

―新良さん―
私としては、まち全体を見える化するということを、地域に対しても相手方に対しても意識しています。
商売されてる方や住んでる方って、それぞれのタイムスケジュールの中でまちを見ているので、全貌が見えづらいと思うんです。
みなさんが住んでいるまちで考えても、進学もしくは就職を機にそこに住み始めた方たちって、まちを語れるほどまちを知らないと思うんです。
そこで、我々は、なるべく分け隔てなく広い情報をまちの方や外の方たちに見える化することを活性化の大きな柱として掲げています。
色んな団体がある中で、まちのことを最も広く把握している部署でありたい。
今の時代に求められているのは多文化が共生していく事。活性化の仕事は「共に生きる」、その「とも(共)」の部分を繋ぐ役割だと思うので、俯瞰して見る視点を持って仕事をしていきたいです。

―園田さん―
例えば2人で企画会議したら雑談の中で色んなことが出てくる。
マップ作ろうってなったら、今は何のマップがええかな?とか。
新長田には角打ちといって、酒屋の中にカウンターがあってそこで飲めるというお店が山ほどあるんです。
そのマップ作ったらおもしろいんちゃうかって。まだ実現していないけど。
できないことでも、こんなんやってみたいって2人で言い合って出来上がる部分もあるんで。

―新良さん―
活性化の仕事は、人の意見が活性化することがすごく大事で。
園田さんの会いに行くっていうこともそうだし、何らかの意見が出た時に「いいですね。この方と一緒にやったらできるかもしれないですよ。」というマッチングや「前にこんなこと言ってましたよね。そろそろ動き出しませんか。」という思いやりがとても大切。雑談が多いっていうのも活性化には重要なことかもしれないです。

―園田さん―
まぁわくわくしながら仕事してますよね。

―記者―
ものすごく人とのやり取りを大切にお仕事されているなと思ったんですが、
それゆえに苦労したことはありますか。

―新良さん―
家賃とか会費を集金するのは、大変やったかな。
最初は下町コミュニティに属していないよそ者が急に集金に来ても、「なんで会費なんか払わなあかんねん」ってなったり。
怖いじゃないですか、自分のことよく思ってない人のところに行くの。
当時は説明も上手くなくて。
でも「よし!」って気合を入れて、必ず気持ちをリセットして「こんにちは!」って朗らかに挨拶することを徹底したんですよ。
まだ関係性ができていないということは、毎回がスタートなので。

新しい人たちとの関係性を築いていく方法に決まりはなく、園田さんのやり方も新良のやり方もオリジナルなんです。
人と人との付き合いに「こんな風にしたら認めてもらえるよ」という引継ぎ書は作れない。
そういう点で難しいと思ったり、考えることは色々ありますね。

語れるまち新長田へ
―記者―

最後に今後の目標や展望があればお願いします。

―園田さん―
この前、中学生が職業体験するトライやるウィークを新長田まちづくり株式会社でも受け入れたんです。我々の会社は震災があったからこそできた会社で、その震災からまもなく30年を迎えるときに、今の中学生にとって震災は遠い歴史になっていることを感じました。
特にこの会社は、被災した新長田を再開発していく上でどう管理したらいいのか、地元の意見を集約してできたので、その意味合いからしてもうちが継承活動はしていかないといけないと思いますね。
大震災の火災で町中焼かれてしまって、今は安全安心の町ができているけどやっぱり歴史を知っていただけたらと思います。それをどう伝えていくのかを考えるのが我々の仕事だと思いますね。

―新良さん―
そうやねえ。
鉄人28号が建ってから、国内外の学生さんが聞きたいことをたくさん抱えて長田を訪れるんです。
「鉄人28号は復興・活性化のシンボルと言われているけど、建ったからといって復興や活性化するわけではない」とか、「お金が落ちるわけではない」とか。
そのときに私から一つ質問するんです。「どちらから来ましたか?どんなまちに住んでいるのか教えてくれますか?」って。
例えば私が子供の頃過ごした大阪府の豊中市なら「阪急電車が通っていて、便利で住みやすいまちです。…以上です。」という風にね、自分のまちを語るって、すごく難しいじゃないですか。でもこのまちの子供たちは「大きな鉄人28号が建っていて!それでね!」と語ることが出来る。
こんな話もあります。新長田って何色に見えますかっていう質問に対し、震災が起きる前までは答えがほとんど灰色だったそうです。様々な工場から出る煙がすごく多くて、混沌としている。働くまちではあるけど住むまちではないというイメージがあったのかな。
震災が起きて焼け野原になって、新しいビルは建っていくけどまちに色はつかなかったんです。でも鉄人28号が建ってからは青色!という意見がたくさん生まれて、まちのイメージカラーが変わったんです。復興・活性化のシンボルでもある鉄人28号モニュメントはまちにとってすごく大きな役割を担っている。
鉄人だけではなく、長田に住んでいる方や働いている方で、まちを語れる方をどれだけ増やせるかがこれからの目標です。
みんなが新長田のことを楽しく話してくれるような活動の一翼を今後も担い続けていけたらなというのが我々の目指すところ。

―記者―
新長田を語る人を増やすことで震災の歴史の継承にもつながりますね。
本日はありがとうございました!


地域の方々とのやり取りを大切に、思いやりを忘れず仕事に向き合う園田さんと新良さん。取材の中で、お二人の新長田や地域活性化への熱い想いを強く感じました。
新良さんがおっしゃるように、新長田について楽しく語れる人を増やすために、私たちも007として今後も新長田に貢献していけたらと思います。
(編集:いっちー、カカケツ)