シン・長田を彩るプレイヤー(番外編) ~ストリートピアノを弾こう♪~(後編)
【後編前書き】
長田の街を歩いていると、ピアノの音色がどこからともなく聞こえてくることがあります。
その音の正体は、駅やショッピングモールに設置されたストリートピアノ!
街中に設置されたストリートピアノを演奏する皆さんは、まさにメロディで長田を彩るプレイヤー♪
今回はシン・長田を彩るプレイヤー【番外編】として、あみてぃとHananaが、長田区内のストリートピアノを巡りました!
前編では長田区内にあるストリートピアノそれぞれの設置場所や特徴をお届けしました。
後編では、ストリートピアノを巡って出会った方たちのお話をお届けします!
ピアノの様子や設置場所については前編からどうぞ!<https://note.com/kobe_nagata_ward/n/n2221382af4ee>
① 地下鉄海岸線苅藻駅のシャイニングスター
海岸線終点の新長田駅から2駅の苅藻駅。
苅藻駅の駅員さんに普段の利用状況について聞いていたら、ピアノの方向にまっすぐと向かう2人組の姿が……!
2人組のうち1人がポーン、ポーンとピアノの音を奏でています。
「これは、はるばる苅藻のピアノを弾きに来たに違いない!」と思いお話を伺ってみました。
-記者-
今日はピアノを弾きにこられたんですか?
-利用者-
全然!いま友達がICカードを探してて、待ってる間にちょっと触ってただけなんです(笑)
-記者-
そうなんですね。普段もあまり弾かないですか?
-利用者-
そうですね。昔は習ってたんですけど、今はもうこんな爪ですし全然弾かないですね~。
久しぶりにピアノを触りました!
そう言ってご自慢のネイルを見せてくださいました!弾きにくい爪とおっしゃっていましたが、鍵盤の上で動くキラキラの指先は流れ星のようでとってもキレイです。
インタビュー後には、ICカードを見つけたご友人と、2人並んで連弾をしていました!
ピアノを弾くのが久々という2人が織りなすハーモニーはイキイキとしていて、聴いているだけで楽しい気持ちになりました。
② ストリートピアノの護り人
つづいて新長田改札内に設置されているピアノで出会った方にお話を伺いました。
長田区内で唯一、グランドピアノがストリートピアノとして設置されている新長田駅。
今回新長田駅で出会ったのは、清掃員の方。いつも誰もがピアノを気持ちよく弾けているのは陰の支えがあってこそ!
新長田駅はJR、地下鉄海岸線、地下鉄西神・山手線の乗換駅のため人通りが多いです。
そのためストリートピアノの利用者も多く、夕方は制服姿の学生さんや買い物袋を持った方など老若男女たくさんの方が弾いたり聴いたりしています。
多くの人が利用しているにもかかわらずいつでもピカピカな新長田のピアノ。
清掃員の方にお話を伺ったところ、「やはり指紋がつきやすいので拭くことで綺麗に保てています。」とおっしゃっていました。
新長田駅だけでなくどこのピアノもいつでも綺麗なのはいろんな方が管理してくださっているからこそ。
そんなみなさんのおかげで誰もが安心して演奏を楽しめているのだなと感じました。
一部のピアノに設置されている感想ノートでは管理者と利用者の間で「ありがとう」のやりとりもあり、温かい気持ちになりました!
③ アスタくにづか3番館2階にあった、いつかの夢の形。
最後にお話を伺うのは新長田合同庁舎のすぐ近く、アスタくにづか内にあるピアノを弾いている平尾さん。平尾さんは新長田合同庁舎の職員で、お昼休みにほぼ毎日利用しているそうです。
今回は特別にたっぷりと取材させていただきました!
-記者-
なぜストリートピアノを利用されているのですか?
-平尾さん-
元々音楽が好きでやっていまして。
別に人に聴かせるというよりは、自分で弾きたいから弾いてるみたいな感じですね。
-記者-
昔はどんな音楽をしていたんですか?
-平尾さん-
高校・大学ではバンドでハードロックなどを演奏していました。
ヘヴィメタルも入るのかな。うん、いろいろですね。
-記者-
ピアノは優しい音楽を弾かれてる印象だったんですが、今はどういった曲を弾くことが多いですか?
-平尾さん-
これもいろいろですね~。
流行ってるとかは全く関係なく、偶然街やテレビ、YouTubeで聞こえてきたものを弾いてます。
昔バンドをやっていた時も楽譜を買ってましたが、曲によっては必ずしも楽譜が出版されているわけではないので…。そういうのは耳で聞こえてきたのを演奏しているって感じです。
最近の音楽番組はあまり見ないので、ロックからアメリカのポップスまで、様々です。
ストリートピアノの約束である10分程度の時間の中で、日によって自分の中で思いついた曲を弾いてますね。
-記者-
なるほど!聴いてる人もいろんな曲が聴けて楽しそうですね。
-平尾さん-
今日は、記者の方がいたのでちょっと意識しちゃったんですが、普段はもう全く周囲を気にせずにやってますね。
バンドやってたときは人に聴いてほしかったんですよ。
大学を卒業した時、本当は音楽の道に進みたくて就活もあまりしなかったんです。
でも自分のレベルでプロへ進んでどこまでいけるのかって考えた時に、音楽はもう趣味にしておこうと思って。
就活せず1年経って、やっと公務員の試験を受け、めでたく入庁できました(笑)
-記者-
平尾さんが思うストリートピアノの魅力って何だと思いますか?
-平尾さん-
誰でも気軽に楽しめるってところですかね。
感想ノート見たら、小さいお子さんの字で「ひきました」って書いてあるんですよ。
通りかかったときとか、ある程度年配の方も弾いてますね。
だから誰もが楽しめるもの。音を出したら楽しいし、僕みたいにクラシックの訓練を全く受けてない人間でも、誰でも弾いていいんだよみたいな。
よく「僕はたぶん人に教えられないです」って言うんです。
というのも指使いめちゃくちゃなんです。
自分がこう弾きたい、から弾くみたいな。
元々ね、ロックバンドの曲には指使いってないんですよ。
だから多分クラシックとかちゃんとやってた人からしたら、こいつ何ちゅう指使いで弾いてるんやって思われるんじゃないかな(笑)
-記者-
今、弾いてらっしゃるのは練習しているっていう感覚なんですか?
-平尾さん-
いえ、赴くままにです。うん、発表のための練習ではないです。
自分がまた新たに弾きたいなっていう曲は、たまに楽譜を、ちょこんと置くこともあるけど。
みなさんも、ぜひとも指1本からでも弾いてみてください。好きな曲があるなら、それをちょっと弾いてみたらハマるかもしれないです。
-記者-
そうですね!
-平尾さん-
僕の特に上手じゃない演奏を聴いて、ぜひ他の方も触ってほしいって思います。
音って鳴らしたらめちゃくちゃ楽しいですからね。
これがバンドになるともっと楽しい。
ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード。場合によってサックスが入るかもしれない。
みんなで音を鳴らすのはめちゃくちゃハマると思いますよ。
いまだに高校の時に一緒にバンドをやった友達と連絡を取り合っているので、今後またバンドをやってみたいと考えてるんですよ。
実は僕新しい楽器もやろうとしてて!
元々ちょっとだけ友達に教わったベースも大好きで、今度買いに行こうと思ってるんです。
昔は退職前に急に「僕ピアノ習い始めて」って人いましたけどね。
僕は今59なんですよ。昔でいったらもう定年間際。
よく「あなたは、やりたいことあっていいね」とか言われるんですけど、音楽に限らず、
いくつになっても皆さん興味を持ったことはされたらいいと思います。
-記者-
最後に、読んでいる方に一言お願いします!
-平尾さん-
皆さんぜひ一度触れてみてください、かな!
今回の記事は、神戸市 文化スポーツ局 文化交流課のストリートピアノ担当と協力のうえ作成しました。
神戸市内のストリートピアノの情報は以下のホームページで確認できます!
https://kobe-piano.jp/
【後編あとがき】
記事にした方以外にも、改札入場券を買って演奏を楽しんでいる方や、ピアノが設置されている駅の駅員さんなどにお話を伺いました。
長田にいるたくさんの方がストリートピアノを楽しんでいることが分かりました!
ピアノで出会ったみなさん全員がにこにこ笑顔で、音楽は誰でもいつでも気軽に楽しめるものだと改めて感じました。
みなさんもピアノの前を通りかかった際には指一本からでも弾いてみてはいかがですか?
(編集:あみてぃ・Hanana)